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452.地下のドラゴンのヒント

プロローグの冒頭を変更しました。

 サィードの先導で、三人はゲートの先にあるセキュリティシステム管理センターの中へと入って行く。

 やはり事前に連絡が行っていたのであろうか、中の警備はかなりの手練れ達を揃えて待ち構えていた。


「このやろおおおお!!」

「死ねごらあああっ!!」


 大声で叫びながら襲い掛かって来る敵に対して、三人はそれぞれ散開して対処する。

 一人一人がかなり強い。それも異常に強い。だったらこっちも容赦は一切しないとばかりに、三人は今まで培った冒険の経験で敵を一人、また一人と葬って行く。

 やはりセキュリティシステム管理センターと言う名前の建物を守っているだけあって、実力のある者が居ないと警備が成り立たないのであろう。

 レウスが居れば魔術で一掃出来るかも知れないが、勢い余ってセキュリティシステムまで壊してしまったらそっちの方が大問題なので、ここは我慢して突き進む三人。


「おいお前等、ここには大元のコントロールルームがある筈だからそこを押さえちまえば制圧出来るぞ!!」

「何!? そうなのか!?」

「だったらそこに向かうしか無いわね。で、どっちなの?」

「二階の中央部分。ただし、先にそれぞれ東西の部屋にある中央ルームのロックを解除してからでなければ開かない仕組みになっているんだ。十年前の話だから今とは違うかも知れねえけど、中央コントロールルームで勤務している職員が中に入るには、東西の部屋で許可を貰ってからスイッチを操作して貰わないと中に入れない仕組みだったのを親父から聞かされていたからよ!」


 だとしたら、まずはその東西のコントロールルームでスイッチを押してロックを解除しなければならないらしい。

 話し合いの末、ソランジュが西に向かいサイカが東に向かって一人ずつでスイッチを操作し、サィードが中央コントロールルームを一気に制圧する事に決まった。

 だが、コントロールルームは敵によって操作されている状況が続いているので一気に制圧しなければ幾らでも外から敵が雪崩れ込んで来てしまうのだ。

 それも阻止する為にそれぞれが役割分担をするのだが、ここでふと三人が気が付いた事があった。


「ねぇ、ちょっと気が付いたんだけど……」

「何?」

「あれだけあの結晶石の爆弾を使って追って来ていた筈の敵が、ここに私達が入ってから全く使って来なくなっちゃったんだけどどうしてなのかしら?」


 サイカのその疑問に、ソランジュがあー……と納得した様子になって答える。


「それはそうだろう。レウスの魔術と一緒でむやみにこの中で爆弾なんか使って、システムを破壊してしまったらまずいからだろうな」

「あ、そっか」

「しかしそれを考えると、爆弾の魔の手が無い今の状況はこっちにとって絶好のチャンスになる筈だ。そのチャンスが今こうやって来ているんだから、私もお主もさっさと担当する場所に向かうぞ!!」

「分かったわ!!」


 爆弾の脅威が無ければ精神的にかなり楽になる。

 そう考えたサイカとその事実を伝えたソランジュは、それぞれが担当する東西のコントロールルームへとそれぞれ駆け出し始めた。

 だがその一方で、中央のメインコントロールルームへと向かうサィードが途中であるものを見つけたのだ。

 それはコントロールルームの手前にある資料室の、簡素なテーブルの上に広げられている紙の束である。


(ん……何だこりゃ?)


 紙の束なんて今は気にしている状況では無い筈なのに、無性にそれが気になった理由は一番上の紙にドラゴンの絵が描かれていたからだ。

 ドラゴンの絵を見て真っ先に連想したのは、地下で遭遇したあの身体が透けている謎のドラゴンの存在である。

 もしかしたらそのドラゴンに関する内容が何か記載されているかも知れないと思いつつ、パラパラとそれをめくってみるサィード。

 すると思った通り、地下のあのドラゴンの対処法になりそうなヒントが書かれていたのだ。


「物理攻撃が全く効かないので、もし敵として対処するなら狭い洞窟か何処かに誘い込み、広範囲の魔術で集中砲火して倒すべきである。それ以外にもう一つ……奴は人間が好みなので、定期的に餌として人間の肉を生贄として捧げなければならない……って、おいおいおい!?」


 もしかして、人間が多数行方不明になっているのはそれが原因では無いのか? とあの廃墟で他のメンバーと話し込んでいた話題を思い出すサィード。

 だが、身体が透けているんだったら魔術で集中砲火しても意味が無いんじゃないか? とも思ってしまう。

 その疑問に対する答えは次のページに書かれていた。


(ドラゴンの生物兵器の実験を繰り返し、我々は究極のドラゴンを作り出す事が出来た。物理攻撃も魔術攻撃も効かないのだ。だからその対処法を別紙に細かく記載しておく……別紙?)


 そんな別紙が何処にあるんだ? と更にめくってみると、紐でくくられた最後のページがそれだった。

 そこに書かれている内容をいざ読み始めようとした時、タイミング悪くその資料室の部屋の外からあの白ライオン叫び声が聞こえて来たのだ。


「こっちだ!! こっちからあの人間どもの匂いがするぜえ!!」

(げえっ……あの白ライオンの獣人は鼻が利くから、俺達の匂いを辿って追い掛けて来たのかよ!?)


 こうなったら資料の閲覧は後回しだと決め、サィードは資料室の外へと飛び出して迎撃態勢を取った。

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