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129.武具のグレードアップの為に

「私は特に、そんな便利屋なんか使わなくても良いと思うけど」

「でも今の私達って、お金はあるけど武器も防具も修理に出しちゃったから依頼出来たら便利じゃない?」

「うーん……もし彼の言っている事が本当なら私は使えるものをどんどん使うべきだとは思うぞ。私達と一緒に素材集めもしてくれるだろうし、役に立つ話も聞き出してくれるかも知れないだろう?」

「地元だけどそんな便利屋の話なんて聞いた事が無い。私は反対だな。ぼったくられでもしたらかなわん」


 相談の結果、見事に意見が二対二で割れてしまった。

 アレットと地元のソランジュが反対で、エルザとサイカが賛成である。

 五人のパーティーと言う時点でこんな事もあるだろうと考えていたが、実際にこうして真っ二つに分かれてしまうと判断に困ってしまうのがレウスである。


「じゃあここは、リーダーのレウスが決めるべきだと思うわ」

「そうだな。最初に便利屋の話を聞いて来たのはお主なんだからな」

「貴様が反対だったら反対で良いし、賛成だったらそれに従うだけだ」

「で……どうするのよ?」


 サイカ、ソランジュ、エルザ、アレットの四人からジーッと見つめられ、物凄い圧力を感じながらもレウスはこう答えた。


「……さ、財布の中身と相談してからにしないか?」

「うわっ、そのどっちつかずの意見ってちょっと卑怯な気がするわよ」


 ホルガーにもう一度会いに行く事にしたのだが、依頼するかどうかは彼が提示する金額を聞いて財布の中身と相談してから、と言う成り行き任せの判断を選択したレウスに、サイカが思った事をそのまま口に出す。

 しかし、サイカのセリフに対してレウスは冷静に言い返し始めた。


「考えてもみろ。俺達はソランジュ以外この国では余所者だし、限られた予算と相談するのは当たり前の事だ。確かに使える物を使えるだけ使うと言う考えも大事だとは思うが、先立つ物が無ければどうしようもないだろう?」

「まあ、それは確かにそうね」

「それに、俺達の本来の目的はあくまでもカシュラーゼに行く事だ。それにリーフォセリアから俺の親父が来るかも知れないって話もあるんだし、金の使い方は慎重に考えるべきだと思う。……もう一つの方法としては、ギルドですぐに達成出来そうな依頼を見つけてそれぞれで稼いでおいて、その報酬を使って俺達に出来ない事をやって貰うって手もあるだろうが……だからその考えが今纏まっていないからこそ、財布の中身と相談するって話だよ」


 何だか自分でも話がメチャクチャになってきた気がするので、やや強引にそう結論付けたレウスは未だ納得しきれていない四人を連れて、ホルガーの家に向かった。


「……ここかな?」

「そうらしいな。この看板の様子からするとまだそんなに事業を始めて日が浅そうな気がするが……」


 ソランジュが看板を見てそう分析する横で、茶色の屋根のあばら家のドアをコンコンとノックするレウス。

 すると図書館から帰宅していたのか、中からホルガーが姿を現した。どうやらここで合っていたらしいので一安心するレウス達。

 しかしホルガーの方は、図書館で別れてからまさかこんな早く自分の家にこの五人がやって来るとは思っていなかったらしく、完全に拍子抜けの表情である。


「おっ、おお? 何だよあんた、もう結論出たのか?」

「ああ。依頼の内容と代金によって決める事にした」

「へっ? ってことは俺が提示した代金に納得したら俺を雇ってくれるって事か?」

「そうなる。俺達は余所者だから財布の中身と相談する事に決めたんだ」

「あ、ああ……そうなのか。とりあえず中に入れよ」


 キッパリとそう言い切ったレウスに対し、ホルガーは苦笑いを浮かべながら頷いた。

 ここまで言われてしまうと強引に納得させられた感じが否めないが、とりあえず玄関先で立ち話も何なのでホルガーは五人をあばら家の中へと招き入れた。


「……で、俺に何を依頼したいんだ?」

「話し合って決めたんだが、俺達は武器と防具の強化をしたい。その為に魔物の素材を集めたいんだが、今は武器も防具も修理に出してしまっている。正直言って戦える道具が無い。だから俺達がこのグラディシラの中でギルドの依頼を受けに行って金を稼いでいる間に、俺達の代わりに素材集めをして来てほしいんだ」

「分かった。それならさっきも言った通り俺なら出来るが……強化して欲しい武器とか防具によって必要な素材は変わって来るし、場合によっては強い魔物相手になると俺が無理って事も十分にあり得るからな。そこだけ分かってくれよ?」

「ああ、それは承知の上だ。強化したいのは槍、ロングソード、魔術のロッド、弓、小振りのバトルアックス二本、シャムシールだ」

「ちょちょちょ、ちょっと待ってくれ……今メモを取るから」


 自分を含めた六人が座っている机の側にある棚の引き出しから紙とペンを取り出し、ペン先にインクをつけてサラサラとメモを取るホルガー。

 ここまでは普通に依頼をする流れとして何ら不自然では無いのだが、次の瞬間ホルガーが不自然な事を言い出したのが切っ掛けで、レウス達はまたもや大きなトラブルに巻き込まれる破目になるのであった……。

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