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213.カシュラーゼと傭兵

登場人物紹介にサィード・ランバルディを追加。

https://ncode.syosetu.com/n0050fz/2/

「カシュラーゼで?」

「そうなんです。そんな話を聞いた事があるんです。俺はその時カシュラーゼには居なかったから分かんねーですけど、とにかくカシュラーゼからこっちに渡って来たんでしょうね。そしてこのレウス達に近づいて来て仲間に入れて貰おうとしていたんだったら……何か企んでいるのかも知れませんよ」

「そこまで言うと考え過ぎだとは思うが……まぁ、とにかく儂の方も何か分かったら連絡を入れよう」

「どうもありがとうございます」


 こうしてコラードに対する情報収集の約束をシャロットにさせたサィードを横目に、あの実技試験から一夜明けたレウスは早速出発するべくシャロットに準備を促す。


「では、俺達はそろそろカシュラーゼに向かいます」

「ああ、儂も行くなとは言えないからな。その為にこれから何処から潜り込むかの話し合いを始めるんだ」


 話し合いと言っても、以前ヴァーンイレス王国を滅ぼしたカシュラーゼに加担していた時期があったからこそ分かる、イーディクト帝国が知りえるカシュラーゼの内部事情やセキュリティシステムについての情報提供をして貰い、それを知った上で何処からどうやって潜り込むかを話し合うのだ。

 一方で、この場で部外者となっているギルベルトとゴーシュとファラリアの三人に関してだが、ここは軍人としてギルベルトのみ会議に参加させて貰う事になった。

 余り時間は掛からないだろうと判断して、城の中で待っていてくれとギルベルトはアーヴィン夫妻に言い残してから他のメンバー達と共に大会議室に向かう。

 集まったのはシャロット、レウス、アレット、エルザ、ソランジュ、サイカ、サィード、そしてギルベルトの合計八名である。


「それではこれより、南の隣国カシュラーゼにどうやって乗り込むかと言う話を始めるが、既に君達が乗り込むルートは決まっているのだろう?」

「はい、俺達はあの旧い方のウェイスの町で見つけたトンネルを通って、南に向かってカシュラーゼに乗り込みます」

「あそこに居た傭兵達から話も聞けたし、カシュラーゼが絡んでいるのは間違い無いと思いますからね」


 エルザ達のグループが見つけたトンネルとあのウェイスの町には、カシュラーゼの息が掛かった傭兵達が出入りしている形跡があった。

 しかし、その話を聞いていたサィードが首を傾げる。


「えっ? ちょ、ちょっと待ってくれ」

「何だ?」

「カシュラーゼってそんなに傭兵を雇う様な国だったかなー? ってちょっと疑問に思ったんですけど。だってあいつ等、他の国が自分達に協力してくれるのは良いってスタンスですけど、傭兵みたいな個人をそのまま迎え入れるのってあんまり歓迎していなかった気がするんですよ」

「要は……国が自分達の為に介入してくれるのは良いけど、個人で協力する奴は嫌いだって話か?」

「そうですよ、陛下」


 サィードが言うには、カシュラーゼはプライドが高いので自分以外の国々をゴミ扱いしているのも傭兵仲間を通じて知っているらしい。

 その昔、個人で入国して来た冒険者にセキュリティを掻い潜られて機密情報だった魔術の技術を盗み出されてから、国単位で協力してくれる場合を除いて原則カシュラーゼ国内で他国の傭兵の活動は禁じられている。

 自国出身の傭兵ばかりで固められているのは聞いているのだが、傭兵と言う職業を余り快く思っていないのもそうした背景があるかららしい。

 それを聞いていたギルベルトが自分の考えを述べ始める。


「とは言っても、あいつ等って多分あのエヴィル・ワンってドラゴンの復活を企んでいるんだろ? だったらお前が自分で言っていた通り、自国出身の傭兵も動員して色々な所に情報収集させに行かせてんじゃねえのか?」

「まあ、確かにそれだったら辻褄は合うけどさ。でも……なーんか引っ掛かるんだよなあ。あいつ等は自国の魔術師とか騎士団員に強い誇りを持っているって傭兵仲間から聞いた事あるし、不思議だぜー」

「……カシュラーゼの兵力事情は良く分からないが、とにかく今はそれよりもカシュラーゼにどう乗り込むのかを話すべきなんじゃないか?」


 それもそうか、とソランジュの一言で話題が元に戻ったので、改めてシャロットからカシュラーゼに向かう道の提案をして貰う。


「旧いウェイスの町で調査に当たっている騎士団員達や魔術師達からの報告によると、君達が地下で見つけたと言うあのトンネルの先からはかなり強い魔力を感じるらしい。魔術で成り立っているカシュラーゼに繋がっているのは確かな様だ。しかし向こうも向こうでかなり強力な魔術防壁を展開しているらしくて、なかなかその防壁を破れない様だ」

「魔術防壁ですか?」


 サイカの質問にシャロットは頷く。


「ああ。傭兵達があのトンネルを通ってウェイスの町で何か色々と活動していたのであれば、カシュラーゼからやって来る時には魔術防壁を解除して、こちらから乗り込めない様に一時的に魔術防壁を掛け直して、そしてまた戻る時に解除して貰っているのかも知れん。ただ、この辺りの解明がされていない以上どうにかしてその魔術防壁を解除しなければ、カシュラーゼに潜入する事は無理だろう」

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