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456.工場の実態

残虐描写あり。閲覧注意。食事中は特に厳禁です。

次話はこの話をすっ飛ばしても読める様に構成して行ければと。

 工場の地下に向かって下りた三人を待ち受けていたのは、当たって欲しくない現実だった。


「こ、これは……!!」

「ひぃ!?」

「うっ……おえええええっ!!」


 地下への階段の陰に向かって盛大に嘔吐してしまうティーナと、思わず立ちすくんでしまうレウスとドリス。

 そんな三人の目の前には、既に一目で分かるレベルで廃人になってしまっている素っ裸の人間や獣人達が、虚ろな目をしてフラフラとした状態で列を成していた。

 その列の先には自動でガタゴトと動いている板があり、廃人達が次々にそこに横倒しで乗せられて行くその先では、ガリガリ、ゴリ、ベキャッと聞くに堪えない音が聞こえて来ているのだ。

 それが何を意味しているのかは、声に出さずとも三人も目と耳で理解してしまったので大きな精神的なダメージとなって襲い掛かる。


「ひ、酷い……」

「さっきの張り紙と、それからこの状況で何してるのかは分かるけどさ……これは余りにも惨すぎだろうよ」

「全身の毛を剃られて、服も全て脱がされてここまでされるなんて、まともな人のやるべき事じゃないわよ!! 責任者出て来なさいよっ!!」


 だが、そのドリスの要求に対して工場の奥から姿を現わしたのは先程のメイベルであった。


「あらあら、もう上の連中を片付けちゃったって言うの? 全く……あの連中も役に立たないわね」

「そんな事はどうでも良いのよ! と言うかこの状況は一体何なのよ、ちゃんと説明しなさいよっ!!」


 いきり立つドリスに対し、メイベルは目の前の惨い状況を平然とした顔で見ながら彼女のお望み通りに説明を始める。


「なら教えてあげるわ。ここは見ての通り人肉の製造工場。ああやって正気じゃなくなった人間や獣人を解体して、加工して人肉として製造して世界中に輸出しているのよ。これが今のヴァーンイレス王国の主な産業の一つね」

「も、もしかして……失踪した国民が、解剖されているって噂があるって言うのは本当だったの!?」

「あら、そんな噂が流れているのね。それはこの通り本当よ。ディルク様の命令によってこうやってここに連れて来られて解剖されちゃっているのよ」


 平然とそう言うメイベルの姿を見て、三人は前にソランジュが話していたこんな会話の内容を思い出していた。


『……』

『おい、どうしたソランジュ?』

『私……ふと思い出した事があるんだ。麻薬の話じゃなくて、もっと恐ろしい話……』

『何がだ?』

『その失踪した国民が、解剖されているって噂があるって』

『解剖……?』

『えっ、それって変よ?』

『何が?』

『だって、失踪しているのは圧倒的に人間の方が多いんでしょ。魔術の実験台にするんだったら獣人の方が良いと思うのよ。少なくとも私がカシュラーゼの立場だったらそうするわ。それに合法的な魔術の人体実験だったら、被験者として人間よりも獣人の方が魔術が効きやすいってデータがあるのよ』

『って事は、魔術の実験で解剖されている訳じゃ無いって事なのか?』

『その可能性はあるだろうけど……でも、今こうやってここで考えても分からないわ』


 考えても分からない状態が続いていた話と、麻薬の取引が王国していると言う噂がここで初めて一本に繋がった瞬間だった。

 その繋がった内容を、三人は確信を持って口に出し始める。


「つまりこう言う事ですわ。まずそこに並んでいる方々を最初に麻薬で廃人状態になるまで追い込む。見た所、体格の良い男の方や若い女の方を中心にしてターゲットにしているのでしょうね」

「そうね。それでその麻薬漬けにして正気を失った人間や獣人達をこの工場まで連れて来て、さっき貴女が言っていた通り人間や獣人を解体して、加工して人肉として製造して世界中に輸出するビジネスなのね」

「しかも発案者はさっきお前が言っていた通り、あの魔術師のディルクだって話なんだから納得出来るよ。で……お前は一体何なんだ? どうしてここに居るんだ? まさかそのビジネスパートナーとしてディルクと手を組んだって話なのか?」


 だが、最後のレウスの質問に対してメイベルは首を横に振った。


「いいえ、それは違うわ。私はただ単にここに来て貴方達を待ち伏せする様に言われただけ。貴方達がイレイデンの重要拠点を狙っているって話をディルク様から聞かされて、そこの防衛をする様にって多額の報酬で手を結んだのよ」

「……にしては、この状況を見て何とも思っていないみたいですが?」

「んー、それはもう慣れちゃったわよ。慣れって怖いわよねえ。最初はそこの金髪のお嬢さんと同じく吐いちゃったんだけど、この様子を見続けていたら脳と身体が慣れちゃったからね。現にほら、貴方達も今はこうして平然と話しているじゃない」

「意図的に視界に入れようとしていないだけよ! それよりも……占領したヴァーンイレスの国民をこれ以上そのディルクとやらの要求する人肉にされてたまるもんか! だから今日で工場は閉鎖よ!!」


 そう宣言するドリスに対し、メイベルは鼻で笑って答える。


「ふん、ならやってみなさいよ。最終的に貴方達が人肉になっちゃうかも知れないけどね?」

「嫌だね。誰が人肉になってたまるか! 解体作業をしている奥の連中とともに工場を停止させてやるよ!!」

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