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497.無効化の秘密

 レウス達の手によって、ようやく最後の人肉工場も爆破される事が決まった。

 しかしその前に、今までの工場を回って来た中で手に入れた地下のドラゴンへの対処法である、人肉の詰め合わせになっている瓶詰めを持って行けるだけ回収しておく。


「うええ……臭い……」

「これ、結構臭い残っちゃうんじゃない?」

「仕方無いだろう。ほら、さっさと持って行く」


 ホルガーも縛り上げてサィードと一緒に城に移送する事にして、レウス達はまず物理的に設備を破壊し、最終的にレウスとアレットとエルザの魔術によって工場内に火を放ち燃やし尽くした。

 そしてワイバーンを使って、ようやくレウス達はワイバーンで王都のイレイデンに戻る展開になった。

 そのイレイデンの中にあるベリザッコ城の、国王の執務室の椅子に座ったサィードがホルガーから聞き出した内容はこうだった。


「こいつが、あのディルクが開発したって言う新しい魔道具なのか……」

「そうだとしたら、魔術を全て跳ね返せるって言うのも頷けるわ。以前、私達があのウォレスって言う男達に誘拐された時に飲まされた薬とか、ユフリーって女があの揚げ物に仕込んでいた薬も、元々はディルクが開発したって考えると納得が行くし」

「そうだな。結局あれだ、全ての元凶はあのディルクにあると言う事だ」


 魔術を一切無効化してしまう、ホルガーが身に着けていたこの魔道具。これはあのディルクの弟子である、ラスラットとホルガーとの交流の中で生み出された物らしい。

 しかも開発したのもディルクではなくて、弟子のラスラットが独自開発した代物だそうで製品化に成功したのが半月前。徐々に生産体制も整っているらしく、カシュラーゼの騎士団員達に標準装備させ始めている様である。


「私達がカシュラーゼに乗り込んだのはまだまだ記憶に新しいのだが、たった半月前ってなるとお主達も私もその存在を知らなかったって言っても、まだ納得が行くが……」

「こうやってあの魔術師が密かに新兵器を開発しているってなると、私達も早くあの魔術師を止めないと後々とんでもない事になりそうね」


 ソランジュもサイカもディルクのやり口を懸念しているが、そう言っているレウス達に対して横から口を出して来たのはイレインとヒルトン姉妹だった。


「でも、あの弟子だって言っていたラスラットも止めなければなりませんよね。あのホルガーと言う男の話によれば、魔力を無効化する魔道具を開発したのはあの弟子の様ですし」

「そうですわ。それにその弟子の居場所も分からないままなんですから、色々と調べなければならない事が山積みです」

「そうね。それから弟子だけじゃなくて、レウス達と因縁があるって言う赤毛の二人組の行方も追わなければならないんだし」


 何にせよ、自分達が敵対している者達が凄く多いと再認識する一行。

 ユフリーにしろコラードにしろ、現在この執務室の中で縛られて寝転がされているホルガーにしても、行く先々で対立する人物がどんどん増える。

 あの白ライオンと黒い狼の獣人二人を始めとする多くの部下を従えた、メイベルと言う盗賊団のリーダーだってそうである。

 だが、それよりもまず何をおいても片付けなければ行けないのが、この城の地下の通路の中に居る……。


「けどよぉ、俺達はまずあのドラゴンを討伐しなきゃいけないだろ」

「そうだ。それがあった……」

「その為に、あの臭う人肉の瓶詰めまで持って来たんだし」

「あの男と一緒にね」


 そう言いながらドリスが見据える先には、まるで芋虫の様にうごめいているホルガーの姿があった。

 聞きたい事を聞き出した後は、ペチャクチャとうるさい口を閉じさせる目的と舌を噛み切られて自害させない為に、猿轡代わりの布を噛ませられている。

 そのホルガーが物凄い形相でレウス達の方を睨んでいるので、何か言いたい事があるのだろうと彼の口の布を一旦外してやり、レウスとイレインの二人で立たせてみる。


「てめぇ等、あの地下のドラゴンを倒そうと思っているみたいだがその前にてめぇ等がやられちまう方が先だからな! あんな化け物に俺達人間が敵う訳がねえだろうが!!」

「あれ? それって貴様は聞いていないのか? あのドラゴンの秘密を……」

「秘密だぁ? 秘密だったら色々聞いているよ! だけどてめぇ等に死んでも話す訳ねえだろバーカ!!」


 そう言われても、もうドラゴンに対してどう対処すれば良いのかと言うのは、今までのこのヴァーンイレスの中で回って来た各所で見つけた資料等で既に知っている。

 なのでわざわざここでホルガーに教えて貰わなくても、ここに戻って来たらすぐに地下のドラゴンの討伐に向かう予定だったのでもう用は無い。


「でも、ここにこうやって寝転がしたままにしておくのもうるさくてしょうがないし……これからどうするつもりかしら?」

「そりゃーあれだよ、アレット。ここに何人か見張りを残しておく。イレインとその部下達だってこの城の中にも沢山居る訳だし、二人程ここに残して後は残りのメンバーでドラゴン討伐だ」


 サィードの提案に対してイレインも頷く。

 彼の部下は世界中に散らばっているらしく、ヴァーンイレスの奪還に成功したと魔晶石で伝えて次々に国内に戻った元ヴァーンイレスの騎士団員は、既に五百人を超えているからだ。

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