第七話
シグとリーガの戦いが終わりを告げた頃、アルハンドリアは村へと姿を現した
「さーて!シグくん上手くやってくれたみたいだし、そろそろボクも頑張るぞー♪」
村の一角では傭兵によって捕獲された双子が騎士団に引き渡されていた
「ねえ!アーテリーたちをどうするの!」
「黙ってろ!ほれ、ご指名の〝癒しの双子〟、ちゃんと生け捕りにしてきたぜ?」
「よくやった、報酬だ」
騎士は懐から皮袋を取り出し、傭兵の男に手渡す
傭兵の男は受け取った皮袋の中を覗き込み、呟いた
「チッ、んだよこれっぽっちかよ」
「文句があるのか?」
「いーや、なんの文句もありませんよーっと」
傭兵の男は騎士に背を向ける
「んじゃあこれで任務完了ってことで!お疲れ様ァ!」
そう言って立ち去る傭兵の男を目に、騎士はため息をついた
「全く…これだから傭兵という奴らは…」
「ほんと、もうちょっとちゃんとしてほしいよね♪」
「ああ…って、誰だ!」
騎士は声の方を向くと、そこには髪の長い子供がいた
「っなんだ子供か…君、何かお兄さんに用かい?」
「うん♪…〝癒しの双子〟、貰うよ」
「何を…」
予想だにしていない子供…アルハンドリアの言葉に一瞬反応が遅れ、その隙が致命的な隙となった
突如騎士の身体が恐るべき高温で燃え上がり、塵一つ残さず燃え尽きた
「これでよしっと♪」
アルハンドリアは双子の方を向いて言葉をかける
「二人共、ケガとかないかい♪」
「う、うん…おにいちゃんだれ?」
「ボクはアルハンドリア、キミたちを助けに来たよ♪」
「…ほんとに?」
ベインの疑うような声に答える
「モチロン♪」
そう言うとアルハンドリアの背後の空間が捻じ曲がる
「キミ達が望むならボクはキミ達を{ユートピアの主}として迎え入れるけど…どうするかい♪」
アルハンドリアが双子に問いかける
「ひとつ、おねがいをしてもいい?」
「いいよ♪」
「アベルおじちゃんも…いっしょにいっていい?」
「んー…どうしてもかい♪」
アルハンドリアの問いかけに双子が声を揃えて答えた
「「どうしても!」」
「そこまで言うならしょうがないなぁ、いいよ♪」
そしてアルハンドリアは背後の空間の歪みを指さす
「それじゃあ、ここは危ないから先に行っててもらえるかい♪」
「わかったー!」
「ま、まってよー!」
歪みの中にアーテリーが勢いよく飛び込み、それを追いかけベインも飛び込む
「さてと、それじゃあアベルくんを迎えにいこうかな♪」
次の瞬間、アルハンドリアの身体が炎に包まれ掻き消えた