第十四話
シグはちらりとアニスの方を見る
アニスは先に出てきた悪魔達の相手をしており加勢は期待できそうにない
シグはウィオレンティアの方を再び向く
「散れ、永遠に」
魔力を込め引き金を引く
純粋な破壊力が込められた魔力がウィオレンティアの胴体の中央、8年前に撃ち抜いた場所を穿つ
ウィオレンティアの身体が崩れ落ちる、だが…
「残念だったなぁ!」
カースド・ソウルイーター・デーモンの中から再びウィオレンティアが現れた
「やはり駄目か」
「そういうこった!くたばりな!」
ウィオレンティアがシグに向かって走り出す
シグはリボルバーをウィオレンティアに向け、放つ
「甘ぇんだよ!」
ウィオレンティアは放たれた《魔術》を殴り飛ばし破壊する
「八年ぶりで忘れたか?俺は{暴力}の悪魔だせ?」
そのままウィオレンティアはシグの頭を掴み持ち上げる
「ぐああああっ!!?」
「ハッハァー!!」
ウィオレンティアはシグからリボルバーを奪い取り、握り潰す
「ぐあぁっ…《炎よ》!」
シグの目の前に魔法陣が現れるが、それが効力を発する前にウィオレンティアに殴り壊される
「成程?餓鬼、てめぇ《魔導武装》無しでの《魔術》、ロクに扱えてねえな」
そう言うとウィオレンティアは手に炎を灯す
「《炎よ》だとか《雷よ》だとか、そういう初級詠唱しか使えねえようじゃ、やっぱりまだまだ餓鬼だな」
シグの腹部がウィオレンティアの拳によって貫かれる
「は…っ…!?」
「じゃあな、餓鬼」
ウィオレンティアは腕を振るい、シグをカースド・ソウルイーター・デーモン目掛けて投げる
「シグ!」
目の前の悪魔達を片付けたアニスが叫ぶ
カースド・ソウルイーター・デーモンの体が裂け、穴が空く
その穴でシグを受け止め、そして…
ぐしゃり
「あ…ああ…」
「はい、おしまいっと」
シグの体がカースド・ソウルイーター・デーモンによって押し潰され、血と肉片へと変わり果てた
「アレは生き物の魂を喰らう{暴食}と{輪廻}を司る悪魔だ、アレに喰われると魂が呪われ悪魔へと成り果てる、残念だったな」
ウィオレンティアの言葉が聞こえているのかいないのか、アニスは微動だにしない
「…何だよ、壊れちまったのか?まぁいいか」
ウィオレンティアがアニスの首を掴んで持ち上げる
「お前も同じ所に行きな」
ウィオレンティアがアニスもカースド・ソウルイーター・デーモンに喰わせようとしたその時
「その必要は無い」
ウィオレンティアの胴が両断され、ウィオレンティアが崩れ落ちる
「な、何で…」
ウィオレンティアが見上げる視線の先、そこには
「さぁ?何でだろうな」
先程魂を喰われた筈のシグが立っていた