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335.二回戦第二試合(サィードvsセバクター)

 第二回戦のバトルはまだ終わらない。今度は残りの二人でそれぞれバトルが組まれる。

 一回戦を見事勝ち上がって来た残りの二人に共通しているのは、マウデル騎士学院の卒業生同士であり冒険者としての先輩後輩対決でもある。

 その先輩側であるサィードと、後輩であるセバクターの戦いだ。

 卒業生同士である以前にマウデル騎士学院の先輩後輩対決でもあるのだが、サィードは既に一回戦でも同じ先輩後輩対決を制してここまで勝ち上がって来た。


「俺とやるってんなら俺だってその挑戦は受けて立ってやる。一回戦は俺の後輩でありお前の後輩でもある奴との対決。そして今度はマウデル騎士学院の卒業生同士だからな。腕が鳴るぜ」

「……どう言う意味だ?」

「あ? 一回戦はエルザとのバトルだったんだよ。まさかパーティーメンバーと戦うなんて思ってもみなかったけど、今度もまさかの対決だぜ」


 そのサィードの報告を聞いて、セバクターも腕を組んで悩む。


「待て、俺の一回戦の相手はサイカだったんだが?」

「はぁ? って事は八人の内で右半分の四人は全員顔見知りのパーティーメンバー同士だったってのかよ?」

「どうもそうらしい。だが、何位までドラゴン討伐の権利が与えられるのかが分からないからな。ここは全力で行かせて貰う」

「そーだな。俺だって同じ気持ちだぜ。それじゃ始めようか!!」


 セバクターの宣言にサィードも応え、ハルバードとハルバードをそれぞれ構えた。


「第二回戦、第二試合はサィード・ランバルディ対、セバクター・ソディー・ジレイディール!! それでは始めっ!!」


 騎士団員の合図でバトルスタート。

 まずはセバクターが先制攻撃を仕掛けようとするものの、そのセバクターの動きに合わせて上手くハルバードを突き出すサィード。

 そこから一旦セバクターは身を引いて再度ハルバードで攻撃しようとするが、これまた上手い具合にハルバードを向けられ、何と開始早々ロングソードがセバクターの手から弾き飛ばされてしまった。


「……っ!」


 しかし、ここで諦めるセバクターでは無い。

 そこから一気に踏み込んだセバクターはサィードに殴り掛かる。それに対してサィードも上手くハルバードでブロックしつつ、そのハルバードの柄でセバクターの腹をど突く。


「ぐあっ!」


 サィードは割と荒っぽいやり方で攻撃して来るな……と思うものの、それでもセバクターは臆せずに攻める。

 一息吐いてセバクターはサィードに飛び掛かり、そこから身体を後ろに反らす動きでサィードのハルバードをかわしつつ、小さくジャンプしてサィードの胸に右のパンチを叩き込む。


「ぐっ!?」


 思い切りの良いそのパンチに、思わずサィードは後ろに倒れ込んだ。

 今度は間合いを一旦取って、セバクターから二連続回し蹴り。そこから右のハイキック、サィードの攻撃をかわして左ハイキックと繋げるが、今度はサィードのハルバードが襲い掛かって来る。


「ぐっ!」


 ギリギリで回避しつつ右のミドルキックでサィードの腹を蹴飛ばし、下段回し蹴りを繰り出すがこれは避けられる。

 そこから右のハイキックに素早く繋げたが、セバクターは大きく空振りしてしまった。


(しまっ……!!)


 そう思った時にはサィードの右足が振り下ろされ、セバクターの足に大きな衝撃が伝わってバランスを崩す。

 そこに追撃でハルバードが襲い掛かって来るが、ギリギリでハルバードでブロックしつつ転がって立ち上がるセバクター。

 だが立ち上がったばかりのセバクターの顔面に、今度はサィードの右回し蹴りが炸裂する。


「ぶぐおっ!!」


 顔を勢い良く蹴られてセバクターはきりもみ回転しながら地面に倒れ込み、勢いがようやく石舞台のふちで止まる。


「降参するなら今の内だぜっ!!」


 ハルバードを構えつつ、セバクターの首を足の裏で踏みつけてそう忠告するサィード。

 だが、セバクターは目の前に見えるサィードの股間に右手を伸ばして思いっ切り握り潰す。


「ぐおぁああああっ!?」


 男の大事な部分を握り潰される痛みは同じ男のセバクターにもイメージ出来るので、それによって怯んだサィードを見ながらセバクターは立ち上がる。


「はぁ、はぁっ……なかなかだ」


 相手を認めつつも負ける訳にはいかないセバクターは、一気にサィードの懐に飛び込んでパンチのラッシュを浴びせ、更に左ハイキックをサィードの側頭部に入れる。


「ぐうっ!」


 ギリギリで持ち堪えたサィードが完全に体勢を立て直す前に、今度はセバクターの左回し蹴りが逆の側頭部に炸裂。


「うおぐっ!」


 サィードが倒れ込んだので飛び掛かろうとしたセバクターだったが、咄嗟にサィードはハルバードを突き出して怯ませる。

 そのハルバードで動きが止まったセバクターの腹に右足を突き出して、追撃の飛び掛かりを阻止。


「ぐほはっ!?」


 だが腹にダメージを受けつつも、更に突っ込んで来たサィードのハルバードを屈んで避けつつ、サィードの左足を掴んで下からすくい上げる形でサィードを地面に転ばせるセバクター。


「うおあわっ!」


 転ばされてもすぐに立ち上がって来たサィードの顔面に左の回し蹴りを食らわせてぶっ飛ばし、もう一度立ち上がろうとしたサィードの顔面に今度は左のパンチを全力で叩き込む。


「うあーわっ……!!」

「そこまでだ。勝者はセバクター・ソディー・ジレイディール!!」

「……」


 叫び声を上げてサィードは石舞台から落ちて行き、決勝戦進出はセバクターとなった。

 石舞台の外の砂地に落ちて敗北し、それでも何とか立ち上がるサィードを無言で見下ろしつつ、セバクターも石舞台から下りて行った。

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