美味しい唐揚げはどうすれば作れるのか。
四月十四日 ちょっぴり書き直し。
深夜十二時。自分で唐揚げを作らなくてもコンビニで買えば良いじゃん。
……本当にそう思います?
あんな胃もたれのする油っこいものが好きって、妥協入ってますよね?
そもそも長時間保温されていてカリカリ感が失われていますよね。逆に好きという人もいるんでしょうが。お弁当はだいたい湿気てますからね。
でも私は許せない? ならば、さあ、自分で料理しよう。面倒なことなどないよ。美味しいだけだよ。
鶏カラはむね肉派、モモ肉派があるけれど、私としてはどちらも美味しい。難しいのはむね肉だけどモモ肉よりは工夫が効きやすい。
調理の美味しさをいただくか食材の美味しさをいただくかは日本人には難しい問題だと思う。
食材の美味さを生かすならモモだが、テクニックを生かすならむねだ。
私はモモ肉も好きだがどうやらむね肉派が多いようである。さっぱり唐揚げをいただきたいようだ。
ならば、むね肉を生姜中心の液に一晩浸けて片栗粉中心の粉をまぶして低温で柔らかく揚げ、おろしポン酢でいただく、これが一つの回答であろうか。
うまそうー!
いや、メシテロは自爆テロなのである。深夜にはきつい。
では、鶏もも唐揚げはダメなのか。そんなはずがない。
ジューシーな鶏ももをマヨネーズ、粉末ガーリックなどで固めて揚げ、クミン、花椒、オールスパイス、塩などのシーズニングで味付けして頬張る! これも美味い! 骨付きならなお良し!
うぬぬ、最強の唐揚げはどこにあるのだろう……。
唐揚げににんにくを使うと翌日の口臭が気になる、そんな時は生姜を使おう。生姜汁はなかなかに強力な調味料だ。
鯨の竜田揚げとかと同じだな。美味い。
では逆に一切後のことは気にせず最強の唐揚げを作ってみよう。
まずはむね肉だが、もともとジューシーではないむね肉、長時間の味付けにも耐えるという強みがあるのだ。一晩置いておく、これができるのがむね肉である。
レモンやりんご酢なんかをソミュールに使っても構わないのである。
だが唐揚げに酸味はNG派も多い。レモンをかけると戦争になるのが実情だ。
ここで逆に、唐揚げに水飴やグラニュー糖を使うというアイデアも生まれる。
市販の唐揚げの使用食材を読んでみれば水飴はわりと使われているのが分かる。
私はさんざん言っているが、肉に甘味は合うし、昔から使われているのだ。
唐揚げをかりっとかじった時に甘い香りがほんのりする。想像していただけただろうか。後から醤油の香りとか生姜の香りとか追っかけて来たら最高だよね。
話は変わるが、本来の唐揚げはソースをつけるものだったという。これを覆したのがシーズニングスパイスだ。
シーズニングスパイスの説明を簡単にするならミックススパイスとの違いを見ると分かる。
ミックススパイスは香辛料を合わせたガラムマサラやウーシャンフェン(五香粉)、和食で使われる七味などのことであり、市販の味塩こしょうのような、塩や砂糖、粉末出汁などの調味料を含んだミックススパイスをシーズニングスパイスと呼ぶ。
シーズニングスパイスは一口目の美味しさを盛り上げてくれる。
かりっと揚げてシーズニングスパイスをふろう!
いや、では逆に原点に帰ってソースでは?
タルタルソースでもジャムソースでも美味しく仕上げることはできる。鶏肉は素直なのだ。どんな加工も受け付ける。
お上品な料理は嫌いと言われるかも知れないが荒々しいにんにく醤油ダレで揚げた唐揚げを特製のジャムソースでいただく、そこに愛はある!
まあフルーツの香りに好きと嫌いは別れるのだろうね。
ではもう少し唐揚げのテクニックの話をしよう。
二度揚げについては未だに納得していない人もいるだろう。唐揚げの究極テクニック、二度揚げだ。
そもそも唐揚げの最終目標はどこに有るのだろう。
私としては鶏軟骨唐揚げの終始カリカリも大好物だが、一般的には外はカリカリ、中はジューシーではないだろうか? 一見して矛盾している。
その問題に対する回答の一つが二度揚げである。
まずは肉に火を通すということを知らねばならない。
そもそも肉は火を通せば硬くなる。
だが火を通しすぎたら逆にタンパク質は分解されて柔らかくなる。これは旧態依然とした調理法であり、ある意味正しい。牛すじは煮込まねば柔らかくならない。
だが、これでは香りは飛び、旨味も壊れてしまう。時間をかけて熟成された牛すじは鶏肉とは別物だ。
よって、時間をなるべくかけない、温度をなるべく低く保つ、この二点が必要になる、のだが。
厳密に言えば低温にすると時間はかかる。ここは一つの妥協点か。
だが、時間をかけても柔らかく仕上がる方法がある。
それが二度揚げである。
二度揚げの最大の魅力、それは余熱による調理だ。
肉料理のレベルを一段も二段も上げてくれるのがこの余熱による調理。
一旦熱を通した食材は次の瞬間に常温に戻ったりしない。
百度以上の熱を持った食材はジリジリと熱を下げつつもその熱により食材を熱し、調理している。これが余熱調理だ。タンパク質は六十度以上で調理される。
この余熱調理の特徴は、必要以上に熱が加えられないため、じっくり肉に火が入り、柔らかくジューシーに仕上がるのだ。
この余熱調理を生かすのが二度揚げである。
ちなみに火を一旦止めて放置すればガス代も安くすむ。美味しく仕上げる方法としてはアルミホイルなどで包み、食材に確実に熱を持たせておくことである。
よりカリカリに仕上げるには二度目に高温で揚げるといい。既に中には熱が通っているので表面の処理だけ考えれば良い。
カリカリにするには衣に細かいパン粉を加えるとか下味にアルコールやお酢を使うなどの手段があるが、科学的な作用を理解して失敗を覚悟で何度もチャレンジしてみよう。水分や塩度を間違えなければそうそう不味いものにはならないよ。
さてまだまだ私は唐揚げのテクニックを持っているが二千文字も越えたし、今日はここまでにしておこう。まだ起きてる人は今すぐ唐揚げを食べたいだろうが……私は今日手羽元を唐揚げにして食べたが、我慢してね。おやすみなさい。
夜に唐揚げを食べると太るよ。