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引きこもり21日目

妹が引きこもってから3週間が過ぎようとしている。


今は夏休み中だから、妹も堂々と引きこもれるってものだろう。


僕も夏休み中だから、まぁ毎日をダラダラと過ごしていた。


妹に言われて気になっていた写真に関してはカメラにそこそこ詳しい友達に聞いてだいたい欲しいカメラの目星をつけていた。


今度バイト代が入ってきたら思い切って買ってやろうかと考えている。


ちなみに、僕は駅前にある書店でバイトをしている。書店というのは儲からないらしく時給はそのエリアの最低賃金だ。


でも、ちょっとでも好きなことに関わる仕事じゃないと続かないという事が自分でわかっているので、お金よりも仕事の内容でバイトを探した。


他の書店は知らないが、僕がバイトをしている店は比較的にバイトのの入れ替えが激しい。やはり、時給安い割にやる事や覚える事が多いからかな。


しかし、本に囲まれている職場というのはやはり心地よい。


世の中にある面白そうな本や面白くなさそうな本の存在を知る事ができるのもいい。


そんなことを考えていた夜、妹からLINEがきた。


「今から『イレイザーヘッド』のDVD持って部屋に来てくれない?」


今から来いって、こっちの都合は御構い無しかい。


まぁ、行くけどさ。


棚から『イレイザーヘッド』のDVDを取り出して妹の部屋へ行く。


「入るぞ」


「いいよ」


ドアを開けるといつものようにベッドの上に転がっている妹の姿が。


ソニックユースのTシャツに短パンというスタイルだ。


「持ってきたぞ」


そう言っていつもの所定位置である勉強机の椅子に座りDVDを机の上に置いた。



「お兄ちゃんってデヴィッド・リンチ好きだよね?」


こちらに顔を向ける事もなく手に持っているiPhoneを覗きながら言う。


「まぁ、好きだね」


「イレイザーヘッドってどんな話なの?」


イレイザーヘッドがどんな話かちゃんと説明できる人間なんてこの世に存在するだろうか?きっと作ったリンチにだって説明できない気がする。


「いやー、あの映画は何度も見てるけど今だに意味がわかんないんだよなー。だから、どんな話か説明するのは難しい」


「そーなんだ。怖い?」


「いや、怖くはないけど、怖いと感じる人もいるかもな」


そう言うと自分のiPhoneをポケットから取り出してYouTubeのアプリを開き、イレイザーヘッドの予告編を検索。


「ほら、これ予告編。見てみ」


そう言って妹に僕のiPhoneを手渡す。


iPhoneを受け取った妹はイレイザーヘッドの予告編を真剣な表情で見ている。


予告編を見終えた妹は、ゆっくりとiPhoneを僕に返しながら言った。


「一人じゃ見れないかも」


「なんで?」


「怖い」


怖い映画一人で見れないとか、かわいいところあるなぁコイツ。


「お前も所詮は中2女子だな、はっはっは」


「いや、中2女子以外の何者でもないから。お兄ちゃん一緒に見ようよ」


「しょーがないなぁ、見てやるか」


「一緒に見たいくせに」


そんな事を言い合いながら、イレイザーヘッドを一緒に見た。


僕も少し久しぶりに見たのだけれど、やはり今回も全く意味はわからなかった。


映画を見終えた妹は


「そんなに怖くなかったね。これだったら他のリンチ作品は一人で見れそう」


「だったら次はツインピークス見ろよ」


「それドラマでしょ?長いじゃん」


「ツインピークスを見てないなんて、人生の半分損してるぞ」


「それ、ジョジョでも言ってなかった?」


「そりゃーそーだよ、ジョジョ読んでないなんて人生の半分損してるぞ」


「じゃあ、私はジョジョも読んでないし、ツインピークスも見てないから人生丸々損してるわけだ」


「丸々損してるな」


「丸々損は嫌だからツインピークス見てみるよ。時間は山ほどあるし」


そう言うと、ベッドの上には寝転がってお気に入りのカエルのぬいぐるみを抱き抱えて目をつぶってしまった。


全くマイペースなやつだ。


僕も眠たくなってきたから、部屋に戻ってベッドに寝転ぶ。


ツインピークスのDVD持ってないから、今度買っとくか。


早速AmazonでDVD-BOXをポチっとしておいた。


別に妹と一緒に見たいわけでない!

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