第四話
双子が生まれ、そして逃げ出した村に今、辺鄙な村には似つかわしくない者達がいた。
彼らはこの大陸において最も広大な国土と強大な軍事力を備えた帝国、その帝国の騎士団である
騎士団の中でも特に目立つ白銀に光り輝く鎧を着た男に村長が話しかけた
「いやぁ!こんな寂れた村にこんな大勢の騎士様が来て下さるなんて!」
「村長、勘違いしないで頂きたい。我々はあくまで例の〝癒しの双子〟の力が殺してしまうには惜しいと皇帝陛下がお考えになったからここまで来たのだ。」
「それはもちろんですじゃ!しかし…あれだけの人数の傭兵を雇う必要があったのですか?」
「我々は神聖なる帝国騎士団である!森の中を探し回るなどという泥臭い仕事は我々の管轄外だ!」
騎士団長は高らかに宣言する
そこに一人の騎士が駆け寄り、騎士団長に耳打ちした
「…そうか!分かった、では早速ご対面といこうか」
森の中を駆ける一陣の白き者、それは一直線に村へと駆け、通りすがる者達を無慈悲に切り刻む
「がっ!」
「ぎゃあ!」
村の近くで待機していた傭兵達はその身をシグに無慈悲に切り刻まれる
その近くに隠れていた傭兵はシグに狙いを定め弓を射る
弓はシグの肩を抜き、そのままシグは転倒した
「へっ!ざまあみろ!」
弓使いの傭兵はシグにトドメをさすために近づいてゆく
「返すぞ」
シグの声と共に先程シグを射抜いた矢が傭兵の肩に突き立てられる
「なぁっ!?」
「双子は何処だ?」
「し、知らねえよ!騎士団の奴らを見かけた!きっとアイツらが知ってるって!」
シグは男を殴り飛ばし意識を奪う
「騎士団…厄介だな…アルハンドリア!」
シグの声に答えるように、目の前の空間がねじ曲がり、そこから小さな人影が現れる
「呼んだかい♪」
現れたのは10歳程の見た目の、燃えるような橙色の腰まである髪を携えた少年だった
「帝国騎士団が居るらしい、エスカー姉弟を護りながら騎士団と戦闘するのは危険かもしれない。計画の変更が必要だ」
シグが冷静に告げる
「わぁ♪じゃあシグくんが陽動しておいてくれる?その間にボクが姉弟を連れてくから♪」
「分かった」
アルハンドリアの提案にシグは了承する
「じゃあボクは騎士団が居なくなるまで隠れてるから!」
そう言うとアルハンドリアの身体が炎に包まれ、炎が消えるとそこにアルハンドリアの姿は無かった。