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334.二回戦第一試合(レウスvsティーナ)

 トーナメントは第二回戦へと進む。

 準決勝になるこの二回戦は四人の猛者が残り、その内の二人がまず相対する。


「あんたは……まさか二回戦で姉と当たるなんてな」

「えっ? もしかして一回戦の相手は私の妹でしたか?」

「ああ、そうだ。まさか姉妹揃って俺の相手になるとは思ってもみなかった」


 凄い確率で当たるもんだなーと思っていたレウスだが、相対するティーナからは更に衝撃的な事実が告げられる。


「私も驚いていますよ。一回戦で戦ったお相手が、貴方のパーティーメンバーのお一人でしたから」

「へっ? そ、それって誰の事だ?」

「ええと……名前は申し訳ないのですが思い出せなくて……確か黒い髪の毛に緑を基調とした服を身に纏っていた、少し短めのロングソードを使われる方でしたわ」

「ああ……それならソランジュだな。と言う事はお互いに顔見知りが相手だったって訳なのか」

「そうなりますね。ですが相手がどなたであれ、勝負は勝負。全力で行きますよ」


 ティーナはそう言いつつ右手を差し出して来たので、レウスは戸惑いながらも握手をした。


「俺もそのつもりだ」


「第二回戦、第一試合はレウス・アーヴィン対、ティーナ・オリヴィア・ヒルトン!! それでは始めっ!!」


 握手も終わって二回戦の第一試合がスタート。

 ティーナはロングソードのリーチを上手く活かした戦い方で、自分の間合いに持ち込まなければいけないレウスに隙を与えない。

 接近されたらロングソードの方が間合い的に有利になってしまうからである。

 だからこそ接近されない様にと振るわれるロングソードを避けるレウスと、ロングソードを振るうティーナでは明らかに攻防がはっきりしている。


(く……っ!!)


 襲い掛かって来るティーナのロングソードによる攻撃、それから蹴り技をかわして受け止めるレウス。しかしなかなか反撃のチャンスが見つからない。


(くっ……強い、強いぜ!!)


 レウスも前蹴りや肘打ち、飛び込み膝蹴りと槍と体術で対抗するも手数は圧倒的にティーナが上で、スピード勝負で負けてしまっている。

 ティーナはレウスの顔に焦りの色が見えて来たのを見て、両腕を前に突き出してレウスの身体を的確に狙おうとする。

 それをかわすもののレウスは段々後ろに位置が下がって行く。

 このままでは自分がここから落ちて負けてしまう、と悟ったレウスは怪我を覚悟して彼女の一瞬の隙を突いて、低い体勢からロングソードの攻撃をかいくぐり、再び振るわれたロングソードの柄ごとティーナの手を両手で掴んだ!!


「ぐっ!?」


 まさかリーチ的に有利な筈の槍を捨ててまで、素手での戦法に切り替えるとは思っていなかったティーナは、彼のその行動に戸惑って一瞬隙が出来る。そしてその隙は、レウスが攻め立てて行く切っ掛けになるだけだ。

 まずは低い姿勢から回し蹴りを連続で繰り出しつつ、前に進んで行くスタイルでティーナに向かうレウス。

 こうすれば低い姿勢のバトルに慣れていないのか、ロングソードを余り振るえないティーナ。

 そしてレウスはティーナの足を払い、そのまま勢いをつけて前方に回転して膝を彼女の腹に向けて落とす。


「ぐほっ!?」


 ティーナが悶えている内に素早くコートを脱ぎ、それをティーナの首に巻きつけて引っ張り上げる。


「ぐ!?」


 何とかレウスを引き剥がそうと暴れるティーナだが、ロングソードを闇雲に振るってもスピードが遅すぎて腕をレウスに掴まれてしまう。

 そしてそのまま片手で手首をひねり上げられ、ロングソードを取りこぼしてしまった。


「ぐあ……うぉ……げぇ……」

「降参するなら今の内だぞっ!」

「……がはっ……!!」


 痙攣していたティーナの身体が更に激しく震える。

 レウスは力強くコートを引き寄せて、片膝立ちになって一気に上に引っ張り上げた。


「うおぉぉっ!」

「そこまでっ! 勝者、レウス・アーヴィン!!」


 このままではティーナが死んでしまうと判断した騎士団員が戦闘続行不可能を告げ、レウスが第二回戦も制した。

 そのまま石舞台から下りて控え室に戻ったレウスだが、こんなにもトーナメント一回戦の相手が自分の顔見知りばかりなのか? と疑問を抱かずにはいられない。


(次はいよいよ決勝か。しかし一回戦はあの冒険者姉妹の妹の方で、今の準決勝が姉の方でってなると何だか仕組まれている様な気がしてならないな)


 実際には全く仕組まれてもいないし、実力で自分の顔見知りばかりが勝ち上がって来ているのだが、レウスは今までの旅路の中で色々な人物の関係を見て来ているだけあって一種の人間不信と獣人不信に陥っていた。

 しかし、今ここでそれを考えても次はいよいよ決勝戦。

 決勝トーナメントなのにやけに短いと考えてしまうが、八人しか居ないのでそれも当たり前かと思いつつ自分の出番を待つ事にする。


(えーっと、この規定が書かれた紙によれば残りの戦いは準決勝の二組目の戦いに……それから三位決定戦をやってから決勝なんだな)


 だとしたら身体を休める時間が少しありそうなので、レウスは次に自分が呼ばれるまでマッサージと精神統一を始めるのだった。

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