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179.決着! ドラゴン集団

 だが、ドラゴンの生物兵器……黒いドラゴンはかなりの魔術の使い手だと言うのが分かった。

 四属性のドラゴンを自らの配下に置いているだけあってか、このドラゴンもまた獰猛な性格なのがその動きから見て取れる。

 今までそれぞれが戦っていたドラゴン達はそれぞれの属性の魔術しか使えなかったし、その属性に強い人員で立ち向かったからこそ各個撃破に成功している。

 しかし、この黒いドラゴンの生物兵器は何と四つの属性の魔術を全て使いこなすのだ。

 火属性で二人を焼き殺そうとし、水属性で二人を溺死させようと企み、土属性で生き埋めにしてしまおうと考え、風属性で全身を切り裂いてしまおうと画策する。


「くっ、カシュラーゼの野郎共はこんなあぶねえ奴を生み出したってのかよっ!?」

「そうらしいな。こんなのが世の中に解き放たれたら世界が滅亡してしまうぞ!!」


 ギルベルトもレウスも、四属性全ての魔術を繰り出して来るこのドラゴンに手を焼いている。

 今の所、レウスの展開する魔術防壁で何とか魔術をブロックしながら反撃のチャンスを窺っているのだが、幾ら魔力が常人の十倍あるレウスと言えども使える回数には限りがある。

 しかもこのドラゴンの物理攻撃もなかなか素早く、それでいて身体が大きな分そのリーチも長いので、今までのドラゴンと比べて広く間合いを取らなければならないのも、なかなか反撃に転ずる事が出来ない理由である。

 前足を使って爪で二人を引き裂こうとしたり、尻尾をブン回して二人を吹っ飛ばそうとしたり、首を伸ばして噛み付いて来たりとやっている事は他のドラゴンと変わらないのがせめてもの救いと言えるだろう。

 なのでここはこのドラゴンと戦う前に使っていた、一方が囮になっているその間にもう一方が攻撃すると言う手段で仕留めてしまおう、と決意する。


「俺が魔術防壁を展開しながらこいつを引き付けるから、その間にギルベルトが後ろなり腹なりに集中攻撃してくれ!」

「任せろ!」


 エネルギーボールを生み出しつつレウスがそう言い、作戦がスタート。

 まずはその生み出したエネルギーボールをドラゴンの顔面に当てて、奴の注意を自分の方に向けさせるレウス。


『ガアアアアッ!!』

「こっちだ、良く狙え!」


 更にもう片方の手にもエネルギーボールを生み出していたのでそれも続けて当ててやり、完全に注意が自分の方に向いたのを確認して、魔術防壁で再度ドラゴンの爪をブロックするレウス。

 攻撃力が高い相手とは言え、まだまだこのレベルなら片手程度の魔術防壁で十分に攻撃を無効化出来る。


(あいつが奴の気を逸らしている今の内に……)


 ハルバードに魔力を送り込みつつ走り出したギルベルトが、ドラゴンの懐に潜り込んでその腹目掛けてハルバードを思いっ切り突き刺し、ファイヤードラゴンにやった時と同じ様にハイパーエクスプロージョンを発動させる。


「ハイパーエクスプロージョンッ!!」

『ガ?』


 だが、ここで思わぬ誤算が。

 柔らかい腹の部分にハルバードを突き刺したのは良かったのだが、想像以上にその腹の部分が固くなっており上手く突き刺さらないのだ。

 そんな状態でハイパーエクスプロージョンを発動しても大したダメージが与えられず、むしろ中途半端にダメージを与えたせいでドラゴンを怒らせてしまった!


『グガアアアアアアッ!!』

「うごおっ!?」


 身を震わせてハルバードごと振り払われてしまったギルベルト目掛け、ドラゴンは自分の翼を上手くヒットさせて空中から地面に彼を叩き落とす。

 まるでハエが叩き落とされたかの様な音を立てて、地面に身体を強く打ち付けたギルベルトはすぐに起き上がる事が出来ない程にダメージを受けてしまった。


「うぐぅ……くそ……」

『ギャウウウ、ガアアアッ!!』


 ギルベルトの無様な姿を見つめて勝利の雄叫びを上げるドラゴンだが、敵はまだもう一人居るのをこの時完全に忘れていた。


「油断しているんじゃないぞ!」

『ガッ!?』


 レウスの魔力とスピードを乗せた槍の刺突が、先程ギルベルトのハルバードによってつけられた傷の中に食い込む。

 今度は先程よりも深く槍が刺さり、そこにギルベルト以上の魔力を注ぎ込んだ槍のハイパーエクスプロージョンが炸裂した。


『グギャアアアアアアアッ!?』

「これもついでに食らえ!!」

『アンギャアアアアアアッ!!』


 腹の中目掛け、事前に生み出した巨大なエネルギーボールを投げ込むレウス。

 腹の中で再度起こった爆発で内臓をやられ、そこにエネルギーボールでとどめの一撃を受けた黒いドラゴンの生物兵器は、腹を中心に爆発が広がって行く。

 レウスは自分の槍を引っこ抜いて素早くそこから退散しつつ、ギルベルトの近くに駆け寄って魔術防壁を自分の周りに展開してから彼に回復魔術を掛け始めた。


「おいギルベルト、大丈夫か!!」

「あ、ああ……何とか俺は平気だ、ありがとうなレウス……でもあいつは?」

「見ての通りさ。もう終わりだよ」


 レウスが手で指し示した方を見てみたギルベルトの目に飛び込んで来たのは、腹を中心に大ダメージを受けて、そのまま力無く古代穴の中に向かって倒れて行く黒いドラゴンの姿だった。

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