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冥(女)王の(義)息子、甘やかされる

「グラント様!グラント様!」


冥界の支配者が住む城。

その中庭に、メイド服に身を包んだ女性の声は響く。


中庭にある大きな木の下が名前の持ち主のよく隠れる場所だと城の召使たちはよく分かっている。

案の定、木に近づくと男の子の姿が見えてくる。


見た目は5歳ほどの黒髪短髪、そして瞳も神秘的な黒の男の子。

声に反応して、ビクッと体を震わせると、声のしたほうを振り向く。


「見つかってしまったようですね。」


「もう、お母上様も心配なさっておりましたよ。

さぁ、早く戻りましょう。」


見たところ、グラントは何かから逃げていたようだ。

冥界の支配者の、義理とはいえ身内とあればそれ相応の教養を必要だと、

毎日勉強漬けになることは想像にかたくない。

逃げたくなるのも分かってしまう。


「アイデスさん、もう少しこの本を読んでもいいですか?

あともうちょっとでキリのいいところまで読めますんで・・・」


オロオロしながら伺うグラント。

それに対して、メイドは首を振ってきっぱりと言った。


「ダメです。昨日の夜もそう言って勉強をやめようとしなかったではありませんか。

これ以上勉強しては体に悪いです。すぐに城に戻り、お菓子でもいただきましょう。

お母上様も待っておいでですよ?」


どうやら逆だったようだ。

城では勉強できないからせめて教材だけでも持ち出して逃げていたといったところか。

勉強のしすぎだからやめなさいというのも珍しいものである。


それはそうと、なぜ護衛騎士がメイドなどやっているのか。


真面目でお堅い護衛騎士でも、愛らしい男の子の魅力に魅せられてしまったのが事の発端。

部署の異動を願い出て、それが受理されてのことだった。


ペルセ自身、私よりもグラントの安全が最優先です!と言い切り、即受理に至った経緯がある。


「さぁ、グラント様、参りましょう。今日はグラント様の好きなクッキーをご用意してございます。」


アイデスのその言葉に、目を輝かせるグラント。

グラントは甘党なのだ。

言うことを聞かせるには、甘い物。

これも城で働く者たちの常識であった。


「アイデスさん、早く行きましょう。」


そう言って、アイデスの手を握ったグラントは、早足に城に向かう。

グラントの魅力に取り付かれたメイドは、きりっとした顔がふやけてデレデレになっていたとだけ追記しておく。


城内、冥界の支配者プライベートルームにて。


「母様、ただいま戻りました。」


部屋に入ると、豪華なソファに机が並び、机の上にはいろんな種類のお菓子が並ぶ。

そして、入って正面のソファには白銀の長髪の美女が座っていた。


「やっときたのですね、グラント。

さぁ、こちらに来て母と一緒にお菓子でも食べましょう。」


白銀の美女、ペルセが自分が座るソファの隣をポンポンとグラントに座るように促す。

誘われた場所に向かおうとしたグラントだが、誰かに抱き上げられてペルセの座るソファの対面へ。

グラントが見上げると、アイデスのきりっとした顔が。


「アイデス、何のつもりです?」


常に微笑を浮かべているペルセであるが、今回に至っては目が笑っていなかった。

目元も少しつり上がっている。


「グラント様をお連れしたのは私なのですから、それ相応の報酬をいただくのが筋というもの。

報酬は私の膝に乗せてお菓子を食べていただく、それでよろしくお願いいたします。」


本人の意思とは無関係に話が続いてしまう。

グラントは困った顔をしながらも、ペルセに負けず劣らずの美人にソファで抱きかかえられていることに

強く言えないでいた。


ペルセと同じ白銀の髪を後ろにまとめ、きりっとした表情は見る人が見れば少し冷たい印象を受ける。

しかし、騎士の格好をしていれば、まるで物語に出てくる聖騎士のように気品があり、

メイドの格好をしている今とあっては、出来るメイド長といったところ。

ペルセを綺麗な美人、アイデスをかっこいい美人といえば分かりやすいと思う。


「一介のメイドが報酬を望むなど身の程を弁えなさい。

それも、私のグラントを報酬とするなど、万死に値しますよ?」


「冥界の支配者が万死とは、中々笑えない冗談でございますね。

確かにグラント様のお母上で在らせられるのはペルセさまでございますが、

グラント様は冥界に無くてはならないお方。

そのお方を、例えお身内であっても独占するのは如何なものかと思われますが?」


当の本人を無視しての言い合いに突っ込むところが多いのは置いといて。

渦中のグラントといえば、とうとう我慢できずに抱きかかえられている状態から手を伸ばし、

クッキーを食べようとしたのだが、届かずショボンとしていた。


見かねた、別のメイドが手ずからクッキー食べさせている。

そのメイドもグラントに対してでれでれの様である。


さて、なぜそこまでグラントが認められるどころか好意まで抱かせているのか。

それは、冥界の、ひいては神々の住まうこの世界の男神事情にあった。

大体一話2000文字を目安にしようとしているのですが、どうなのでしょう?

と、のんびり甘い物を食べながら申しております。

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