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221.魔術防壁のその先は?

 モニター越しに二人の男達がそう話している頃、レウス達はトンネルの最深部まで辿り着いてしまった。

 魔術防壁と謎の設備のすぐ先に、転送陣が描かれている地面があったのだ。

 その先は壁で行き止まりになっているので、先程の警報を聞いた敵達がどうやらこの転送陣を使って侵入者である自分達を迎撃しに来たと見て間違い無いだろう、とレウスは考える。

 つまり、この先に敵の本拠地があるのかも知れないのでますます気が抜けなくなる。


「この先は全く未知の場所だ。全員、準備は良いか?」

「ん……ちょっと待って。これを使うとここからどの辺りまで飛ばされるのか、刻まれている文様を見れば分かるからそれを確かめてからでも遅くは無いわ」


 一歩踏み出したアレットがしゃがみ込み、転送陣をジーッと注視してふむふむと頷く。

 そして出した結論はこうだった。


「この文様だと、結構遠くの方まで飛ばされるみたいね。でもここまで歩いて来た限りだとまだまだあのワイバーン達が襲撃して来たイーディクトの山すらも越えていないだろうから、もしかしたらカシュラーゼ王国国内に繋がっているのかも」

「カシュラーゼ……いよいよだな。それじゃもう一度聞くが……全員、準備は良いか?」


 レウスがそう言いながら後ろのメンバーを振り返れば、全員が真剣な目つきで頷いた。

 準備は出来たのでまずはそのレウスが先頭になり、青白く光っている転送陣の上に乗ってみる。

 すると転送陣が淡く光り出し、その光に徐々に包まれたレウスがまずは転送されてその場から姿を消した。

 続いて残りの五人もレウスと同じく転送陣で転送されたのだが、その先には自分達が今まで見た事の無い光景が広がっていた。


「また変な部屋に出て来たぞ?」

「ん~、見た感じはあの転送陣で転送されたヴァーンイレス王国らしき場所の部屋に近いものがあるが……今回はあの黒髪の魔術師は居ないだろうな?」

「それは分からないけど、とりあえずあのドアから外に出てみましょうよ」


 転送された先は何処かの部屋の一角。

 レウスとエルザがあの謎の魔術師と出会った場所を思い出して警戒心を強める一方で、サイカが部屋の片隅にある大きな両開きのドアを指差して提案する。

 考えてみればここに来るまでのトンネルの中には馬のひづめの跡があったし、旧いウェイスの町中にも所々に馬のひづめの跡があった事から、あのドアの大きさなら馬を通す事も可能だろう。

 あの広いウェイスの町を使って色々と作業をするならば、移動手段としてここから馬ごと転送するのも確かに一つの手だろうな、と考えるエルザ。


 とにかくそのドアの外に出てみれば何か分かるだろうと思っていたのだが、その先に広がっていた光景は六人の度肝を抜く驚愕のテクノロジーの数々だった。


「うわ、何だここは……!?」

「えっ……ここって本当にエンヴィルーク・アンフェレイアなの!?」


 ソランジュ、アレット、サィードの三名が一様に驚くのも無理は無い。

 今まで自分達が住んでいた町並みは、殆んどが石造りや木造の小さな建物ばかりであった。

 大きな建物と言えばそれこそ貴族が住む様な屋敷とか、神に祈りを捧げる為の教会とか、ドゥドゥカスやシャロットの様な国のトップが住んでいる城みたいに限られた場所しか見当たらなかった。

 だが、ドアの外には幾つもの大きな建物……それもリーフォセリアの王都カルヴィスにあるインハルト城や、さっきまで自分達が居たイーディクト帝国の帝都グラディシラのセンレイブ城の高さなんてまだまだだろうと思ってしまう程に大きな建物が、見えるだけでも実に十棟は建ち並んでいる。


「すげえ大きな建物ばかりじゃねーか……」

「しかもここからこうしてみる限りでこれだけの大きさがあるとなると、近くに行ったらもっと大きいのだろうな」


 果たして何階建ての建物がどれだけあるのだろうかと、今までの文明では考えられない光景に胸を躍らせる一行。

 ここが敵地の中だと言う事を忘れそうになりながらも、その建ち並んでいる建物の中で一際大きな高さ……横にも縦にも大きい上に、縦の高さは雲にまで届いてしまいそうな錯覚をさせる建物を目指して歩き出した。

 何処かの街中らしいのでまずは誰かに情報を聞き出そうかと思ったのだが、カシュラーゼの魔術テクノロジーの偉大さは街の至る所に発揮されている。


「うおっ、階段が動いてる!?」

「えっ、何これ……お金を入れたら自動で物を売ってくれるの!?」

「凄い凄い、金属の道の上を馬も使わない荷車が自動で走っているぞ!!」


 初めて目にするテクノロジーの数々に、やはり敵地の中だと言うのを忘れそうになりながら興奮するレウス、アレット、エルザの三人。

 そして地味ながらもようやくここで気が付いたのは、地面が灰色の材質でしっかりと舗装されている事である。

 ここまで文明レベルの違いを見せられてしまうと変に笑う事しか出来ない一行だが、今回は観光に来た訳では無い。

 この国に呼び出されてここに居るので、まずはその呼び出したあの赤毛の二人を捜しに街中を手分けして探索する事にした。

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