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513.シルヴェン王国って何処なのよ?

 結局、そのアレットの一言によってレウスのパーティーにアニータが加わる事になった。

 これでレウス以外のパーティーメンバーが全員女になると言う、極めて男女比に偏りのあるパーティー構成となっての再出発が決定された。

 しかしその再出発が早くも前途多難になりそうだと言うのが、このアレットの一言から始まった。


「で、そのシルヴェン王国って国に行くのは良いとしても……前にエルザから言葉で教えて貰っただけだから、実際にその王国が何処にあるのかが把握出来ていないのよね、私って」

「そんな自慢気に言う事では無いと思うがな。シルヴェン王国はこのヴァーンイレス王国のイクバルトの町から西の国境を越えて、そこからまた少し西まで行った所にある国家だ」

「……うん、大体の位置は掴めたんだけど地図があれば良いのになって思って」


 実際、自分達が持っているのはこのエンヴィルーク・アンフェレイアと言う世界の全土を表している世界地図である。

 そのヴァーンイレスから西に向かった場所にあるのはアイクアル王国だけなので、シルヴェン王国がアイクアル王国の領土内の何処に存在しているのかハッキリしないのが、アレットに足踏みをさせている原因だ。

 それを聞き、ハァーッと大きな溜め息を吐いたエルザはイレインとサィードにこんな申し出を。


「すまないが、このアレットに対して良く分かる地図を用意出来ないか?」

「地図ですか……うーん、城の中の物は殆んど燃えてしまいましたからねえ。誰か僕の仲間達に頼んでみまして、持っている人から譲って貰えないか聞いてみます」

「いや、見せてくれるだけで良い。場所さえ分かればこいつも納得するだろうし、地図はシルヴェン王国内で幾らでも買えるだろうからな」

「分かりました」


 そう言い残してイレインが走り去って行ったのを見て、ふとティーナがこんな事を言い出した。


「そう言えばあの方以外にも、まだまだ国外にはこのヴァーンイレスの国民だった方々がいらっしゃるんですよね」

「ああ、俺もイレインも国外に逃げたからな。それが徐々にこれを切っ掛けに戻って来てくれると嬉しいんだが、まずはこのヴァーンイレス内部に居る連合軍の残党を全て追い払ってからだ」

「そうだな。だからお前等に後の事は任せたぞ」


 レウスがそう言って激励されたサィードが、国外に逃亡したヴァーンイレスの元々の国民だった知り合いを思い出した。


「ヴァーンイレスの国民っていやぁ、イレイン以外に仲が良かった奴が居るんだよ」

「え、誰?」

「コルネールとアーシアって言って、なかなか良い仲になっていた男女のコンビ。つっても、あいつ等が生きていれば二十三と二十一の筈だ。俺はあいつ等とは幼馴染だから、俺がヴァーンイレスに戻って来たってのを知ったらきっと驚くと思うぜ」

「まあ、そのお方達が無事でいらっしゃる事をぜひ願いたいものですわ。でも今のお話ですと、どうやらサィードさんとは連絡を余り取り合っていない様ですね」


 そのティーナのセリフをサィードは訂正する。


「余りなんてもんじゃねえ、全然だよ。だってあいつ等が今何処で何をしているのか、俺が十年前に国外に逃亡した時から消息不明なんだもん」

「傭兵として活動していた時に、貴様はその二人と再会しなかったのか?」

「全然。何処かで弾けてるんじゃねえの? イレインだったら何か知っているかも知れねえんだが、未だにあいつからコルネールの情報もアーシアの情報も聞いていねえからさ」

「そう、か……」


 かなりの数の仲間を集めて、このヴァーンイレスに戻って来たイレイン。

 その彼だったらもしかしたら何か知っているかも知れないのだが、サィードが言うには何も話をされていないらしい。

 そうやってパーティーメンバー達がイレインの話をしていると、イレインがかなり早めに戻って来たのをサイカが目撃する。


「あら? もう戻って来たわよ」

「本当だ。おーい、イレイン! 地図は見つかったのか?」

「はい、ありました!」


 そう言ってイレインが差し出した地図を見せて貰うと、アイクアル王国の一部を拡大した地図に赤いインクで書き込まれたシルヴェン王国の場所が載っていた。

挿絵(By みてみん)

「これがシルヴェン王国の場所?」

「そうです。こっちの右端に少しだけ見えるのが我がヴァーンイレス王国で、この黒い線の内側がアイクアル王国。そして赤い線で囲まれた場所がシルヴェン王国で、この赤い丸の場所が王都のシロッコです」


 確かに西の国境を越えて少し先にある国なのは分かったが、何だかこれだけ見ると部屋の間借りをしている様にしか見えないのは気のせいかしら……とサイカは思ってしまった。

 とにかくこれでシルヴェン王国の場所は分かったので、後は早速向かうだけである。


「じゃあ、これでようやく出発出来るな」

「ああ、色々世話になったなサィード」

「それはこっちのセリフだ。お前達が居なかったらヴァーンイレスを取り戻す事は出来なかったし、地下のドラゴンだって倒せなかったからな。それじゃアイクアルの国境を通れる様に俺の名前で通行証を発行しよう。それからシルヴェン王国の国境も通れる様に書いておいてやるからさ」

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