第一話
魔導大国、ヴァンパイア王国、悪魔封じの国、様々な呼び名で呼ばれる王国、フォービドゥン
その王都の中にそびえ立つ一軒の屋敷、今回の物語はここから始まります…
屋敷の一室、一人の少年がベッドでぐっすりと眠っていた
「すぅ…すぅ…」
その傍に忍び寄る一つの人影が
その人影は少年の傍まで近寄ると…
「とりゃあっ!」
「うわあっ!何々!?」
少年目掛けて飛び込んだ
衝撃で少年は目を覚ますが、飛び込んできた人影にがっしりと抱きしめられる
「うりうり〜シグぅ〜もう朝だぞ〜起きなさ〜い!」
「起きた!もう起きたから!離してよ!お姉ちゃん!」
シグは姉の拘束から逃れるとベッドから降りる
「もう!一人で起きられるっていつも言ってるじゃん!」
「え〜」
シグの姉、アニスは口を尖らせる
「ぶ〜…まあいいや!朝ご飯出来てるわよ」
「はーい…ふわぁ…」
シグは欠伸をしながらもぞもぞと着替え始めた
シグが屋敷のリビングに来ると、既に食卓の上には美味しそうなパンや果物が並んでいた
シグは既に席に着いていた両親に挨拶をする
「おはようございます!お父様!お母さま!」
「おはようシグ君、よく眠れた?」
「はいお母さま!ぐっすり眠れました!」
「それはよかったわ!」
シグの母、エリシアが優しく微笑む
「…そろそろ食事を始めたいんだが…」
「あら!ごめんなさいマグナスさん、それじゃあみんな、いただきましょう!」
「「いただきまーす!!」」
朝食後、シグはいつものように父マグナスの元を訪れた
「お父様、シグです」
「入りなさい」
「失礼します」
シグは扉を開け部屋の中に入る
「それではシグ、今日の訓練を始めるぞ」
「はい!お父様!」
動きやすい服装に着替え二人は庭に出る
「今日は実戦形式で訓練を行う!好きにかかってきなさい」
「はいお父様!よろしくおねがいします!」
シグは構えをとる
「いきます!《炎よ》」
シグが2つの火球を生み出し、マグナス目掛け放つ
「悪くない、だが甘いぞ?《盾よ》」
マグナスが両手に手のひら大の障壁を生み出し、それを使い火球を打ち消す
「魔力の効率が悪いぞ、必要最低限、これだけあればいいというだけ魔力を込めろ!」
「はい!むむむむむ…《炎よ》!」
「今度は弱すぎだ!」
シグから放たれた炎は僅か20cm程進んでそのまま消えた
「シグ、私がお手本を見せよう、よく見ていなさい」
そう言うとマグナスは足元の石を拾い上げ、それを上に投げた
「《燃えよ》」
マグナスが放った小さな火球は石を焼き尽くすと同時に消滅した
「お父様すごーい!」
「ほら、じゃあやってみなさい」
「はーい!《炎よ》」
放たれた火球はひょろひょろと飛び、消えた
「…まだまだ訓練のしがいがあるな」
マグナスは呟いた