第九話
食事を口に運びながらシグは考えていた、どうすればミッドナイトに対抗できるのかを
「…この手しか、無いのか?」
シグは懐から取り出したそれを握りしめ、静かに呟いた
翌日、シグはレオの元へ訪れた
「やあ、おはよう」
「ああ、おはよう」
シグはレオの前に座る
「なぁレオ、これと似たようなものを用意して欲しいんだか、出来るか?」
シグは懐からそれを取り出してレオに手渡した
「これは?」
「俺の秘密兵器だ」
シグの言葉にレオは首を傾げる
「…まぁ、用意出来なくはないけれど…どうしたいんだい?」
「それはだな…」
シグはレオに自分の考えを伝え
「…なるほどね、実に面白そうだ」
「どのくらいかかる?」
「3日かな、1週間くれればもっといい物に出来るけれど?」
「1週間か…ミッドナイトに見つからずにそれだけの時間を過ごせると思うか?」
シグの言葉にレオがニヤリと笑う
「任せてよ」
そう言うとレオは立ち上がった
レオに連れられシグは建物の奥まで連れてこられる
「さあこっちだ」
レオは廊下の突き当りで立ち止まると、首元からロケットペンダントを取り出す
それを壁に翳すと
「おお、これは…」
目の前の壁がすぅっと空気に溶けるように消え去り、その奥に道が続いていた
「さあどうぞ、ドクターレオの研究施設へようこそ」
道の突き当りの扉を開けてレオが言った
扉の奥に広がっていたのは、一体何がどのように動いているかも分からない様々な機械や、壁の中に飾られた色々な装飾品、雑多に積み上げられたケース等だった
「どうだい?僕の研究室は、ここなら暇しないだろう?」
「ああこれは…凄いな…」
シグはあまりの衝撃に言葉も出ない
「ここでは帝国に出せないような研究を行っているんだ、すごいだろう?準備が出来たら呼びに来るからそれまでここで好きにしてもらっていいよ、そこのケースの中には武器とか色々と入っているから気に入ったのがあれは持っていってもいいよ?あそこのは使わない奴だから」
「それは助かるが…どうしてそこまでしてくれるんだ?」
「ん?そうだねぇ…」
レオは暫し考える素振りを見せた後、こう答えた
「アルハンドリア君には大きな借りがあるからね…」