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150.vs魔物の集団(砂漠戦)

15万PV突破、ブックマーク150件突破、評価350ポイント突破。

感謝感謝です。評価も感想もありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

 しかもその時に呑み込まれてしまったのは獣人の騎士団員らしく、身体能力に優れた獣人が更に戦闘力を上げた職種の騎士団員を丸呑みしてしまう危険な魔物だ。

 その農村から北に向かって一日半進んだ場所にあるのが、問題の砂漠地帯。

 特に何も名前の無い砂漠で、バランカ砂漠の様にずーっと砂地が広がっている訳でもなく、一部は緑が残っている部分もある上に川まで流れているので水不足は心配無い。

 ただし、その砂漠地帯に向かう間にも勿論魔物達が闊歩しているので、農村を後にして馬に乗って再び進み始めた一行の緊張感がまた高まって行く。


「なあ、冒険の経験がある三人に聞きたいんだが、砂漠地帯の魔物って土属性の魔物が多いって聞いた事がある。だから風属性の強化をした者をメインに戦うべきなのか?」

「基本的にはそうなる。だが、砂漠地帯の魔物は何かと嫌らしい魔物が多いからどっちかって言えばそっちに気を付けるべきだ」

「嫌らしい魔物……?」

「ああ。ソランジュの言う通りで、バランカ砂漠のサンドワームもその蛇の魔物も地中を移動する様な奴だからな。奇襲が得意な魔物は何処からやって来るか分からない以上、普通に対峙するよりも何倍も怖い。だが……やり様によってはちゃんと対処出来るんだ」

「そうなのか?」


 だったらぜひ教えてくれとエルザが更に聞き出そうとした矢先、魔物の集団がタイミング悪く現れたので会話は中断である。

 北に向かうにつれて魔物の駆除が進んでいないと言われていたのはやはり本当だったらしく、魔物に出合うスパンが短くなっているのを実感していた。

 しかもその過程で気が付いたのは、帝都のグラディシラから離れるに連れて現れる魔物集団の中に、大型の魔物が混じっている割合が多くなっている事である。

 小型の魔物ばかりならさほど労力も掛からずにすぐ倒せるので進軍も楽なのだが、トレントが二体同時に現れたりするパターンも出始めたので気が抜けない状態が続く。


「はぁ、はぁ、ふう……これでようやく終わりかしら?」

「そうね……こっちも戦闘力上げて来てるから自信満々だったけど、甘かったわね。やっぱり武器の強化をして来ただけじゃそうそう簡単に進ませてくれはしないって事かしらね」

「俺の魔術もそう多くは出せないからな。向こうは数の差で有利なだけで、一匹一匹は大した事は無いんだが、ここまで次から次へと来られると厄介だな」


 アレットもサイカもレウスも休み休みの進軍なので、なかなか北に向かわせてくれないのが現状だ。

 地面が段々砂漠化して来ているのを見ると確実に北に向かっているのは分かるのだが、このペースで襲われるとこちらの戦闘力が落ちてしまうのでそこを魔物達に付け入られる可能性が高い。

 武器も防具も使い過ぎると壊れてしまうし、魔術だって休んで魔力を回復しないと魔力切れで使えない。

 しかも騎士団員や魔術師が言うには、ここまでの魔物の増え方は異常だと言うのだ。

 もしかすると、噂のドラゴンの生物兵器が魔物達に何らかの影響を与えているのかも知れないとの見方をしているイーディクト帝国部隊。

 その真偽は不明だが、とにかくここまで魔物が多いとなると進軍計画にも遅れが出て来そうなので移動スピードを上げたい一行である。

 なので少しペースを速めにして移動を再開した一行の目の前に、まさかのあの男が現れたのはもう少し砂漠化が進んだ地帯に入った時の事だった。


「よぅ、また会ったな」

「え……何で貴様がここに居るんだ?」

「おいおい姉ちゃん、貴様呼びはねえんじゃねえのかあ?」


 オールバックで前髪の一部が垂れている銀髪に、筋骨隆々で大柄な体躯を持っており、自分の背丈程もありそうなハルバードを武器として所持しているのは間違い無くあの地下闘技場で出会った案内係の……。


「そんな事はこの際どうでも良い。あんたは確かサィードって名前の男だな。ホルガーって便利屋から色々と聞かせて貰ったよ。あそこの闘技場でたまに用心棒をやってるって話だったけど、そのあんたが何故ここに居る?」

「俺か? だって俺は傭兵だからよぉ、こうやって戦って金稼がなきゃ生きていけねえんだよ。魔物もこの先の奴等は俺があらかた倒しちまったしなあ」

「え? 倒した?」

「そうだよ。おかげで素材もたんまり集めさせて貰ったさ」


 ほら、と肩に掛けた紐付きの麻袋を一行に見せるサィード。

 もうパンパンに膨らんでいるその中身は、彼の言う通り魔物の部位が詰め込まれているのだろう。

 彼の後ろで縛っている長めの銀髪と同時に、袋が重そうに風に揺れてその存在感を主張する。


「で、オメー等はこの先の砂漠の蛇野郎を倒しに行くんだろ? まあせいぜい頑張れや。俺が雑魚共はあらかた片付けてやったんだから感謝しろよなー」

「え、一緒に行ってくれないの? そこまでやったんだったらもう少し付き合ってくれないかしら?」


 しかし、今だに敵か味方か分からないサィードは首を横に振った。


「へっ、それは出来ねえ相談だな。俺を雇いたいってんならそれなりに金が要る。それから俺が仕えるに値する様な実力を持った奴じゃなきゃ俺は金を積まれても嫌だね。とりあえず俺はグラディシラに戻る。また会う時は手土産の一つでも持って来いよ。話はそれからだ」

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