表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/58

第十二話


 絵画を見ていた男の名はイベルト・シルフェリア。この闘技場の主で、つまりは領主だ。王の命令を受け、池野達転移者を鍛える場を提供し身の安全を守っている。闘技を見るのが好きな彼は転移者達の活躍に期待していた。

 そんな事を、池野の通訳越しに本人が自分から漏らした。

 絵画の前で遭遇した第一貴族もとい闘技場の主。彼は言葉が通じないにしてもやたらフレンドリーな態度で俺に話しかけ、握手まで求めて来た。


「聞けばここに来る道中で水賊も倒したとか。良ければ我が闘技場でその実力を是非とも見せていただけないか――と言ってます」


 通訳しながら水賊云々の部分に池野が興味を示した。水賊連中を捕まえたのは俺とベニオだと領主は把握しているようだった。市長が警官の名前を知っているようなもので、そこまで目を行き届かせているのかとも思ったが、闘技場云々の話題で目を輝かせているのを見ると戦いそのものが好きなのかもしれない。


「クラスメイトを探してる途中だから遠慮させてもらいますって言っておいてくれ」


 俺の言葉を池野が通訳させるとシルフェリア伯爵は残念そうにしながらも、気が変わったら言ってくれと言い残し去っていった。


「はぁ……通訳って結構大変ですね。それにしても、トモセンパイがコロシアムに出るのを断るのは意外でした」

「そうか?」

「ほら、男の子って俺の拳がナンバーワンとか何の根拠もなく思ってるトコあるじゃないですか。そうでなくとも喧嘩が強い人はイケイケって言うか? トモセンパイはそっちのタイプかなぁって」


 思春期特有のどこからか来る万能感を指摘しているのだろうが言い方が身も蓋もなかった。女子だって言葉の刃が鋭すぎる自覚はあるのだろうか?


「喧嘩は嫌いじゃないが、わざわざ人前でやる趣味もない」

「そんな見た目で逆に平和主義だったら逆に引きますけどねー。何食べたらそんなにデッカくなるんです? ムキムキですね」

「好き嫌いしないこと。ところで、コレを熱心に見てたな」


 好き嫌いのところで少しギクリと池野は反応したが、敢えて無視して俺は伯爵が見ていた絵画に目を向ける。

 真っ赤な鎧を着て剣を持つ金髪の女の絵だ。背景は炎のように渦巻く明るい赤で、女の後ろに描かれた赤の模様なまるで背中から羽が生えているように見える。


「炎の精霊人、ってタイトルがありますね」


 池野が絵画下に貼られたプレートの文字を読み上げた。精霊人という言葉から精霊という存在の間の子か人の姿をした精霊だと想像できるが、何故それが武装した絵が飾られているのか分からない。

 伯爵が去って行った方向の通路を向き、次に彼と握手した手を見る。伯爵は両手に白い手袋を嵌めていた。その分厚い手袋越しに伝わってきた感触だが、伯爵の手は妙に熱く脈打っていた。


「どうしました?」

「変わった人だったなと」

「言葉選んでますねー」

「行くぞ」


 からかって来る池野にさっさと他の連中がいる場所へと案内させ、俺達はそこから去った。


 ◆


 池野に案内されて到着した場所は昨日の訓練所よりも広い公園のような場所だった。建物の中だと言うのに芝生があり、木々が植えられている。噴水もあって憩いの場という感じだ。

池野以外の中学生グループはそれぞれ木陰で本を読んで勉強していたり、休息していたりしていた。中にはサッカーやジョギングをしているのもいる。


「うん、健全だな。信じられないくらいに」

「ネットがないからどうしてもそうなっちゃうんですよ」


 少なくとも健康的ではある。良いことなんだが、報道機関でもSNSでネタを集める昨今、スマフォ弄ってない若者を見ると違和感がある。


「……昨日、俺に絡んできたのは?」

「訓練室ですよ」

「リベンジの為の特訓か?」


 だとしたら少年漫画みたいで良い。


「そんな漫画みたいな事、今時の中学生がやる訳ないじゃないですか。八つ当たりですよ、八つ当たり。人形を的にスキルや魔法ブッパでストレス発散ですよ」

「魔法ねえ……お前ら使えるのが普通なのか?」

「スキルと一緒に最低一つがデフォですよ。センパイは……ほんっと、何もありませんね。それで何であいつら倒せたんですか?」

「殴ったら倒せただけ」

「その通じる奴には通じるニュアンスで話すの止めてくださいよ。隠しスキルとかですかね?」


 池野の疑問に肩をすくめる。

 ステータスやら何やらとか意味が分からない。いや、ゲーム的な意味でなら慣れ親しんだ項目だから頭ではどんな物か理解できている。ただそれが自分の体に適用されているというのに違和感がある。説明書を読んでも実際に操作してみないと分からないのと一緒だ。


「ここでの……この世界に来てからの生活はどうだ?」

「うーん……娯楽が少ないのがネックですかね」

「なんか趣味でも見つけるしかないな。何なら闘技場の試合でも見たらどうだ?」


 よくよく考えなくともここは興行施設だ。分かりやすく万人受けする娯楽の代表なのだからここで暇を潰せなきゃ他だともっと退屈になるだろう。


「男の子はそれで満足なんでしょうけど、女子はちょっと……」


 言いながら池野はチラリと視線を公園のとある場所に向ける。公園を二分して片方の中央に噴水があるのだが、もう片方の方には人工の滝が流れていた。本当、地下とは思えない。

 滝の周りには中学生らだけでなく、ここの職員と思われる大人達の姿もあり、何だか賑やかだ。つられて俺も滝の方に移動する。

 そこでは闘技場の試合と思われる映像が滝に映し出されていた。


「マジか」

「マジですよ。ファンタジー世界だけあって一部が地球並の技術ですよね」


 映写機も見当たらず水飛沫で歪む事なく、それに加えて音がしっかりと映像を映す滝から聴こえてきていた。

 リアルタイムで流されていると思われる地上で行われている試合の様子に周囲は集中していた。俺が昨日見た下位の選手と違って素人目ながらもレベルの高い戦いが行われている。

 素人と違いお互いのリーチ、間を把握した上で自分の攻撃をどのように当てるか、そういう駆け引きが行われている。

 観ていた試合が終わると歓声とブーイングに闘技場が包まれる。体を引きずるように場から退場する敗者と肩で息をしながら誇らしそうにゆっくりと去って行く勝者。

 印象的な光景だが、ここでは日に何度も行われているほんの一幕に過ぎないらしく、従業員が場を手早く均し水をかけるとすぐに次の試合が行われた。

 それからいくつもの試合を観戦した。色々な武具を使う闘士達がおり、時には魔法ありの試合が行われた。モンスターと思われる大きな獣を相手に数人が挑む戦いもあった。腕が切り飛ばされる場面では中学生の女子から小さな悲鳴が起き、男子達もどよめいた。

 映画のような『生きるか死ぬか』ではないにしても命懸けなのは変わらないようだ。


「大したもんだな」


 思わずそんな言葉が出たが、何が大したものなのか具体的な単語は出てこない。ただ自分と相手の命の危険を踏まえて戦いに出るのを見てそう思った。


「男の人って本当にそういうの好きですよねー」


 気付けば、池野が何故か不貞腐れたような面で隣にいた。そう言えばこいつの事をすっかり忘れていた。存在を思い出したところで、池野を無視して注意を映像を映す滝に戻す。

 丁度次の試合が行われようとしていた。気のせいか観客席での盛り上がりが強くなった。

 現れたのは斧と剣の二刀流の大男。そして相対するのは赤銅色の鎧の細身な戦士だ。

 どっちも特徴的で異質だ。特に赤銅の戦士はフルフェイスの兜を付けているのだが、兜が鬼を模していた。俺がモコモコ達とダンジョンに挑み倒したボスに似ている。

 まだ一月も経っていないのに懐かしんでいると、試合開始の合図として鐘が鳴る。その瞬間、大男の姿がブレて消える。

 次の瞬間、大男が赤銅色の背後に現れて斧を振り下ろしていた。マナアーマーの補正か何かの魔法か、大男は静止状態からの急激な加速で後ろに回り込んでいたのだ。

 周囲から息を呑む気配が伝わって来る。だが観戦者と違い赤銅色は身を横に移動させて後ろからの一撃を簡単に避けてみせた。 大男の方も奇襲を躱されたことに驚きをみせず続けざまに剣を振り回す。

 鬼のボスは四本の腕にそれぞれ武器を持っていたが、大男の動きと比べれば棒を振り回しているだけだな。体がデカイと単純なパワーファイターに見られがちだが、鍛え上げられた筋力からの瞬発力と二刀流という難しい技術を難なく使いこなしている。

 赤銅色も大男の怒涛の攻めを舞うようにして軽やかに躱しながら腰にあった細身の剣を鞘から抜いて反撃している。

 何十合目かの衝突の時、大男が振り落とした斧が地面に当たった直後地面からいくつもの岩が出現して赤銅色に襲いかかる。力で地面を隆起させたのではなく、魔法なのだと流石に俺でも分かった。

 赤銅色はその魔法に気付いていたのか岩に挟まれる前に後ろへと跳躍し、空中で身を捻りながら腕を横に振るう。その動作をなぞって炎が闘技場に発生した。

 炎のが生じる軌道上には大男がおり、彼は炎に包まれる寸前に後ろに下がる。それでも僅かに触れたらしく、熱そうではある。

 炎は意思を持ってるかのように地面を滑りながら大男を囲む。自分の身長を超える高さの炎の壁を前に大男も躊躇--わずに先程の地面を隆起させる魔法で炎の壁の一部を無理やりかき消していた。

 だが、武器を振り下ろした隙を突いて炎の壁の中から赤銅色が現れる。最初の時の意趣返しか後ろからの攻撃。それを察知してか大男が剣を振り向きながら横薙ぎに振るう。

 立場は逆ながら最初の焼き直しかと思ったが、赤銅色が背中から炎をジェットみたいに噴射させて加速し剣の下を潜り抜けて大男の懐に飛び込んだ。

 そして真下から大男の顎を蹴り上げた。しかもインパクトの瞬間に爆発まで起きていた。

 巨体が軽々と上に吹っ飛んだのを見ればその威力は察せられる。それでも凄いのは大男か。何で原型を保っているのか不思議だが、その後地面に受け身も取れず落下したのに武器は落とさないわ立ち上がろうと身動ぎをするわとんでもないタフさだ。だが結局は大男は起き上がることもなく力尽きた。

 審判が勝者を宣言する。

 入場と勝者宣言の時に名前を呼ばれるのだが、赤銅色は『炎の妖精騎士』なんて登録しているようだ。


「明らかな偽名と言うか渾名なんだが、あれって良いのか?」

「リングネームですから良いのではないでしょうか?」


 疑問を口にしたところで後ろからミハエルさんの声が後ろからしたので振り返ると、ベニオも一緒に二人がいた。


「本名じゃないんですね」

「私もコロッセオのルールに詳しくはないのですが、出場者は必ずしも実名で出る必要はないようです。中には二つ名で出る者もいるそうです」

「それだと変な人も入って来ません?」

「勿論、出場登録をする際には身元の確認を行っていますよ。あくまでコロッセオで名乗る名を好きに決められるというだけです」


 まあ、領主のお膝元だから身元不明の人間が闊歩できないようにしてあるだろ。現に俺も不審者としてメイドに笛を鳴らされゴーレムに集られ闘士や闘奴達に捕まって牢屋の中だった。


「でも、鬼の面なのに妖精騎士って変ですよね。それともこっちだと妖精ってあんな顔なんですかね?」

「お前、ヨーロッパの庭とかにある置物見たことねえの? あんな感じだぞ」


 池野は日本人が勘違いしがちな妖精像を言った。

 トロール人形とかいう鼻デカで凶悪な面相をした人形がある。近所にアンティークを売ってる店があって、そこで売られていた。日本だとデフォルメされたユニークな物からアニメや漫画で美麗な容姿をしているイメージが先行してしまっているが、西欧版妖怪なのが妖精だから可愛らしさとは無縁だろう。


「それによりけり、ですかね。人に近いものは人に似ますが、人が立ち寄らない未開の地ですと凶暴な種も多いそうです」


 住んでる地域で顔付きが違うものだろうか。


「レンさんが言っている『鬼』とはオーガの事ですね? ややこしいですが、オーガとは別に妖精の中に鬼と呼ばれる種があると聞いた事があります。あの仮面はそれを象ったものではないでしょうか」

「オーガってのと似てましたけど、妖精なんですか?」

「いえ、妖精の『鬼』の姿を見たことは私にもないのでなんとも。もしかすると、参考になる物がなかったのでオーガに似せたのかもしれません」


 そういう可能性は高そうだが、これで意味もなくオーガの面で字面や音で妖精騎士って名乗ってたら肩透かしではある。ただ炎という単語はまさしく赤銅色の闘士にピッタリと当て嵌まるだろう。


「あれ? トモセンパイはオーガ見たことあるんですか?」

「ある。……そういえば普通に殴り飛ばしてたんだが、こっちだとオーガってどういう扱いなんですか? 人類の一つ的なとかで後で問題になったりは……」


 いきなり攻撃仕掛けて来たから正当防衛になるとは思うが、最終的にカチコんだ点は言い訳できない。凶暴でも他種族と何かしらの交流を持っていた場合、奴らが消えて不利益が生じる場合がある。


「大丈夫ですよ。ブルーブラッドとは敵対するしかありません。寧ろ討伐報酬が貰える場合もありますよ」

「ブルーブラッド?」

「何ですかそれ?」


 池野も知らないらしい。


「ブルーブラッドは主に魔物を指します。青い血……実際は青紫に近い色の血の生物で、その理由は不明ですが例外なく赤い血の我々に対して牙を剥きます。これは普通の動物も同じです。主にダンジョン内部で生まれますが、外に出て野生化し群れを作った種もいます」


 確かにあの鬼もといオーガに血は青紫色をしていた。逆にモコモコは赤い血だ。コアも青と赤でダンジョンとシティに別れているが何か関係あるのだろうか?


「しかしオーガを倒すとは凄いですね。単体でも強靭な上に群れで生活する魔物ですのでとても危険な魔物なのです。だけどこの辺り一帯には生息していなかった筈ですが?」

「ここから川を上った森の方。人の頭を棍棒でぶっ叩いて来る蛮族だったから原住民と協力して巣穴潰してやった」

「潰してやったって、センパイも蛮族っぽいですよ」


 そう言って池野はからかって来るが、ミハエルさんは違う反応を見せた。驚いているようだった。


「巣穴とは……まさかダンジョン? あの、潰したと言いましたけどダンジョンの最奥に行ったのですか? 規模は?」

「おっ、この反応はアレですかね? 本人は大したことないと思っていたのが実は物凄いことだった的なアレ!」


 池野を無視してミハエルさんにダンジョンに潜っていた大凡の期間と出てきたオーガ達の特徴を言う。ついでに四本腕のボスも。


「そ、それを倒した後、青色のコアが出てきませんでした?」

「出てきました。原住民にあげましたけど」

「ええっ!? あっ、いや、手に入れた人の自由なので私がどうこう言うのはお門違いでしたね。申し訳ありません」

「いえ、別に……。というか何がどうなのかさっぱりなんで、一から説明してもらえません?」

「はいはーい、私も知りたいでーす。というかダンジョンとか定番ですよね。冒険者もやっぱりいるんですよね!」

「ええ、いますよ。そうですね、私も詳しくは知らないのですが、一般的な知識の範囲でならお教えしましょう」


 ミハエルさんが説明する直前、俺はベニオの方を見た。いつのまにか滝に映る闘技場の試合を黙って見ているが耳はこっちに向けているようで、目だけ動かし俺を一瞥するとすぐに視線を戻した。

 聞いてはいるらしい。なぜ無関心さを装うのかは……コアを弄ったのを知られたくはないのかもしれない。


「大きな都市にコアがあるように、ダンジョンにもコアがあります。こう言うとやや語弊がありますね。シティコアは元々ダンジョンのコアを改造し人類に使えるようにしたものです」

「ここもある意味ダンジョンってことですか?」


 それなら僅かにダンジョンと同じ感じがしたのに納得はできる。


「広義的にはそうですが、ブルーブラッドが使うコアと人類が使うコアは性質が変わります。ダンジョンコアを我々が使用してダンジョンを作ろうと思っても作れません。その逆にシティコアをブルーブラッドは使えません。正確には上手く操作できないが正しいらしいですが」

「だから改造を?」

「ええ」


 モコモコ達が青い玉--ダンジョンコアを使おうとして失敗してたのはそれのせいか。だからベニオはまず青から赤へと玉の色を変えていたのだろう。


「#+《√」


 こちらの世界の言語が聞こえ、振り返る。周囲には闘技場の関係者が何人もいて、滝からも司会者らしき声が届いているのだが、どうもその声は俺達に向けられていると思ったからだ。

 見れば、昨日笛を鳴らしていたメイドがいた。急いで来たのか顔が少し赤い。


「どうしました?」

「それが……イベルト伯が是非ともトモヒコさんとベニオさんの二人を屋敷の夕食に招待したいと」


 メイドから話を聞いたミハエルさんが若干困った顔をした。


「さっき会った時もそんな事言ってましたね」

「おい」


 翻訳者として落第の池野を半目で見るが、視線を逸らされる。


「どうしますか? 屋敷にはレンさん達が泊まっていて、彼らも一緒なのですが」

「彼?」

「昨日、トモセンパイが殴り飛ばした私のクラスメイトですよ。雑魚は覚えていないとか言うつもりですか? さっきも話したのに」

「いや、それが何の関係があるのか分からなかっただけだ。今分かった」


 自分をぶん殴った奴が同じ屋根の下にいるとなれば大人しくはできないだろう。


「別に行けばいいじゃない?」

『丁度良いわ。行きましょう』


 今まで黙って様子を見ていたベニオの足の爪先が俺の踵にそっと触れると、副音声と一緒に乗り気な感じで口を開いた。一体何が丁度良いのか……。


「俺、恨まれてるっぽいし、絡まれるぞ」

「絡まれるのがトモヒコだけなんだから、私は問題ないわ」


 その通りで正しく他人事なんだろうが、言い切るのはどうかと思う。

 夕食だけ食って終わるとは思えないが、同行人が行きたいらしいので了承する。

 メイドが先導してくれるらしく、顔色の戻ったメイドの後をゾロゾロとついていく。すると、薄っすらと香水か何かの匂いに混じって若干焦げた臭いが鼻孔をくすぐる。どうやらメイドから二種の匂いがしているようだ。

 メイドの後ろ姿から目算で身長を測り、闘技場の赤銅色の戦士を思い出してメイドの姿と重ねる。

 赤銅色の体の動きは関節が柔らかい、と言うか男だと少し無理のある動きをしていたから女かもと思っていたのだが……ついでメイドが足を動かす際にロングスカートの隙間から僅かに見える足首と、赤銅色が蹴りを放った時の足首が俺の中で一致した。

 ……このメイドが炎の妖精騎士?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ