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246.女王陛下に会いたい

「その女王陛下レアナ様が直接指揮を執っていたのでは無く、黒髪の魔術師に操られていたとする説が濃厚だ」

「操られていただあ?」


 突拍子も無い話にサィードが訝しげな表情をするが、エルザは至って真顔のまま説明を続ける。


「そうだ。これは叔父さんから聞いた話なのだがな、どうもレアナ様はその黒髪の魔術師に操られて各国と同盟を組み、そしてヴァーンイレス王国に攻め入った……らしいぞ」

「なら全ての黒幕は、俺がぶっ殺してやりてえ位に憎んでいるあの魔術師野郎だってのか!?」

「多分な。私も今言った通り叔父さんから聞いただけで確証が無いから何とも言えんが、もしそれが本当だとしたら貴様の祖国は全てはその魔術師が原因で滅ぼされた、って事で間違い無いだろう」


 話が色々とややこしくなって来ているが、黒髪の魔術師はあの赤毛の二人組やセバクターと関わりがあっても不思議では無いし、もしかしたらここにその魔術師が居るかも知れない。

 しかし、ここでサィードが突然凄い事を言い出したのだ。


「だったらよぉ、せっかくこうしてあの二枚舌野郎を追い掛けているんだし……それが終わったらついでにそのレアナ様とやらを捜してみねえか?」

「ん?」

「えっ……ちょ、ちょっとサィード何言っているのよ? レアナ様はこの国の女王陛下なのよ!? そんなに簡単に出会える訳が無いじゃない!」


 いきなりこの男は何を言い出すんだ? とエルザもアレットも戸惑いを隠せないが、言い出した方のサィードは先程のエルザと同じく真面目な表情である。


「だってよぉ、こうして地下世界に潜り込めるなんて大チャンス以外の何物でも無えじゃねえか。だったら二枚舌野郎をぶっ飛ばしてレウスを助け出すついでに、その女王陛下様から色々と話を聞き出せば納得すんだろーよ」

「いや、あのな。貴様は何を言っているのか分かっているのか? 貴様が私達の先輩だと言うのが全く情けないぞ」

「あー勿論分かってっさ。分かってなかったら俺だってこんな事言ってねえよ」


 そもそもこの地下牢獄からの脱出ルートすら分かっていない上に、レウスも助け出さねばならない状況でこんな女王陛下に出会うなんてのは到底無理だろうとしか思えないアレットとエルザ。

 とりあえず今はこの事を忘れて、まずはコラードとそれを追い掛けて行ったソランジュとサイカを捜して一気に決着をつけなければならない。

 ……のだが、完全に別ルートへと進んで来てしまった三人はこのまま進めば絶対にその三人には出会えない。

 それにも気付かないまま時折り現われる敵を倒しつつ、所々に掛かっている地下牢獄の地図を確認して現在位置を把握しながら進む三人。


「んー、地図によればこの先に地上部分に繋がる階段がある筈なんだが……」

「あっ、もしかしてそのドアじゃないかしら?」


 キョロキョロと辺りを見渡すサィードの横から、アレットが一つの扉を指差した。

 そこには半開きになっている扉の向こうに、上へと続いている階段が見える。


「良し、あそこから上に行ってみよう。もしかしたらソランジュとサイカも上に向かったかも知れないからな」


 エルザのセリフでサィードが先頭になり、上に向かって進む一行。

 そのまま階段を上がって上のフロアに出てみると、今度は薄暗い牢獄フロアから一転して白い壁と床の通路に出た。

 ここはクルシーズ城の一階フロアで、サィードが手に入れた情報によれば魔術研究所の何処かになる様だが、裏の世界のカシュラーゼなのか表の世界のカシュラーゼなのか分からないままなのは怖い。

 とりあえずこのクルシーズ城の何処かにレアナ女王が居る筈だし、レウスが捕らわれているであろう魔術研究所の最重要研究室もある筈だ。


「確か、セバクターと赤毛の二人が居るってのが魔術研究所の最重要研究室だって話を聞いたけどよぉ、そこが何処かまでは教えてくれなかったんだよなー」

「牢獄の上、つまりここだってのは分かっているんだろう? だったら貴様のその情報を元にしらみつぶしに探すしかあるまい」

「そうね。この壁の地図を見る限り、クルシーズ城の中に魔術研究所があるみたいだけど……この地図で言えばどうやらもっともっと向こうにあるエレベーター? って言う設備を使って上に上がらないといけないみたいね」


 エレベーターなんて設備は初めて聞いたのだが、どうやら上下の移動が出来る設備らしいと言うのはこの地図に描いてある図で分かった。

 しかし、女王陛下のレアナが居る場所に関してはこの地図には描かれていない。

 この地図は魔術研究所内部だけの地図らしく、レアナが居るとされる場所を探すにはここの関係者の誰かに聞き出すか、自力で見つけ出すか別の場所の地図を探すかの三つしか無いと言う訳だ。


「とにかく急ごう。レウスから聞く限りでは、その黒髪の魔術師に対しては手も足も出なかったらしいからな」

「そうね。まさかあのレウスが手も足も出ないなんて……どれだけ強かったの? って話だけど……その魔術師が何か罠を仕掛けている可能性も無いとは言い切れないわね」

「俺の国が襲われた時も、知り合いから聞いた限りでは本当に容赦が無かったらしいし何をしでかしてもおかしくねえ。行くぞ!」

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