ワームホールで…
「あなたに、質問です」
「あなたは未来、いや、異世界があると信じますか?」
唐突な質問で、返答に困る。
「未来はあると思うが、異世界はちょっと。」
彼女の表情は、少し戸惑っているように見えた。
「そうですか…」
「じゃあ、質問を変えます」
「今から、異世界に行くと言ったら、どうしますか?」
「?」
僕は、完全に言葉を失ってしまう。
そもそもこの子は、一体何者なんだ?
それ以前に、この子と会った記憶すらない。
「うーむ」
少しの間、考え込み答える。
「いいよ、どうせ、命も絶とうと思っていたし」
「じゃあ、異世界へ来てくれるのですね」
「ふふ、」
彼女は、不敵に笑い、言った。
「では、今から異世界に向かいますね」
「ハービス…」
呪文が唱えられて、黒い霧がまた現れた。
黒い霧は、空中で渦を巻き、渦の中心から光が漏れてきた。
そして、光は、僕の体を包む。
そして、次の瞬間には、音が無い空間の中にいた。
「落ちたら、時空の狭間に落ちるので、気をつけてくださいね」
「え、」
「ここ、どこ? 」
「だから、さっきから言っているじゃないですか」
「次元の狭間、つまり現代風に言うならば、ワームホールですね」
「ち、ちなみに落ちたらどこに?」
彼女は、間を空け言う。
「dai」
[何で、英語で言ったのですか?]
「ふふ」
彼女は、嘲笑うように、頬を緩める。
「なんにも、面白くないですよ」
バサバサ。
「というか、気になっていること、聞いていいですか?」
「翼を、何で動かしているのですか?」
「それ、聞いちゃいます?」
「そういった仕様なのですよ」
「それより、翼は特に、動かさなくても飛べます」
「なぜかは、聞かないでください」
「説明するの、面倒なので」
そう言って、ワームホールの先を見つめた。
彼女は、長い髪をなびかせながら、深刻そうな顔をしている。
「もう、着きますよ」
彼女は、そう言いワームホールの出口に向けて、銃のようなものを取り出し、発砲する。
その瞬間、また僕の体を光が包む。
彼女の、あの深刻な顔が気になるが、聞きそびれたままになってしまった。
まあいい、今はそれより落とされないように、掴まっていよう。
そう、心の中で決議した。
同刻、場所??
「ふ、奴を、全力をもって探す」
「この身に変えても、な…」
皆様、この度はこの作品を読んでくださりありがとうございます。
まだまだ、至らない点があるかもしれませんが、温かい目で見てくだされば幸いです。
これからも、精進して参りますので、よろしくお願いいたします。