第十七話
ジャックはナイトメア目掛けて炎を放つ
放たれた炎は縦に横に大きく広がりまるで壁のようになりナイトメアに迫り来る
余りの熱量に無力化が可能な〝能力〟だと解っていても思わず後ずさってしまう
ナイトメアは迫りくる炎に右手を向け炎を止める
「はぁ…はぁ…」
「こっちだ!」
ナイトメアの背後からジャックの声がする
声の方を向くのと、ジャックがナイフを投げるのが、ほぼ同時であった
「くっ!」
ナイトメアか炎に向けていた右手を投げられたナイフに向ける
それと同時に今度は別の方向から炎が現れナイトメアに向かってくる
さらにその別方向から炎が、炎の隙間からナイフが、あらゆる方向から次々と迫り来る
「がああっ!」
ナイトメアはナイフや炎を止めようとするが全てを同時に止めきれずナイフが腹に突き刺さる
それに怯んだ一瞬、炎の中からジャックが飛び出してナイトメアに飛びついた
そのままナイトメアを地面に抑え込む
「は、放せ!」
「お前、右手を向けてる方向の物しか止められねえんだろ?」
ジャックの言葉にナイトメアが目を見開く
「その顔、図星みてえだな」
ジャックはナイトメアから短刀とペンダントを奪い取る
「か、返せっ!」
「へっ!嫌なこった」
ジャックは短刀とペンダントを遠くへ放り投げた
そのままジャックはナイトメアの顔に手を添える
「じゃあな」
ジャックの手から炎が噴き出しナイトメアを焼き尽くす
「アアアアアアアアア!!!!!!!!」
少しの間もがいていたナイトメアだったが、すぐに静かになった
「っし!」
「フルムーン、ソイツがターゲットか?」
ミッドナイトの問いにフルムーンが答える
「そそ、リア・マルカ。街一つ消滅させて住民を全て殺害した最悪の〝能力者〟!」
フルムーンの言葉にリアが顔を上げる
「ちょ、ちょっと待ってください!それ、どういう事なんですか!?街一つ消滅させたって…」
「え?知らない?それとも…忘れちゃったのかな?」
フルムーンはリアの頭に手を乗せる
「…え?ナニコレ」
「どうしたフルムーン」
ミッドナイトの言葉にフルムーンが答える
「何だろう…何も見えない…扉でとじられてるみたいな感じ…かな」
フルムーンはミッドナイトに向かって口を開く
「無理やり思い出させる事はできるけど…どうする?」
ミッドナイトは暫し考えた後、答える
「やれフルムーン、自身の罪を思い出させてやれ」