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182.武装集団の正体は?

 こうして穴に落下して来て、そして余り間を置かずに再び戦いになるとは全く予想していなかった。

 しかし、今回の相手は上で戦ったドラゴンの様な大型の敵ではなく、人間と獣人の武装集団のみである。

 あんなに大きな魔物を相手にして生き延びて来られたのだし、武器と防具の耐久性もまだ大丈夫なだけあって、討伐部隊のメンバー達は一人、また一人と武装集団を撃破して行く。

 最初の集団がバタバタと倒れて行き、その騒ぎを聞きつけた第二陣の敵達が少し進んだ先で出て来る。

 しかし、それもまた同じ様に倒して貴族街の先に進むメンバー達。


「全然歯ごたえが無い様に感じるのは気のせいですかね?」

「いいや、多分気のせいじゃねえと思うぜ。だってこいつ等って単なる雑魚みたいなもんだろ。あんなドラゴン相手に戦って来た俺達を舐めて貰っちゃ困るんだよ!」


 そんなやり取りをしているサイカとギルベルトの目の前に、またバラバラと敵が現れる。

 だが、今回の敵は何と徒歩ではなく馬を使ってやって来たのだ。

 徒歩の敵が相手だったら真正面から打ち合えるからまだ楽sなのだが、相手が馬に乗っているとなればちょっと話が変わって来る。


「ちっ、馬に乗ってんのかよ……こりゃあちと厄介だな」

「そうですね。あれ、でも……ここって馬に乗って入れるんでしたっけ?」

「えっ?」


 サイカがポツリとこぼした疑問に、ギルベルトも「そう言えば……」と腑に落ちない表情になる。

 何度も自問自答するが、ここって元々町を地中深くに埋めてしまった場所だよな……と思いつつ、馬付きの敵を排除しに掛かる一行。

 ここで重要なのは無理に馬の上に居る敵を狙うのでは無く、まずは相手の移動手段である馬を狙う事だ。

 馬による突進攻撃、踏み潰し、馬上からの攻撃によるリーチの違いで徒歩のこちら側が不利にならない様にする等、相手の馬を狙うメリットはこれだけあるのだ。

 そして相手が不利になった時に逃亡するのを阻止する意味でもあるので、ギルベルトを筆頭とした獣人達と弓使いのメンバーがここで大活躍する。


「ガアアアアッ!!」

(うわっ、やっぱりトラの獣人って感じ……)


 ギルベルトが馬達に向かって上げた雄叫びを聞き、獣人は獣の本能を有利に使えるんだなーと感心するサイカ。

 実際、その雄叫びによって驚いた馬が急停止していななき、前足を高く上げてバランスを崩す。

 そこにハルバードで軽く斬りつけてやれば、馬が暴れ出して乗っている敵が振り落とされた。


 一方のサイカの方も、自身が得意とするアクロバティックな動きを活かして馬に乗っている敵を翻弄しつつ、その馬の脚をシャムシールでスパッと斬り付ける。

 少し時間を置いているとは言え、自分はファイヤードラゴンと戦った後なんだし、それに加えてギルベルトはレウスと共にあの真っ黒で大きい図体のドラゴンとも戦っているので体力の消耗も考えなければならない。

 更にここに来ての連続バトルで疲れている事もあって、その疲れが足のもつれを呼ぶ。


(……しまっ……!)


 グラリと体勢が崩れた所で、目の前に馬に乗った敵が迫って来る。

 反射的にシャムシールで敵の槍をブロックしたものの、相手の方が上から下に攻撃出来る上にリーチも長いので、そのままシャムシールが弾き飛ばされてしまったのだ。

 まさかここで終わってしまうのか……とサイカが諦めかけたその瞬間、黄色と黒の色合いを持つ大きな身体が彼女の視界に入る。


「ウガアアアッ!!」

「えっ……」


 目の前に飛び込んで来たのは、先程と同じくトラの雄叫びを上げながら馬上の人間に向かってタックルを繰り出すギルベルトの姿だった。

 トラ獣人ならではの足の速さとジャンプ力を駆使して、間一髪でサイカを助け出す事に成功したギルベルトは、馬の上から地面に転がり落ちた人間にトドメを刺してホッと息を吐く。


「大丈夫か?」

「え、ええ……どうもありがとうございます」

「どうやらこれで全員の様だな。生きているのも何人か居るし、色々聞かせて貰わなきゃな」


 何とか武装集団との戦いを終えたサイカとギルベルトのチームは、生き残っているその武装集団のメンバーに話を聞いてみる。

 だが、それはサイカもギルベルトも予想しないものだったのだ。


「おい、てめえ等一体何もんだぁ!? そもそもここは埋められて放置された町の筈じゃねえかよ。なのにこうやって馬まで入れるってなぁ普通じゃねえよなあ!?」

「ちょちょちょちょ、死んじゃう死んじゃう……」

「あ、すまねえ」


 トラ獣人の自分と人間の相手とはそもそもの身体能力もパワーも違うのを忘れて、力任せにギリギリと襟首を締め上げてしまっていたので慌ててサイカに止められるギルベルト。

 なので少し力を緩め、再度尋問を開始する。

 だがその結果、この武装連中の意外な正体が判明した。


「はあ!? カシュラーゼから派遣された傭兵軍団だあ!?」

「えっと……つまり今の話を纏めると、このウェイスの町って言うのはそもそも埋められていなかったって言うか、埋められて放置された様に見せ掛けていたって事よね?」


 何と、遠い昔にここを埋め立てて放置していたと言うのは表向きの理由らしく、その埋め立てた様に見せ掛けていた町の中で密かにドラゴン復活に関する研究が続けられていたらしいのだ。

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