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189.動かない魔法陣

登場人物紹介にアンリ・ルイ・ボワスロ(17、27、33、34話に出て来た騎士団員)を追加。

https://ncode.syosetu.com/n0050fz/2/

 そのカシュラーゼの考えている計画を阻止しなければ、またこの世界が滅亡の危機に陥ってしまう。

 その為にもこのウェイスの町をもっと良く調べるべきだと判断し、一行はレウスとソランジュが戦ったあの金属の塊が居た、東の研究所へと向かった。

 そこにやって来た一同は、まずレウスとソランジュにその金属の塊を見せて貰う事にした。


「うわあ、こんなのが居たの?」

「ああ。大きいだろう?」

「そりゃまあ……大きいけどさ。こんなのがこのイーディクト帝国で開発されていたって事になるのか?」


 その実物を見てビックリするアレットと、ソランジュの発言に同意するエルザ。

 この町が埋め立てられた昔の時代に、既にこんな物が開発されていたなんて……と身震いする外国人の一同は、ここまでついて来たイーディクト帝国の騎士団員と魔術師達を一斉に見る。

 しかし、その帝国の騎士団員も魔術師達もこんな大型の金属の塊については何も知らないのだと言う。

 皇帝のシャロットがもしかしたら知っているのかも知れないが、それは実際にシャロットに聞いてみないと分からない。


「そうか……とりあえずこのデカブツも色々と調べてみる事にして、この研究所の内部をくまなく探索してみれば何かまだカシュラーゼの企んでいる事が出て来んじゃねーか?」

「ああ、それだったらまたグループを四つに分けようか」

「それは賛成だ」


 ギルベルトの疑問に対してそう提案したレウスに、ソランジュが同意する。

 しかし、その横ではアレットが金属の塊に注目していた。

 魔術師として何か興味があるのかな? と横で彼女の様子を見ていたサイカが問い掛けてみるが、彼女からの返答は意外なものだった。


「アレット、今の話聞いていた?」

「ああ……うん。この研究所の中をまた四つのグループに分けて探索するって話でしょ?」

「聞いていたなら良いけど……それについて何か気になる事があるの?」

「うん。この脚の形状を見ていて思ったんだけど、どうもこれって私が発見したくぼみの形にそっくりなのよね」

「え?」


 唐突にそんな事を言い出したアレットに、彼女と一緒にくぼみの存在を確認した騎士団員と魔術師達からもそう言えば……と同調の声が次々に上がり始めた。


「となると、この金属の塊は元々ここにあった物では無い……と?」

「そうかも知れないわね。でも、この研究所の出入り口ってこんなに大きな物体を運び込める程の広さは無かった筈だし、そうだとしたらどうやってここまで運び込んだのかしら?」

「んー……これは金属の塊だし、一度外で分解してこの中で組み立て直したとか?」

「ああ、それだったら筋が通ってらあな」


 ソランジュとアレットとエルザの会話を聞いていたギルベルトが納得の声を上げるが、今はそれよりもこの研究所の中を探索するのが優先の筈だ。


「それも良いが、まずここを調べてみよう。ここには魔術師達と騎士団員をそれぞれ何人か残して、俺達はさっきのグループに分かれて探索を始めるぞ」

「分かったわ」

「それと、これと同じ奴がこの中にまだ他にも居る可能性だってあるからな。その時は十分に注意して、敵わないと思ったらすぐに逃げるなり隠れるなりしろよ。俺もソランジュもこいつの速さと機動力には舌を巻いたからな」


 実際に戦った事があるからこそ、そのレウスの発言には説得力が生まれる。

 レウスの忠告を胸に刻んだ一同は、気を引き締めてこの研究所の中を探索し始めた。一体ここであのカシュラーゼの連中が何をしようとしているのか、それを探る為に。

 しかし、その研究所の中で一同はまた不可解なものを見つけてしまう。

 それはサイカとギルベルト率いる、水属性のチームが研究所の地下を探索していた時に入った一つの部屋の中にあった物だ。


「あら、これって……魔法陣じゃないですかね?」

「そーだな。でも動いてないっぽいぜ、こりゃあ」


 地下の大きめの部屋に入ったサイカとギルベルトが見たのは、部屋の中全体をカバー出来る様に床に描かれた魔法陣。

 しかし、魔法陣特有の淡い光が少しも無い事からどうやら起動していないのが見て取れる。

 単なる魔力不足なのか、それとも魔法陣の描き方が悪くて起動していないのかまでは魔術に疎い二人にはさっぱり分からない。

 なので一緒に来ていた魔術師達に話を聞いてみると、どうやらこの魔法陣を起動する為にはもっと大量の魔力を注ぎ込まないといけないらしい。


「それだったらレウスに頼んでみたらどうですか? あの人、確か常人の十倍の魔力があるって言ってましたから」

「そーだな。あいつに頼んで魔法陣を起動して貰えば、これが何の魔法陣なのかが分かるだろうし」

「ですよね! それじゃ私、レウスを呼んで来ますよ!」

「ああ、頼んだぜ」


 常人の十倍の魔力を有しているレウスなら、きっとこの魔法陣も起動させる事が出来るに違いない。

 そう考えてレウスを呼びに行ったサイカの後ろ姿を見送り、ギルベルトは魔法陣に視線を戻しながら魔術師達の話に耳を傾け始めた。

 どうやらこれは何処か別の場所に繋がっている転送陣らしいので、これを起動すれば何処か別の場所に行けるかも知れないとの分析を聞きながら、起動の鍵となるレウスの到着を待ち続けた。

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