第二話
双子の元へと駆けるアベルの元に、突如として矢が降り注いだ
咄嗟に木の影に隠れ矢を躱す。
「何しやがる!」
アベルが声をあげるが、その言葉に返す言葉は無かった
「チッ…時間がねえってのに…」
アベルは弓が飛んできた方へと2~3射し様子を見る
(…反応がない…外したか)
アベルは草木に身を潜め矢が射られた方に移動する
暫く進むと近くから風切り音が聞こえてきた
(あっちか)
アベルは集中し、音の出所目掛けて矢を射る
「ぎゃっ!」
アベルから少し離れた所から悲鳴とどさりという音が聞こえてきた
(やっぱ木の上だったか)
アベルは慎重に音のした方へと向かった
そこには右肩に矢がささった男が倒れていた
「てめえなんでいきなり射ってきやがった?」
「へっ…お前があの双子の保護者なんだろ?…はぁ…お前さえ仕留めちまえば…楽な仕事になるとおもったのになぁ…」
そう言うと男は意識を手放した
「くっそ…一体どんだけの奴がきてやがんだよっ!」
アベルは再び双子の元へと向かった
双子のいる焚火の元へと戻ると、すでに双子の姿はなく、2人の先ほどの男たちと同じような装備の男が居た
「お前ら!二人を何処へやった!」
「あん?俺達の仲間がとっ捕まえて村に運んでったぜ?」
「一緒にいる狩人も仕留めれば報酬上乗せらしいからな!おとなしくくたばりな!」
そう言って男達が剣を抜き襲い掛かってきた
アベルは咄嗟に避けるが片方の剣が左腕を掠る
「ぐぁっ…」
アベルは痛みに顔を顰めながら短刀を取り出し構える
「そんなちっぽけな剣じゃ無駄だぜ?おとなしくすれば痛くはしねえよ!」
そう言うと男は袈裟斬りの構えで斬りかかってきた
アベルは辛うじて躱すも今度はもう一人の攻撃をモロに貰ってしまい、思わず膝を着いた
「うがっ…」
流れる血が地面を赤黒く染める…
「そら、動くなよっと」
男が剣を振り下ろす
アベルは地面を転がり男にぶつかり、男が思わずバランスを崩した
アベルはそのまま男の上にのしかかりポケットから液体が入った小瓶を取り出した
「大物用の毒だ、食らいやがれ」
小瓶を男の口に放り込むと顎を思いきり殴りつける
男は殴られた勢いで口の中で瓶が噛み砕かれ、口内に毒が広がる
「あがぁ…はごっ!」
男は泡を吹きそのまま動かなくなる
「へっ…ざまあみろ」
次の瞬間、アベルは後頭部に強い衝撃を受け、意識を手放した…