第十六話
セツの拳が脅威的な速度でミッドナイトの顔に迫る
ミッドナイトはその拳を頭を逸らして躱すも余りの速度に衝撃波が発生しミッドナイトを吹き飛ばす
「なんという…早々手加減は不要か」
ミッドナイトは右腕に巻き付く鎖に手を触れる
だが拘束術式を解除するより早くセツがミッドナイトの腕を掴まえ空目掛けて放り投げた
「アアアアアアアアア!!!!!!!!」
地面を蹴って飛び上がったセツは放り投げたミッドナイトの高度を超え、ミッドナイトの身体にかかとを落とす
そのまま地面まで勢いをつけて蹴り落とす
ミッドナイトが地面に落ちた衝撃で地面にクレーターが出来た
クレーターの中からセツが這い出てくる
「親父ィィィ!!!!」
セツはキールに近づき首を掴み上げる
「貴様っ!実の父に向かって…っ!」
「お前はもう…親父なんかじゃ…ないっ!」
セツはそのままキールの首を握りつぶす
「これで…終わった…」
「いや、まだだ」
クレーターの中からボロボロになったミッドナイトが姿を現す
「貴様はここで、始末しなければならない」
ミッドナイトの腕から全ての鎖が外れて落ちる
「行くぞ!」
ミッドナイトの姿が瞬間的に消え、直後にセツの真後ろに現れる
セツの背中に蹴りを入れるが、まるで壁をい蹴っているかのように手ごたえがない
だがミッドナイトは構わず今度は側頭部に蹴りを入れる
流石に効いたのかセツは少しだけ怯む
ミッドナイトは絶え間なくセツに攻撃を続ける
やがて、微かにセツの鱗にヒビが入った
「アアアアアア!!!!」
セツが背後の鱗をまるで剣のような形に肥大化させた
セツの背後にいたミッドナイトは堪らず後ろに飛び退く
「なんだそりゃ…」
「グルルルルルル…」
セツとミッドナイトが真正面から殴り合いを始める
薬の効果で強化されているセツだったが鎖が壊れ《拘束術式》が全て解かれたミッドナイトも劣らずに殴り合う
そうして…暫く続いた戦いは、唐突に終わりを迎える
セツの身体が薬の効力に耐えられなくなり、次第に鱗の硬度が落ちてゆく
ミッドナイトの拳が鱗を突き抜けセツの腹に突き刺さる
「…ここまでだな」
ミッドナイトがセツにトドメを刺すために短刀を手に取る
「ソキ…ちっくしょう…」
ミッドナイトがセツにトドメを刺すため短刀を振り下ろす
それとほぼ同時に、村中に声が響き渡った
「は~い!そこまで~!」
村の中央にフルムーンとブレイキングダウン、そしてリアが姿を現した