表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

引きこもり62日目

夏休みもとっくに終わり、秋の気配がしてきた頃僕はカメラを買った。


カメラのことはよく知らないのだけれど、昔オリンパスのコンパクトデジカメを持っていたからオリンパスのミラーレス一眼を買うことにしたのだ。


カメラを買ったはいいけど、何を撮ればいいのやらさっぱりわからない。


そこで、妹に相談してみることにした。そもそも、妹が僕にカメラを勧めてきたのだから意見を聞くのは真っ当だと思う。


LINEで妹に


「今から部屋に行ってもいいか?」


と送る。


すぐに返事がきた。


「いいよ」


普段はこちからから妹の部屋に行くって事がないから、割と新鮮だったのかあっさりオッケーしてきたな。


カメラを持って、引きこもっている妹の部屋に入る。


「よー、ちょっと久しぶりって感じだな」


そう声をかけると、ベッドの上で寝転がって本を読んでいた妹はめんどくさそうにこちらを向いて


「何の用?」


と聞いてきた。


「カメラ買ったんだ。でも、何を撮ればいいかわかんなくて、お前に意見聞きたくてさ」


そう言いながらいつもの所定位置である勉強机の椅子に腰掛ける。


「何撮るかはお兄ちゃんが選ばないとダメだよ」


「選ぶ芸術とか言ってたもんな。でも、なんでもいいって言われると1番困るだろ?」


「まぁ、そうだけど。女の子撮ればいいじゃん。お兄ちゃんロリコンだし」


さすがに本を読むのをやめてベッドの上に座りながら言う。


「ロリコンってことはないよ。少女はリスペストしてるけど」


「まぁ、リスペストでもロリコンでも何でもいいけど、要は女の子が好きなんでしょ?じゃあ女の子撮ればいいじゃん」


「そう簡単に言うなよ。写真撮らせてくれる女の子なんて周りにいないんだって」


と、ここで気が付いた。


妹を撮ればいいじゃん!


って。


妹なら気も使わないし、お金もかからないし、何より我が妹は美少女だ。


「じゃあ、お前モデルやってよ」


「え、やだ」


「え、なんで?」


「なんで、モデルなんかしなきゃいけないわけ?」


「だって、知り合いに女の子なんていないし、お前だったら気も使わなくていいじゃん」


「 やっぱりお兄ちゃんってロリコンでシスコンなんだね」


「可愛い妹を可愛く撮ってあげたいだけなんだってー」


「可愛く撮れんの?」


「いや、まぁカメラの腕前はこれから鍛えるからさ」


「じゃあ、お兄ちゃんが撮った写真を見て、いいな、って思えるようになったら考えてあげる」


おぉ、偉そう!


確かに今の自分はカメラの腕前どころかちゃんと使いこなせてもいないのだから仕方がない。


これは、ある程度の写真が撮れるようになってからの方が良さそうだ。


「なるほど、そうだな。じゃあいい写真撮れるように頑張るよ」


「うん、頑張って。あたし、オリヴィア・ビーの写真とか好きよ」


「オリ?なんだって?」


「オリヴィア・ビー」


すかさずiPhoneにメモる。


「調べとくわ。じゃあ、いい写真撮れたらお前に見せるよ」


「インスタとかにあげたら勝手に見とくよ」


「インスタかアカウント作っとくわ」


「うん、あと話変わるけどツインピークスめっちゃ面白かったよ。他にあーゆー感じのドラマってない?」


「ツインピークスの影響下にあるドラマは色々言われてるけど、ツインピークスみたいなドラマは無いなー」


「そーなんだ。残念。じゃあまたリンチの映画なんか貸してよ」


「じゃあ、次はマルホランド・ドライブだな」


「それ今度持ってきてね」


「いいよ」


妹の部屋を出て、自分の部屋に戻る。


早速妹が好きと言っていたオリヴィア・ビーをネットで検索してみた。


ならほど、オシャレな写真だな。こーゆー写真を撮れるようにならなきゃいけないんだな。


まずはカメラの使い方から勉強しなくては。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ