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476.人肉工場のバトル

 アニータの矢が命中した廃棄品の敵は、爆発せずにそのまま奇妙なうめき声を上げてそのまま後ろに倒れてしまった。

 それを見たアニータ以外の四人も、意を決してその敵の軍勢に向かって行く。


「戦闘能力は全然大した事は無いんだが、それなりの数を配備しているみたいだな。これも貴様は知っているのか、アニータ?」

「……いや、ここまでの数は私があのイレインって人に報告した時にはまだ居なかったと思う……」

「だとすると、その後にまた廃棄品として多くの人間や獣人があのディルクによって、こうしてガードとして配備されたみたいだな」


 ヴァーンイレスの国民を迫害して、適当に理由をつけてここに連れて来る事なんて幾らでも出来るだろう。

 ただでさえ今までの事を振り返ってみても、カシュラーゼは目的達成の為にはなりふり構わない相手なのだし、ソルイールの粗暴な皇帝バスティアンとのやり取りからしても何としてでも人型爆弾の材料分は確保するだろうとレウス、アレット、エルザの三人は考える。

 その過程で多くの「廃棄品」が出てしまい、そうしてこうやってガードとして外敵を邪魔をする為に使われるのを見ると、かなりやるせないと言うかいたたまれない気持ちになる。

 それでも割り切らなければここを突破出来ないので、余計な感情は捨てて屋敷の前のガードを全員倒し、ようやく工場の中へと進入する。


「麻薬が一階で、人肉が二階で、人型爆弾はこの屋敷の三階で製造されているって言っていたけど、とにかく俺達が全部ぶっ壊せば良いのか?」

「そう。こんな屋敷がある事自体が良くない訳だし、とにかく目に付く物から壊して行けば良いわ」

「うっしゃ。だったらやろうぜみんな。お客さんも丁度こうやってお出迎えをしてくれているみたいだからな!!」


 そう意気込むサィードの目の前からは、バタバタとガードの敵達に加えて通常の生きている人間や獣人も姿を見せ始める。

 ここで作業をしている者達は全員敵とみなして、一気に潰しに掛かるしか無いと考えたのだ。

 しかし、その前にアニータからシンプルな忠告がされる。


「気をつけて。人型爆弾が何処に混じっているか分からないわよ」

「うえっ、それは怖いわね。だったらレウスと私の魔術が主な戦力になるのかしら?」

「そうなるな。だが俺は余り大きな魔術を使う事は出来ない。俺の魔力は常人の十倍あるとは言え、それにも限度があるからな。それよりも……」


 そこで一旦言葉を切ったレウスは、先陣を切って飛び込んで来た虎獣人の男に向けて槍を突き出し、一突きで心臓を貫いて絶命させる。


「とりあえず、人型爆弾に気を付けるのは二階に上がってからで良いと思うぞ」

「え……どうしてよ?」

「考えてもみろ。この工場には千体もの注文が入っているんだ。その千体の注文をさばくなんてとても一朝一夕で出来るもんじゃない。そもそも材料不足で生産がままならない状況だから、それだけ生産した在庫分はまず大切にしなきゃならないだろう?」


 そう言いながら再び槍を突き出し、敵のガードの一人を絶命させたレウス。

 その横ではバトルアックスを振るって人間の敵を倒すエルザと、ハルバードを振り回して二体同時にガードの敵を倒すサィードの姿もあった。

 一方でアレットは、今の自分達が居るこの工場のエントランスの広範囲に展開する火属性の攻撃魔術「ファイアーストーム」を詠唱し、敵を炎に包んで倒していた。

 アニータは上の階に続く階段から下りて来る敵達に向け、矢を使って的確に仕留めて行く。

 こうして少しずつ工場を制圧し始めた他のメンバーに対し、ひと段落ついた所でレウスが説明を再開する。


「そんな在庫を何処にしまっておくかと言えば、それは人型爆弾を製造しているこの屋敷の三階しか無い。もし二階とか一階に置いていたらリスクが高いだろう?」

「あ、そうか……その爆弾が爆発しちゃって、もし麻薬とか人肉の製造に影響が出ちゃったら、それこそ危機管理が出来てないってなっちゃうもんね!」

「それにアレット、貴様の言う事に付け加えるなら……せっかくの製造の為に揃えた設備が、爆弾の爆発によって壊れてしまう可能性もあるからだろう。それが故意にしろ事故にしろ、三階で爆弾を製造している現状で起こるかも知れないって考えただけでも恐ろしくリスキーだ」

「だからレウスは、一階にはそんな人型爆弾を置いている筈が無いと考えているのか?」

「そうさ。少なくとも俺がここの管理責任者だったらそんな事はしない。二階には少し配置している可能性はあるが……でも人型爆弾はまだ実験をして余り時間が経っていないみたいだし、生産だってまだまだ始まったばかりだろう、アニータ?」

「うん……確かそうだった筈」


 だったら二階部分でも武器を使って戦っても良いだろう、と先程の「気を付けるのは二階に上がってからで良い」との忠告を修正して先へと進む。

 勿論、襲い掛かって来る多数の敵を倒すだけでなく肝心の麻薬製造の為の設備も壊し、二階でも人肉を製造する為の設備を壊すべくアレットの魔術が炸裂する。

 設備を壊すなら武器よりも魔術の方が良い、と実感しながらいよいよ最上階の三階に上がる一行だが、そこで思いも寄らない相手と対峙する展開が待っていた!

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