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Vampire’Chrono ~救済の理想郷と誘いの半吸血鬼~  作者: 秋籠 雨加瀬
第一部・第一章~狩人と癒しの双子~
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第三話

「てめ…何処の…何…った…」


「…子…何処の…どうや…」


「…話すか…たばりやか…」


アベルは誰かの言い争う声で意識を取り戻した


(くっ…身体が動かねえ…血が流れすぎたか…)


アベルが苦しんでいる最中にも、言い争う声は止まらない


「正直に…なくば…なるぞ…」


「ふざ…な…」


アベルの耳に金属がぶつかるような音が聴こえてきた


(何だ…仲間割れか…?)


「何で…何も…たのに…」


「最後の…だ…双子…話せ」


「黙れぇぇぇぇっ!!」


男の一際大きな声と共に駆け出す音が聴こえてきた

そして…


「なら…お前はもう必要無い」


微かな肉を断つ音と共に、何かがどさりと倒れる音がした

そして、一人の足音がアベルに向かってきた


「おい、生きてるか?」


「あ、ああ…あんたは?」


アベルの問に声の主は答えた


「シグ=ブラッド、シグでいい。アーテリー・エスカーとベイン・エスカーを保護しに来た、お前はエスカー姉弟の味方でいいのか?」


「ああ…二人の両親に頼まれたんだ…守ってやってくれって…」


「分かった、ひとまず治療を行う。応急処置になるが構わないな?」


「あぁ…頼む」


今のままでは痛みと出血でマトモに戦えない、そう考えアベルは治療を了承する


「動くなよ、出血は止められるが傷は塞ぎきれないからな」


シグがアベルの傷に手を当てると、たちどころに出血が止まり、傷を覆うように血がカサブタのように凝固した


「あんたも…治療系の〝能力者(スキルホルダー)〟なのか?」


「違う、血液を操作しただけだ、もう動けるか?」


アベルはどうにか力を入れて身体を起こし、礼を言う為シグの方を向く

その目に飛び込んできたのは…


「…なぁシグ、もしかしてお前…」


そこに居たのは白い髪に紅く輝く瞳、驚く程に白い肌の15位の見た目の少年


「ああ、俺はダンピール、ハーフヴァンパイアだ」


「…どおりで強いワケだ」


一人納得したアベルは身体の状態をチェックする


「まだ激しい動きはしない方がいいぞ、血が流れすぎてる」


「…みたいだな、でも急がねえと二人が!」


アベルは歩きだそうとするが、力が上手く入らず転んでしまう


「無理をするな、姉弟が連れていかれた村の場所を教えてくれ、俺が行く」


「…分かった」


アベルはシグに村の場所と行き方を教え、そのまま近くの木を背もたれにして座り込んだ


「二人を…救ってくれ!」


「任せろ」


シグはアベルの声を背に、村へと向かって行った


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