第五話
「いつつ…大丈夫か?ジャック」
「ああ…ここは?」
ジャックとシグが辺りを見渡す
どこかの草原のようだ
そして、シグ達の近くに一人、倒れている人がいた
「ん?」
シグがその人物に近づく
「リア!?なんでこんな所に?」
シグの目の前で倒れているのは間違いなくリアであった
「早く向こうに帰さないと…門は何処だ?」
先程は気が付かなかったが、今しがたくぐった筈の門は、影も形もなかった
「お、おいシグ!これ、帰れるのか?」
「…奴らはこっちに来れたんだ、何処かに門がある」
シグはそう言うとリアを抱え上げる
「ここは目立つ、移動するぞ」
「分かった」
シグとジャックは近くの洞窟の中に入り、そこで休むことにした
「冷えるな…ジャック、燃やせそうな枝か何かとってくる、リアをみててくれ」
「俺が行こうか?」
「ん?いいのか?」
「構わねえよ、んじゃ行ってくるわ」
ジャックはそう言い残し洞窟を後にする
暫くして、リアが目を覚ました
「ん、んんぅ…」
リアが起き上がり、辺りを見渡す
「…シグさん?」
「おはよう、リア」
シグはそう言うとリアの横に座り込む
「調子はどうだ?」
「あの、ここは?」
「…門の向こうだ」
シグの言葉にリアが驚く
「ええっ!?あの、何で私もこっちに居るんですか!?」
「分からない、気が付いたらこっち側に居た」
「そ、そんなぁ…」
リアががっくりと肩を落とす
「心配するな、絶対に向こうに帰してやる」
「はい、おねがいしますね…」
「おーい!枝とか色々とってきたぞ!」
しばらくした後、ジャックが帰ってきた
その手には山のような枝を、そしてその背には…
「…猪?」
「鹿か?」
猪のような身体に鹿のような大きな角が生えた動物が背負われていた
「ちょうど美味そうな奴が居たから狩ってきたぜ!」
「ああ…助かった」
「おっし!じゃあ早速火を起こすぜ!」
ジャックが炎を出し、枝に火をつける
そこに枝や枯れ葉を集めて焚火が出来上がった
そのまま洞窟で一夜を過ごした一同
「…マズかったな」
「…ああ、恐ろしい程にな」
「…あれは食べものじゃありません…」
猪鹿、散々な評価であった