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145.北へ出発

 リーフォセリアの現状を聞いた所で、指名手配されている自分達が戻る訳にもいかないレウス達は、ゴーシュとファラリアを残して北へと向かうべく出発する。

 シャロットの意向によって馬を貸して貰える事になったレウス達だが、実は移動用のワイバーンもあるらしいのだ。

 しかし、ゴーシュとファラリアに秘密にしてある今回の討伐目的の魔物はドラゴンの生物兵器。

 となるとドラゴンの仲間であるワイバーンを使って空からアプローチすると、思わぬ所でそのドラゴンの襲撃を受けて墜落してしまう可能性も考えられる。

 それを避ける為、時間は掛かっても地上から北に向けてアプローチをした方が良いだろうと全員で話し合った結果、シャロットが馬を貸してくれたのだ。


 レウスは前世で散々馬に乗っていたから身体が覚えているし、アレットやエルザは騎士学院で馬術が必須科目だし、ソランジュとサイカは冒険者としての移動手段で馬に乗るのは当たり前だったので全員乗馬の経験がある。

 なので馬で行ける所まで行き、そこから徒歩で更に北へ向かう計画を立てて出発だ。

 食料とお金も持たせてくれたシャロット、それから一ヶ月位はこのイーディクトに留まって帝国内の商人達と関係を持ちたいゴーシュとファラリアに見送られ、帝都グラディシラを後にする一行。

 雪深い季節だったら絶対に馬では向かえなかっただろうなと安堵しつつ、魔物の駆除を兼ねた進軍がスタートした。


 今回は自分が既にアークトゥルスの生まれ変わりだと周囲に知られているレウスは、威力の高い魔術も使える機会があればちゃんと使って、魔物を討伐するのに役立てたいらしい。


「あの陛下がみんなにペラペラ話しちゃったらしいから、俺が既にアークトゥルスの生まれ変わりだって知られているってなれば、正体を隠してコソコソやる必要も無い。魔物は俺達人間や獣人の存在を脅かす存在だからな。今回は気張って行くさ……」


 何時もと何かが違うレウスの気持ちの表明に、思わずサイカがこんな質問を。


「やけに気合い入っているわね。何か思う所でもあるの?」

「前世のアークトゥルスの時にも魔物の巣窟に向かった事があるんだが、そこで俺達のパーティーが危うく全滅の危機にあったんだ」

「えっ……そうなの?」

「ああ。ドラゴン討伐のパーティーだからって無敵じゃないからな。魔物相手では時に危機的状況になる事だって勿論ある。その一件が、今の……ええと、何処になるのかはちょっと忘れたけど、凄く南の方にある山の中で、魔物の縄張りに入ってしまった事があってな。そこで大勢の魔物に囲まれた。大きなものから小さなものまで沢山の魔物に囲まれ、最終的に山を一つ炎で焼き払って全滅させたんだ」

「うわ……それはえぐいわね……」


 しかし、それは仕方の無い事だとレウスは言う。


「細かいのまで含めたら何匹居たかは分からないが、あの時は本気で死を覚悟した。アレットと最初に会った時もそうだが、魔物って言うのは徒党を組んで集団で襲い掛かって来るのが当たり前だからな。逆に単体で行動している方が珍しい。しかし、その時は既に山全体が魔物の巣窟だった。俺達を仕留める為に、魔物達が罠を張っていたんだ」

「魔物が……?」

「何で分かったんだ? 罠を仕掛けていたというのを……」


 サイカとは逆隣りに馬を近づけて来たソランジュも興味津々の表情で、レウスにその話の続きを促す。

 ある意味で貴重なその時の体験を、レウスはアークトゥルスとして話し始めた。


「その魔物達の集団のリーダーがワイバーンだったからだ。それも一匹じゃなくて二匹も居た。白と黒のワイバーンが魔物達を扇動して、自分達が先導して罠を仕掛ける様に指示を出していたらしい」

「白と黒のワイバーン?」

「そうだ。後で分かったんだが、そのワイバーンは俺達が討伐したドラゴンのエヴィル・ワンの配下だったらしい。俺達が動いているって情報を魔物の繋がりで手に入れたエヴィル・ワンは、俺達に色々と配下を差し向けた。その一つが白と黒のワイバーンコンビだったんだよ」

「それ、誰から聞いたんだ?」

「誰? いや、これはエヴィル・ワンが自分で言ってたんだよ」

「は? そのドラゴンって喋るのか?」

「そうだよ、喋るよ」


 衝撃の事実。

 魔物は人間や獣人の言葉を理解出来ないと思っていたのに、まさか言葉を発して意思疎通が可能だったなんて。

 だが、それはレウス達にとっては当たり前の話だったらしい。


「魔物が私達の言葉を喋るなんて信じられないわ」

「確かにそう思うだろうな。アークトゥルスの俺だって最初に聞いた時はビックリしたさ。だけどこれは本当にごく一部の魔物に限った話になる。知能が発達している魔物であれば人間や獣人の言葉を理解して、そして会話が出来るんだ。ほら……スケルトンって居るだろ、あの骸骨の。あれが骨をガタガタ鳴らしながら会話出来るのと同じ理屈だよ」

「ちょっと何言ってるか分からないな」

「……まあ、とにかく喋る事が出来る魔物も居るって話だ。白と黒のワイバーンは会話出来なかったけど、山の中の話で最後に現れたのがそいつ等だったから「あ、こいつ等がリーダーだな」って分かったんだ」

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