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154.魔物への対処法

 翌日。

 いよいよ山に向かって出発する前に、山の方に居る魔物達のリーダーとされている赤サビ色のワイバーンの情報を集める一行。

 だが話を聞けば聞く程、相当厄介な相手らしいのが分かった。

 大きさは普通に見かけるワイバーンよりも一回り大きいらしく、その上ドラゴンの生物兵器の影響なのかは不明だがかなり凶暴な性格だとの情報もゲット出来た。

 畑の作物等には余り興味が無いらしく、家畜を襲って食べてしまうので畜産関係の被害が甚大なのだとか。

 山の中では他の魔物もワイバーンによって何匹も食べられてしまったらしく、魔物の残骸が幾つも発見されているのがその証拠だ。


「骸骨のスケルトンまで食べちゃうんだって。雑食よ、雑食」

「うひゃー、それって本当に見境が無いのね。ワイバーンって確かに凶暴な連中だけど、今回のはかなり危険らしいわね」


 アレットとサイカがワイバーンについてそれぞれの思いを巡らせる一方で、いよいよこのワイバーンを倒しつつ山を抜ければ噂になっているドラゴンの生物兵器に会えると考えるレウス。

 しかし、その生物兵器の情報については今まで泊めて貰っていた村では聞く事が出来なかった。

 厳密に言えば村人達も噂では聞いている程度なのだが、民間人達への生物兵器の被害を避ける為に北のエリアの一部が騎士団によって立ち入りを制限されているらしいのだ。

 なので大した噂も流れて来ないままこうしてここまで来てしまったが、果たして大丈夫なのだろうかと不安に思うレウスにエルザが声を掛ける。


「怖い顔をしているがどうしたんだ? 貴様は何か思う事があるのか?」

「いや……生物兵器がどんな奴なのかが気になっているだけだ。お前と一緒に撃退した学院での生物兵器の事もあったし、今回はどんなのが相手なのかの情報も全然集まっていないからな」

「確かにそうだな。あの時と同じドラゴンが相手だと言う確証も無い訳だし、レウスが戦術に長けているからと言ってそれが通用しない相手だったら危険だしな」


 そこまで言って、ふとあのバジリスクとの戦闘前にレウスが話そうとしていた内容とは一体何だったのか? と疑問に思うエルザ。


「そう言えば戦略で思い出したんだが、結局あの砂漠の魔物への対処法って何だったんだ? やり様によってはちゃんと対処出来るんだって言ってたが、魔物が現れたから聞けなかっただろう」

「ああ、それは音と振動だよ」

「音?」

「そう。砂漠の魔物ってのはサンドワームだって、あのバジリスクだって地中を移動するものがかなり多い。だが地中だと砂に遮られて視界が全く無いからな。その代わりに地上の様子を音と振動で察知して、タイミングを見計らって地上に飛び出して襲い掛かるんだよ」


 実際、バジリスクの尻尾の部分になっていた魔晶石に矢を放っても何もリアクションが無く、痺れを切らして近づいた討伐部隊のメンバーが穴に落ちそうになったのはその魔物の攻撃方法の一種だった。

 あのままもう少し近づいていたら穴に落とされていた様に、地上の足音や砂を踏みつける事で発生する振動を砂の中で察知してタイミングを計っていたのだと分析出来るレウス曰く、砂漠の魔物の大半はその習性を逆に利用して倒すのが鉄則らしい。


「例えばこんな小石でも囮に使うのにかなり有効だ。あの時お前が放った矢は尻尾の部分に刺さったからリアクションが無かっただけで、小石をこうやって尻尾のそばの地面に投げ付けてやれば穴を勝手に開けていてくれてたかも知れない」

「だったら先にこの方法をやってくれれば良かったじゃないか」

「すまんすまん、あの時は相手がどう出て来るかを見ていたからそれを失念していた。次からはお互いに気を付けつつ、この方法を実践してみよう」


 レウスの砂漠の魔物への対処法講座も終了し、一行はいよいよ山に向かって進軍を開始する。

 この山は入り組んでいて結構な距離があるらしいので朝早くから出発して休み休み進軍して、魔物との戦いも考えて夕方頃に下山出来ればベストだと考えていた。

 こっちはまだまだ魔物の駆除が進んでいないとなると、下手にこの山の中でキャンプを張ればその魔物に襲われる可能性が高くなるので、さっさと超えてしまうのが一番良いとみんなで判断した上での進軍計画だ。

 問題はその赤サビ色のワイバーンがどのタイミング出て来るのかだが、もしかしたら下山しても出て来ない可能性だってあるので山の中に入らないと分からないのはもどかしい。

 なので、エルザはここで早速その


「じゃあワイバーンへの対処法を今の内に教えておいてくれ」

「ワイバーンは……まずこの村で集めた情報通り、基本的には雑食だ。だから人間も獣人も見境無く襲って来る。それからこれは属性によって違うんだが、ブレスによる幅広い範囲への攻撃がかなり厄介だ。俺達の規模の集団なら簡単にそのブレス攻撃で一気に仕留められてしまうかも知れない。火属性だったら炎のブレス、水属性だったら鉄砲水のブレスとかな」


 しかし、レウスが言うには何よりも厄介な点がワイバーンにあるらしい。

 この後にそれを聞いたエルザは「あー……」と納得するしかリアクションが無かった。

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