第三話
シグが広場でベンチに座り一人でぼうっとしていると、一人の少年が話しかけてきた
「シグ=ブラッドさんですか?」
「ああそうだが」
「ツーと申します。レオ博士の元へご案内いたします。ついて来てください」
そう言うとツ-はシグの手を掴んで引っ張り始めた
ツーは一軒の建物の前で立ち止まった
「ここです、少しお待ちください」
そう言うとツーは建物の中に入っていった
「…せっかちな奴だな」
暫くするとツーが建物から出てきた
「お待たせしました、どうぞ」
シグは扉を潜り建物の中に入る
中に入ると廊下が建物の奥まで続いており、ツーが途中の扉の前で立ち止まる
「こちらでレオ博士がお待ちです、それでは」
そう言うとツーはその場を後にした
「…マイペースな奴だな」
シグは目の前の扉をノックした
「はいはい、どうぞ」
扉の向こう側から返事が返ってくる
シグは扉を開け中に入った
「やぁ、よく来たねシグ=ブラッド君」
中に居たのは、白衣を着てボサボサの金髪をした男だった
「お前がレオか?」
「そうだよ、僕がレオだ」
レオは机の上から眼鏡を取り、自分にかける
「それじゃあ、先生の診察と行こうか」
「ふーむ…また面倒な事押し付けられたなぁ…」
診察を終えたレオは難しい顔で呟いた
「そんなに面倒なのか?」
「君にかけられた《能力封じ》を解除するのは簡単じゃないよ?まず一つ目、術者に解除させる」
「術者って事は…ミッドナイトか」
「そう、正直言って彼は化け物だよ。彼のチームの事は知ってるだろう?そもそもあのチームのナイトメア、フルムーン、ブレイキングダウンの三人は彼から《魔術》を教わっているんだ。つまり彼ら三人か束になっても敵わないのがミッドナイトという男だよ」
シグは話を聞き浮かんだ疑問をぶつける
「トワイライトは?」
「彼は別だね、彼は禁術だと言われた《死霊魔術》の使い手だよ、ミッドナイト自身はチーム入りに否定的だったらしいけどね」
「…随分と詳しく話してくれるんだな、帝国の人間なのに」
シグの言葉にレオは微かに顔を顰めた
「…正直に言ってねシグ君、僕はこの国が大嫌いだよ、望まずして力を持って産まれてきただけの子供相手にあそこまで非情になれるんだから」
「…なぁ博士」
「なんだい?」
「情報が必要なんだ、知っている帝国の事、教えてくれないか?」
「いいよ?だけどね、君の治療が先だ」