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470.欲望

 カシュラーゼの欲望はとどまる所を知らないらしい。

 イレインの調べた内容に違いが無いのだとしたら、カシュラーゼは同盟を組んで一緒にヴァーンイレスに侵攻した国々に対しても攻撃を仕掛けると言う、仲間意識も何も無い事を仕出かそうとしている様だ。


「それってまずいんじゃないのか? いや……私達が言えた事では無いと思うんだが、そうなると今度はイーディクト帝国とかアイクアル王国とかに攻撃を仕掛ける準備をしているって話だよな?」

「そうなりますね。もしそれが実現すれば、カシュラーゼが世界中に宣戦布告をすると言う形になります」


 エルザの思っている通り、カシュラーゼは本気で世界征服を目論んでいるらしい。もっとも、自分達が無断でこのヴァーンイレスに侵入した挙句に、国を取り戻す為にそのカシュラーゼの連中を始めとしてイーディクトやソルイール等の国々の戦闘要員を手に掛けているのを考えれば、余り人の事を言えた立場では無いんだがな……とエルザは考えていた。

 その一方で、イレインは自分達が独自に調べた「あの話」についても話を始める。


「それと……これはまだ少ししか情報を掴めていないのですが、どうやらカシュラーゼは魔竜エヴィル・ワンの復活を着々と進めているらしいですね」

「ああ、それは私達も知っているぞ。私達がカシュラーゼの方からやって来たって話を貴様はサィードから聞いていないのか?」

「王子からは既に、大まかな内容ではありますが聞いております。ですが僕達がこちらで仕入れた内容とは少し違うみたいなんですよね」

「そうなのか?」


 その少し違う内容とは一体どう言うものなのか。

 それを聞いてみる事にしたエルザ達だったが、それは「少し」等とはとても言えないレベルの話だった。


「僕達が聞いたのは、魔力を使った大砲を開発しているらしいのです」

「大砲?」

「そうです。エヴィル・ワンの復活を進めている一方で、そのエヴィル・ワンが不完全な状態で復活した場合のバックアップとして、イーディクトやエスヴァリークまで届いてしまうレベルの大砲をあそこのリリヴィスの町で開発していると言う情報がありました」

「それって……どんな大砲なの?」

「エネルギーボールですよ。特大のエネルギーボールをその大砲で撃ち出して、町や村を一気に壊滅させるだけの威力を持たせるらしいです」

「ええっ、そんなのが開発されているって言うの!?」


 サイカが驚くのも無理は無い。

 町や村を丸ごと壊滅させられるだけのエネルギーボールなんて、それがどの程度のレベルなのかレウス達にはまるでイメージ出来ない。

 それこそエヴィル・ワンレベルの強大なものだろうと、五百年前に対峙していたレウスは漠然と考えていた。

 そんなレウス達に向けて、イレインは深刻そうな表情で続ける


「ええ。戦力としてはとても十分でしょう。カシュラーゼは魔術に関しては自他ともに認める世界一の国ですし、魔術師のディルクが開発に携わっているのであればそれだけの威力を出す事も可能な筈。サィード王子から聞いていますが、ハンドガンとやらの新開発兵器もあるみたいですしね……」

「じゃあもしかして、そんなのを開発しているからこそあの城門を閉め切っているって事なのかしら?」

「……そ、そうか! それだったら確かに城門を閉め切っていてもおかしくない筈よね!」


 ドリスの予想にアレットが納得しかけるものの、イレインは首を横に振った。


「いえ、僕達があの町の中に潜入した時には、そんな大砲らしきものはありませんでした」

「はっ? だったらその開発情報って言うのも嘘じゃないの?」

「いいえ、これはカシュラーゼのやり方に嫌気が差して秘密裏に抜けたがっている敵の一人から聞いたので信憑性があります。その方の証言によれば、どうやらその大砲はリリヴィスの町の地下で開発が進められているらしいのです」

「地下……?」

「あのドラゴンと言い、カシュラーゼの連中は地下が好きなんだな。じゃあ地下でその開発を進め、使う時になったら地上に出すって算段か?」

「恐らくそうかも知れません」


 いずれにせよ、あのリリヴィスの町の中に入って確認しなければならないだろう。

 その為にここからどうやってあの中に潜入するかと言う事になるのだが、レウス曰く上からワイバーンで入るのは難しいらしい。


「ワイバーンで空から降下しようかと思ったんだが、向こうも空からの魔物対策か何かで魔術防壁ですっぽりとドーム状に町を覆っているから無理だな。となればちょっと荒っぽいやり方しか無さそうだ」

「え? それってもしかして……」


 レウスが何をしたいのか真っ先に予想出来たのがサィードであるが、彼の予想とはちょっと違うらしい。


「もしかして、俺があの城門を魔術でぶっ壊して中に入ろうって思っているのか?」

「え、違うのかよ?」

「いいや……半分当たってる。だけど城門は常時閉め切っているからセキュリティも高そうだし、別の場所をぶっ壊すつもりさ」

「やっぱりぶっ壊すのかよ!!」

「ああそうさ。そうじゃなかったら後はどうやっても入れそうに無いし。だから手っ取り早く入るのさ。この囲っている城壁を人一人分だけ入れる様に、上手くぶっ壊してな!」

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