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412.逃がすもんか!!

「ちょっとあんた、待ちなさいよっ!!」

「部下にばかり任せて逃げるのは感心しませんわね?」

「あら、もう追いついちゃったの?」


 その怒声の主はメイベルと面識のあるオレンジ色の髪の妹ドリスと、その姉であるティーナのヒルトン姉妹だった。どうやらさっきの部下達に任せて来た場所を切り抜け、自分に追いついてしまったらしいその二人を見たメイベルは舌打ちをする。


「良くも私達を騙してくれたわね!!」

「もう逃げ場はありませんわ。観念するんだな!」

「いや、貴女達が勝手に勘違いしたんじゃないの。それに私は貴女達の仲間だなんて一言も言った覚えなんか無いわよ?」

「うるさいうるさいうるさい! 貴女のせいで、あのアークトゥルスの墓の下の物が持ち去られてしまったでしょ!!」

「こうなったら貴女をここで捕まえて、あの赤毛の方達の居場所を聞き出すまでです!」


 冷静な口調で突っ込みを入れるメイベルだが、この二人は聞く耳を持っていない上に責任転嫁と逆恨みも良い所である。


「でもドリス、油断は禁物ですよ!」

「分かってるわよ姉様。さぁ……行くわよ!」

「へえ……じゃあ少し遊んであげましょうか。でも止めておいた方が良いわよ。ハッキリ言って私は凄く強いから、逆に返り討ちにしちゃうわよ?」

「そんな事を言う人に限って強くないのよ!!」


 どうやら一切引くつもりが無いらしいその二人を見て、メイベルは不敵な笑みを浮かべた。

 相手が果敢に自分に向かって来るつもりであれば、少し遊んでやっても良いだろう。

 しかし、今もこの姉妹が言っていた通り他のパーティーメンバーは部下達に任せて来たので、そのパーティーメンバーがやって来るまでに短期決着を目論むメイベル。

 そんな彼女の様子を見たヒルトン姉妹も、彼女を挟み込む様にしてメイベルに向かって来た。


 先に自分の元に辿り着いたドリスの腹に、先制でロングバトルアックスの先端で突きを入れて怯ませる。

 次にティーナが横に回りこみつつ右の斬り下ろしを繰り出して来たが、ロングバトルアックスよりもロングソードの方が軽いので楽にブロック。

 続けざまにメイベルはドリスを力任せに突き飛ばしつつ、ティーナの腹に左の前蹴りを入れて怯ませる事に成功。

 ドリスがその間に立ち直ってハルバードの攻撃を何発か繰り出すが、メイベルは上手くかわして一気にドリスの首を取って羽交い絞めにする。


「ぐっ……うぐ!?」


 全身全霊の羽交い絞めにドリスがジタバタともがくのを見て、ティーナはメイベルに右のパンチを繰り出したが、それをドリスの顔でガードされてしまった。

 妹を傷つけまいと考えてロングソードではなく、素手で繰り出したその攻撃で妹にダメージが入る。


「ごは!」

「な……っ!?」


 パンチが当たった瞬間にドリスを解放し、そのパンチを仲間に入れてしまった事で動揺して大きく隙が出来たティーナ。

 そんな彼女にはお返しとばかりに、小さくジャンプしながらの前蹴りを彼女の顔へ叩き込むメイベル。


「ぐぅ……っ!」


 ドリスも再び立ち直ってメイベルに向かうが、そんなドリスをティーナの方に突き飛ばしてメイベルはまた二人と向かい合う。


「くっ……」


 確かにこれは強いと悟ったのか、ティーナは手加減抜きで全力を出してメイベルに向かう。

 だがそのロングソードを振るった右腕を、メイベルはティーナの懐に飛び込んでガードしつつ、彼女の顔面に頭突きして後ろに突き飛ばす。

 その後ろからはドリスも向かって来たが、彼女の懐に飛び込んで脇腹に右ミドルキック。そして続けて顔面にパンチしてドリスを怯ませた。

 自分の後ろでは再びティーナが立ち直って来たので、メイベルはそのティーナの攻撃をかわして一気に懐へと飛び込んでティーナの腹に右の膝蹴り。

 そのまま彼女をまた後ろに突き飛ばしつつ、ティーナの顔面にパンチ。


「あがあっ!?」

「ぐはっ……ちっ……」


 上手くクリーンヒットしたそのパンチだったが、メイベルの背中に後ろから迫って来ていたドリスのパンチがほぼ同時に入る。色々と事情を聞くべくメイベルを殺してはいけないと言う事で、ドリスは槍の部分の先端で突き刺せない代わりにパンチを入れたのだ。

 メイベルは舌打ちをしながらドリスを振り返って睨み付け、素早くドリスの懐にまた飛び込んで彼女の首目掛けて右パンチ。


「ごっ!!」


 一瞬呼吸が止まった様に感じたドリスの胸倉を掴み、パワー任せの背負い投げで背中から硬い地面へ叩きつける。


「がっ!?」


 背負い投げし終えたメイベルがティーナの方を見ると、彼女はパンチのクリーンヒットから立ち直って再び向かって来ようとしているので、立ち直られる前にティーナ目掛けて左足でドロップキック。

 受け身を取りながら着地したメイベルは、そのまま起き上がったばかりのドリスの背中をロングバトルアックスの先端で強くど突いた。


「やあーあっ!!」

「ぐおあ!」

「がはっ!?」


 ティーナは後ろに転がって息が出来ない程に悶絶し、ドリスは彼女の武器で背中を強打されて物凄い衝撃を連続して受け、どちらも背中にダメージを負って満足に動けなくなってしまった。

 その二人の様子を見て、まあまあ悪くは無かったけど相手にならなかったわね……とメイベルは胸を張った。

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