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384.翌日のリベンジマッチ

 フィランダー城の至る所がクロヴィスとエドワルド達によって爆破され、連絡も取れない様にしたのか城下町中の通話スポットや城の中にある緊急用の通話スポット、そして魔晶石の保管されている貯蔵庫まで爆破されて連絡が遅れている。

 帝都ユディソスで、下手をすれば皇帝のジェラルドまでが死んでしまっていたかも知れない程のそんな大きな事件が起こってしまった翌日の朝。

 前日にドラゴンにまさかの敗北を喫してしまったレウス達一行は、自分達のプライドもあって今度こそ負ける訳にはいかないと並々ならぬ闘志を燃やしながら、再びアイクトースの町から出発してセロデス平原に辿り着いた。


「今度はもう負けねえぜ……」

「私だって貴様と同じだ。あそこまでコケにされたまま黙っていられねえからな」

「そうよね。その為に作戦を考えたんだし……後はあのドラゴンがちゃんと動いてくれるかどうかだけど」


 サィードとエルザの横でドリスが腕を組みながら考える。

 そう、せっかく作戦を立てても相手がその通りに動いてくれなければ作戦としての意味が無くなってしまうし、ファイナルカイザースラッシャーを習得したセバクターに余計な負担を掛けさせる訳にもいかない。


「良いか、分かっているとは思うが頼りはお前だけなんだセバクター」

「ああ」


 相変わらず言葉数は少ないものの、その瞳は凛々しい。

 確固たる決意を心の内に秘めているのだと言う事が、隣を歩いているレウスにも分かった……のは良いのだが、この男がファイナルカイザースラッシャーを使えるのは多く見積もっても二回までだろうなと考えていた。


(俺の魔力を入れてやっても良いかと思ったんだが、あの岩をぶっ壊した後にそれが出来るかどうかを実験したら、どうやら使う奴以外の魔力だと技が発動出来ない様だ)


 実際にそれを試したからこそ、その事実は全員が知っている。

 あの粉砕した岩の近くに気絶したセバクターを休ませる為に使った大木があったので、それに向かって今度はレウスの魔力を注入したロングソードをセバクターに手渡し、それで試し斬りをして貰った。

 しかし……。


(でも、ああやって実験しておいて良かったのかも知れないな。セバクターが木の幹を斬ろうとしてもファイナルカイザースラッシャーは発動しなかった上に、ロングソードの刃が途中で止まってしまったんだから……)


 もしかしたら、これであのウォレス率いる犯罪組織から奪い取って来たロングソードが二本ともダメになってしまうかも知れない。

 その場合はまた修理して使えば良いと考えていたのだが、結果はレウスが思い出していた通りセバクターの斬撃が木の幹に負けてしまった。

 それで、あのファイナルカイザースラッシャーが他の人物の魔力では使えないと分かったのだ。


「全く……他の人の魔力を使ったら攻撃が出来ないってのも不便な話だと思うわよ」

「でも仕方無い事だと思いますわ。使用者の魔力の多さに応じて、威力が増す攻撃魔術や効果が上がる回復魔術はその魔術を使える人にしか使えないんですもの。攻撃に魔術を使うのだって、その使う人の魔力を消費して使うものなのが一般的ですからね」

「それもそうね」


 ぼやくアレットを、諭す様な口調でティーナが納得させた。

 だが自分の魔術で使えるか使えないか以外にもう一つ気になるのは、肝心のファイナルカイザースラッシャーを使用するセバクターの体力と気力と精神力である。

 何せ、あの最初のロングソードで実験して発動出来た時ですらまだ魔力をフルパワーまで溜め込んでいないにもかかわらず、セバクターの背丈を超える程の大きな岩を粉砕して跡形も無い状態にしてしまった。

 それだけでは無い。セバクター自身も前代未聞の尻もちをついたままの体勢で気絶してしまっていた。

 一般人ならともかく、マウデル騎士学院で武術を学び体力があり、その上このエンヴィルーク・アンフェレイアの世界中で色々な人物から信頼されていて「炎血の閃光」とまでの活躍をして実戦経験が豊富な彼が、そんな無様な体勢で気絶してしまう位の威力があるのだ。


(あのファイナルカイザースラッシャーに……しかも実験では命の危険があるからフルパワーの魔力で試していなかったあの技に……こいつが耐えられるのか?)


 自分だって、あの技を近くで見ていただけであれだけの衝撃を感じたのは記憶に新しい。

 それでもあのドラゴンを倒す為に身に着けた必殺技だからこそ、仕留めるにはフルパワーで一発でやらなければならないだろう。

 長引かせれば長引かせるだけ、ドラゴンの方が体力もあるしこちらの体力も持たないだろうとレウスは考えていた。


「とにかく短期決戦だ。昨日の夜にみんなで考えた通り、あいつは攻撃力も防御力も高い」

「それに動きも素早いとなれば、私達があいつの気を引き付けている間に誰かがやるしか無い……でしょ?」


 サイカの確認にソランジュは頷く。

 ドラゴンの弱点はまず足。その足を崩し、そして首を一刀両断してしまえば短期決戦に持ち込める。だけどそれをやるには一人だけじゃなくて、この八人とそしてアレットの協力が必要になる。

 だからこそ、今回はもう絶対に失敗出来ない。……このリベンジマッチだけは。

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