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446.いざ、イレイデンの城下町へ

 レアナからの突然のテレパシーも終了し、計画を前倒しして日没前に三か所それぞれに乗り込む事になったレウス達はいざ、イレイデンの城下町へと向かって歩き出した。

 それぞれ東、南、そして西にある襲撃場所へと乗り込むべく歩き始めたのだが、やはりレアナの懸念とレウスの予想は当たっていたらしい。


「……おい、サィード」

「ああ、分かってら。人混みが無くなり掛けている今の内が丁度良いらしいな」


 今の所はまだ表立っての存在は無いものの、自分達に向けられているこの無数の殺気の正体を、この二人を筆頭にした一行は感じ取っていた。

 また、歩いている途中にそれとなく街中を見渡してみるとそこかしこに監視カメラがあるのが分かった。

 レアナの言っていた事は正しかったのは分かるが、かと言って引き返すと言う選択肢は無いのでこのまま進み続ける。


「とりあえずこのまま平静を保って歩き続けるぞ。そして、それぞれの向かう方面に行ける分岐まで辿り着いたら一気に駆け出せ」

「分かったわ」


 相手の油断を誘う作戦で進む一行だが、実際にこうして進んでみると相手も相手で黙ってはいないと言うのが行動でしっかり証明され始めた。夕暮れの人の波がバラけ始めたのに加え、その人の波の中にチラホラと武装している人間や獣人の割合が多くなっているのだ。

 真っ先にそれに気が付いたエルザから自然体で武器を構え始め、他のメンバーも気が付いた者がそれとなくそれぞれ武器を構えて何時でも迎撃が出来る様に身構えておく。

 その間にもどんどん殺気が膨れ上がって行くのが分かる。まるでこのイレイデン全体が、自分達に対して牙を剥いて今にも襲い掛かって来そうな……そんな感じを全身でヒシヒシと感じながら、九人が三方向に別れる中央噴水広場までやって来た、その時。


「うおらあああああっ!!」

「っ!?」


 突然、噴水を爆発で派手にぶっ壊すパフォーマンスで登場しながら襲い掛かって来た白いライオン獣人。両手にはそれぞれ一本ずつ槍が握られており、豪快にその槍を振り回す戦い方をする。

 しかしこっちは九人のパーティーなので、こうなったら九人掛かりで叩きのめそうとそのライオン獣人を囲み始めた……その時だった。


「ちょちょちょ、こっちからも来た!」

「おい、こっちからも凄い数だぞっ!!」

「あ、前からも来たっ!!」

「くっそ……こうなったら強行突破だ!! なるべく相手をしないでそれぞれの目的地に向かって走れっ!!」


 噴水広場に続くそれぞれのストリートから出て来た、大勢の武装している男女の人間や獣人達。

 大体こうなりそうなのは予想していたレウス達だったが、まさか噴水を爆破するレベルの派手なパフォーマンスで登場されるとは思っていなかった。

 しかしいちいち相手にしていたらこちらの体力が持たない上に、武器も防具も壊れてしまう可能性があるので適当に流しつつそれぞれの目的地に向かって駆け出した。


「逃がすんじゃねえ!! 絶対にあいつ等をぶっ殺せえっ!!」


 最初に噴水を爆破して飛び出して来た白いライオン獣人の叫び声をそれぞれ背中に聞きながら、東の魔術研究所、南の工場、そして西にあるセキュリティシステムの管理センターへ向かう。

 カシュラーゼを筆頭にして、今まで自分達が渡り歩いて来た国々の紋章が入っている防具やマント等を身に纏った連中がワラワラと湧き出て来る。

 ソルイールやカシュラーゼの連中とはそもそも敵対関係にあるので気兼ね無く戦えるのだが、レウス達パーティーメンバーの中にはそのレウスを始めとしたイーディクト帝国との関係を持っている人間も居るので、そのイーディクト帝国の関係者には迂闊に手を出せない。


(それからアイクアル王国の人間や獣人も居るみたいだな。くそっ、やっぱりここは適当に相手をして切り抜けるしか無さそうだ!)


 アイクアル王国とは特に関係が無いものの、もしかしたらこれからそちらに向かう可能性があるのでそれを考えるとこちらにも迂闊に手が出せないレウス。

 ……いや、パーティーメンバーの中にはアイクアル王国に関わりの深い人間が二人居るのだ。


「姉様、手加減は無用よ!」

「勿論よドリス! 例え私達の生まれ育ったアイクアル王国が敵だったとしても、ここを切り抜けなければ辿り着けないんだからね!!」


 ヒルトン姉妹がそうだ。

 彼女達はアイクアル王国が地元であり、実家がワイバーンの飼育をしているので彼女達は強い繋がりがある。

 しかし、今の状況は正当防衛と言えるかも知れない。国家への反乱と捉えられるかも知れないが、それ以前に先に手を出して来たのは向こうなのだ。

 最初にベリザッコ城に乗り込んだ時だって、向こうにとっては自分達が占領した城を守る為に出動しただけかも知れないが、レウス達はベリザッコ城を取り戻しに来た立場なのである。

 ただし大元の敵はカシュラーゼである事に間違い無いので、なるべくなら自分の国に被害を出したくないと言うのがこの姉妹の本音だった。


(カシュラーゼが一体何をしようとしているのか、それを姉様とともに確かめる必要があるわ!!)

(私達の前に立ち塞がるなら、例えそれがアイクアルの関係者であっても容赦はしたくないけど……でも、無意識に躊躇してしまうのはやっぱり地元の人間だからなのかしら……?)

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