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393.一難去ってまた一難

「う……」

「あっ、気が付いた!!」

「セバクター……良かったぜええええ!!」


 窓から差し込む太陽の光、そして目の前に集まっているパーティーメンバーの面々の安堵する表情が自分の視界に入る。

 セバクター・ソディー・ジレイディールがようやく意識を取り戻したのだ。


「……ここは……?」

「アイクトースの町の騎士団の詰め所の中にある、医務室のベッドの上よ。貴方は丸一日眠っていたのよ」

「あー、ようやく復活してくれて一安心だぜ」


 口々にセバクターの無事を喜ぶメンバー達だが、周りを見渡してみるとレウスとアレットの姿が見当たらないのに気が付くセバクター。

 彼は今の状況で出せるだけの声を振り絞って、ここに居ない二人のメンバーの安否を気にした。


「その二人ならほら、そっちのベッドの上で休んでいるわ。持てるだけの魔力を使ってあなたを治療したんだから、起きたらちゃんとお礼を言っておくのね」


 サイカの指し示す方には、数が足りなかった為に一人用のベッドに二人並べて寝かされているレウスとアレットの姿があった。

 それを少しだけ身を起こして見たセバクターは、まだ張りの無い声で呟いた。


「そうか……あいつ等が、俺を……」

「そうよ。貴方がカシュラーゼに潜入捜査をしていた身とは言え、貴方の剣術によって何度も命の危機に晒されていたのは事実。それを恨む事もせずに、貴方に対して魔力を使って治療して疲れ果てて寝ちゃうまで頑張ったんだから、感謝してもし足りないわね」

「そう……だな……」

「でも、貴方のおかげであのドラゴンは倒せたわよ。ファイナルカイザースラッシャーの爆発で首から先を一刀両断して爆破したんだから。これでこのエスヴァリークに居るドラゴンの生物兵器は全て倒せたって事になるわね」

「そうだと良いがな」

「何、まだ何かあるの?」


 セバクターのその答え方に違和感を覚えるサイカ。

 その不信感を感じ取ったのか、セバクターは今の答えに対して補足説明をする。


「まだ終わっていない。この世界に解き放たれたドラゴンの生物兵器は全部で十匹居るんだ。エスヴァリークでもまだ確認されていないだけで、他の生物兵器のドラゴンが居るかも知れないからな」

「じゃあ、貴方とレウスとアレットがちゃんと動ける様になるまで私達で情報を集めましょう」

「そうだな、それが良いだろう」


 エルザもサイカのその意見に賛成らしい。

 しかしやっとの事でセバクターが爆破をしたと言うのに、今度は別の方向からもっと大きな爆破が襲って来た。

 それは、セバクターが今度は精神的ストレスで治療を受けなければならないかも知れないレベルの爆破だったのだ。


「ええっ!? ユディソスが爆破された!?」

「そうなんです!」

「ちょっと待ってくれ、それだけだとユディソスの何処がどの様にどれ位の規模で爆破されたのかが分からないぞ。後、怪我人の状況は? ジェラルド陛下とかは無事だとお主は聞いているのか?」


 ティーナがこのアイクトースの町に常駐している騎士団員達と魔術師達から連絡を受けて、それを他のメンバーに伝える。それに対して真っ先に驚きの声を上げたのが妹のドリスだったのだが、その横から冷静なタイプのソランジュがティーナに対してもっと詳しい情報を求めた。

 爆破と言えば今まで散々耳にして来たマウデル騎士学院の話が真っ先に浮かぶのだが、まさかそれがこのエスヴァリークの帝都であるユディソスでも起こったのであろうか。

 そう考えるソランジュに向かって、ティーナは一つ一つ騎士団員や魔術師達から聞いたその情報を報告し始めた。


「は、はい! ええとまず何処が爆破されたかと言う事ですが……ユディソスのほぼ全域と、フィランダー城内部のほぼ全域です」

「はぁ? 何でそこまで爆破されたんだよ?」

「詳細についてはまだ不明です。何しろ通話スポットも爆破されてしまいまして、応急処置で復旧したので鮮明に情報が伝わって来てないんです。爆破された範囲もそれだけの規模になりますから、現状の把握が難しいのでまだ被害状況の算出も全然出来ていないらしいと」


 サィードが爆破の被害状況に首を傾げるのだが、そうとしか答えられないティーナは一つ目の質問の答えをそれで終わらせて二つ目の質問の答えを述べ始める。


「それから怪我人に関してですが、多くの死者が出た模様です。現在の報告されている人数だけでも城下町全体で大体二百人以上の死者が出ており、重傷者や継承者の割合は調査中です。またフィランダー城の中でも五十人以上の死亡者が出たとの話もありますが、ひとまずジェラルド陛下にはお怪我は無かったそうです」

「そうか……それは不幸中の幸いだったな。しかし何故そんな事になったんだ?」


 エルザがホッと胸を撫で下ろしつつも、そもそもの原因が分からなければどうしようもないのでティーナにそれも聞いていないかどうかを聞いてみる。

 しかし、彼女から返って来たのは驚愕の答えだった。


「私達の……セバクターさんの屋敷を襲撃して来た、青い髪の男とユフリーって女が居ましたわよね。その方達が脱獄をしたそうです」

「脱獄!?」

「はい。それも二人だけで脱獄をしたのではなくて、何者かの手を借りて。これはまだ断片的な情報ですが、その手引きをしていたのは白いライオンと黒い狼の二人の獣人だと言う話が出ているんです」

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