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292.戦う理由

ブックマーク350件、850ポイント到達感謝です。

これからもよろしくお願い致します。

「まずよ、俺達は今までずーっと使っていた装備から今回、こうやってレアナ様から新しく貰った武器とか防具に切り替えた訳だろ? だったらそれに少しでも慣れておいた方が良いんじゃねえのか? 防具はともかく、まさか武器までぶっつけ本番で武術大会に挑むって話じゃねえよなあ?」

「……そこまでは考えていなかった。ただ、少しばかり振り回しておこうとは思っていたさ」


 レウスがそう言うと、サィードは「それ見ろ」と言わんばかりの顔になって続ける。


「ならそれこそ丁度良いじゃねえかよ。それに俺の言いたい理由はもう一つある。俺達は今までパーティーメンバーとしてこうやって一緒に戦って来た訳だけどよ、ある日突然の別れが来るかも知れねえ。その時にお互いに武器を交えないままで終わったなんて事になったら、何だかモヤモヤしねえか?」

「……ど、どう言う事?」


 何か、自分が近い内にレウス達の前から居なくなってしまうんじゃないかと言わんばかりの彼の物言いに対して、レウスは目を白黒させながら問う。

 しかし、サィードはそれを曖昧に濁した。


「まぁ、それはそれで置いといてだ。その前に俺がお前の……五百年前の勇者様の実力を見てみたいって言うのもあるし、もっと言えばお互いに武術大会前に戦う事で互いに良い点とか悪い点が見つかるかも知れねえだろ?」

「良い点と悪い点?」

「そーだよ。相手が得意とする攻撃の仕方とか癖とか、逆に苦手な部分があればそこを詰めてやれば勝てるんじゃないかとか、そう言うのが分かんだろーよ。ってか、こう言うのってむしろ俺がお前に教えて貰う立場なんじゃねえのかな、アークトゥルスさんよ?」

「お、おう……」


 一気にまくし立てられてどうリアクションを返して良いのか分からなくなったレウスは、とりあえず彼がここまで言うのであれば……と手合わせを受ける事にする。

 それは昼食を終えた他のメンバー達の元にも告げられ、一通りユディソスの城下町を見回ってからと言う流れになった。


 その一行が次に向かったのは、武術大会まで一週間の時間がある中で簡単な仕事を引き受ける為のギルドである。

 トルバスの町でペーテルに出会う切っ掛けになった冒険者ギルドでは、せっかくだからユディソスに行ってから今後の路銀を稼ぐ為の仕事を見つけた方が良いのでは無いか、とそのペーテルに提案されたのでこうしてユディソスに来たのもある。


「うーん、やっぱり戦士向けの依頼が多いわねえ」

「そうよね。力仕事じゃない依頼って紹介して貰えるのかな?」


 余り力仕事は自信が無いアレットとサイカが、ギルドの受付カウンターに向かっておすすめの依頼を紹介して貰う事にする。

 その一方で力仕事に自信のあるサィードは、自分に見合った条件の依頼内容が書いてある紙を何枚か持ってすぐに仕事を決めて来た。

 セバクターも二つの仕事を決め、残るはエルザとソランジュとレウスだ。


「受けるのは構わないけど、余り武術大会ギリギリまで依頼を入れない様にしないとな」

「ああ。もし武術大会当日に身体に疲れが残っていたりとか、それ以前に依頼の中でケガをして出場出来ませんでした、なんて事になったらシャレにならないし。特にお主は城下町を見回った後にサィードと手合わせをするのだから尚更だぞ?」

「ああ、分かっているさ」


 あくまでもメインの目的は武術大会への参加である以上、路銀を稼ぐのも程々にしておかなければならない。

 なので体力に自信の無い者は簡単な雑用や使い走り等と言った依頼で路銀を稼ぎつつ、武術大会までの日程を過ごす事にした。

 それから働き口は何もギルドの依頼だけでは無く、ペーテルの店の手伝いをしても良いだろうし飛び込みで何処かに働きに出るのも一つの手である。

 サィードがやっていた様な日雇いの用心棒の仕事もあるので、レウスはそうした依頼も引き受けて時間を無駄にしない様に考える。

 その中で、アレットがペーテルから聞いていた話を思い出して依頼を受け終わったメンバー達に伝える。


「そうそう、ペーテルさんって昔は冒険者やってたんだけど……もし時間があればそのペーテルさんがみんなの戦い方を見てくれるって言ってたわ」

「えっ、ペーテルさんが?」


 意外そうな顔で反応するレウスに対し、横からセバクターが話に入って来た。


「ああ、ペーテルは確かに冒険者を昔やっていたって聞いた事がある。かなり長い時間を冒険者として活動していたらしいから、もし興味があれば見て貰えば良い」

「分かった、考えておく」


 武術大会までの一週間の時間をどうやって過ごすかは各々の自由である。

 だが、それぞれが別々に仕事を請け負ってギルドの建物から出ようとしていた矢先、そのレウス達に聞き慣れない声が掛かった。


「ねえ、もしかして貴方達も武術大会に出るのかしら?」

「え?」


 やや高めのトーンのその声の方をレウスが振り向けば、そこにはまだまだ若い……それこそ自分やアレット、エルザ等と同じ位の見た目年齢を感じさせるオレンジのロングヘアーの女と、ショートカットの金髪の女の姿があった。

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