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174.暴風! ウィンドドラゴン

登場人物紹介にサイカ・エステル・エリクソンを追加。

https://ncode.syosetu.com/n0050fz/2/

 火属性のソランジュと助っ人のレウスはウィンドドラゴンの元に向かい、水属性のサイカが属するチームと助っ人として参戦するギルベルトはファイヤードラゴンを討伐しに向かった。

 土属性のエルザ率いるチームはウォータードラゴンの方へ駆け出し、風属性のアレット達はアースドラゴンの討伐を担当する。

 相手の属性に対して強い属性を持っている者が居れば、優先的にそちらへと回るのは戦場では基本中の基本である。


「くっ、鬱陶しい風だな!!」

「踏ん張って耐えるんだ。あいつの起こす風で自滅を狙うんだ!!」


 ソランジュとレウスのチームが相手になっているウィンドドラゴンは、風属性の魔術を中心に戦う。

 無数の風の刃によって敵の全身を斬り裂くウィンドカッターを始め、その強力なバージョンであるストームカッター等、自分にとって影響が無い風を起こして相手の動きを封じ込めると共に、その風によって動きが鈍くなった所を一気に仕留めるのが基本的な風属性の魔術の使い方だ。

 更に風属性の魔力を持っている生物は、他の属性の生物と比べても行動スピードがかなり速いのがメリットである。

 今、ウィンドドラゴンはこうして討伐部隊のメンバー達によって囲まれてしまっているものの、巨大な竜巻を一発でも起こしてやればそれだけで全員を吹き飛ばせてしまう。

 それに風を起こしてやる事で、魔術の詠唱を強制的に中断させる事も出来るのでアレットの様な魔術師はかなり不利になる。

 レウスもレウスで、大きな魔術を使う為にはそれなりの長さの詠唱が必要となる為、その隙を狙う様にしてウィンドドラゴンの風に翻弄されている状態だ。


「くそっ、これじゃあ全然詠唱が出来ないじゃないか!!」

「動きも速いしかなりの強敵だな……」


 動きが速いと言う事は、その分相手に対して先手を取って攻撃が可能となりやすい。

 歩くスピードも他のドラゴンと比べて速めだが、そこは所詮ドラゴンなのでたかが知れている速さである。

 しかし、ドラゴンは本来翼を持って大空を飛び回る生物なので主戦場も空となる。

 ウィンドドラゴンは自分の身体に風を纏わせてスピードアップを図り、一気に遠くまで飛ぶ事だって出来てしまう。

 更に翼の羽ばたきによって起こせる風の量も、他の属性のドラゴンと比べて二倍近いので単なる羽ばたきでもかなり厄介である。


「ぶふっ!?」

「ソランジュ!!」


 ウィンドドラゴンの翼の羽ばたきによって踏ん張り切れずに地面を転がったソランジュだが、レウスが彼女を起こしに行く前に彼に向かってウィンドドラゴンの前足の鋭い爪が迫る。


「ちっ!!」


 反射的に片手で魔術防壁を展開し、ガキーンと鈍い音を立てて防御する事に成功したレウスはソランジュを起こした。


「無事か、ソランジュ?」

「ああ……何とかな。だがあいつになかなか近づけないのは悔しいな」

「確かにそうだな……」


 レウスが一瞬で魔術防壁を展開したのも、もう「彼がアークトゥルスだから」と言う事で驚かないソランジュ。

 しかし、レウスもソランジュもそれから他のメンバーもウィンドドラゴンに近づく事が出来なければどうしようも無いのだ。

 あの山の上で戦ったワイバーンは火属性だったのでそこまで強敵では無かったのだが、今回の相手は上手く風を使って自分に有利に戦いを進めている。

 だったらもうこうするしか無いと考えたレウスは、右手に魔力のエネルギーボールを作り出してウィンドドラゴンの死角からぶつける。


『ガアアッ?』

「俺が囮になる。その間に全員で集中攻撃するんだ」

「えっ、そんな無茶な!

「さあ来てみろ、お前の相手は俺だけだ!」


 ソランジュの心配をよそに、レウスは再びエネルギーボールを作り出してそれをウィンドドラゴンに向かって投擲。

 流石に二度も同じ手は食ってくれないのか、その巨体に似合わない素早い身のこなしでサッとエネルギーボールを回避したウィンドドラゴンは、完全にレウスだけをターゲットに定めて攻撃を開始する。

 その間に立ち上がったソランジュは、他の討伐部隊のメンバーと共にウィンドドラゴンの後ろ足側へと回り込む。


「はあっ!!」


 ロングソードに魔力を注ぎ込み、火属性の攻撃効果を生み出す連続突きでウィンドドラゴンの後ろ足を攻撃して文字通り足止めをするソランジュ。


『グガ、ガアアッ!?』

「余所見してると怪我するぞ!!」

『ギャウウウッ!?』


 後ろ足の方に気が行ってしまったウィンドドラゴンの顔面に、火属性のエネルギーボールをぶつけるレウス。

 それに続けてソランジュが更に後ろ足を刺しまくり、魔術師達がファイヤーボールを四方八方からぶつける。

 次第に炎に包まれて行くウィンドドラゴンは何とか風を起こして火を消そうとするが、スピードを上げるべく自分の身体に向けて纏っているその風が更に着火を後押ししてしまう。


『グギャアアアッ!!』

「よっし、全員退避だ!!」


 レウスの指示で討伐部隊のメンバー達が一斉にドラゴンから離れ、自分の風によって燃え上がるウィンドドラゴンの断末魔を聞きながら、他のドラゴンと戦っているメンバー達の援護に向かい始めるのだった。

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