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5.聖騎士様とのお茶会

「ピオニア、会えて嬉しいよ」

「私もですわ。アレク様」

「ここのお茶とお菓子は毎回美味しいね」

「ふふふ。私の自慢の侍女たちの作ですわ」

 

 聖騎士・アレキサンダー様とピオニア様のお茶会が始まった。私とメリッサは給仕として控える。

「お国で悪魔に襲われたと聞きましたわ」

「ああ。取り逃がしてしまったがね。この国でも悪魔の目撃情報は多い。教会から護符などを貰って身に着けておくと良いだろう」

「そうですわね」

本当にそんなことしたら、魔法が使えなくなってしまうから要注意だ。


 聖騎士のアレキサンダー・ライト様は稲穂のような金の髪、青い瞳、逞しい体つきの、まさに騎士様といった風体だ。ピオニア様と並ばれると、物語から出てきた騎士とお姫様そのものである。

「いつまで我が国に滞在されますの?」

「1週間ほどの予定だ。騎士たちの訓練に参加する」

「・・・毎日、お茶会に来てくださいますか?」

「勿論だとも」


 二人が見つめ合った瞬間であった。部屋の隅から影が伸び、二人を襲った。

「「ピオニア様!!」」

 アレキサンダー様がピオニア様を抱えて飛びのいた。テーブルから茶器が落ち、パリンガシャンと音がする。影は再び二人を狙う。

(これは・・・アヤメ様の影魔法!?)

まさかお二人のお茶会時を狙うとは・・・。

「君たち、ピオニアを頼む」

「はい」「ピオニア様こちらへ」

ピオニア様を背後に庇いながら部屋を見回すと、影の濃いところがあった。

(・・・あれがアヤメ様の本体)

侍女が気づくくらいだから、当然、アレキサンダー様も気づかれた。

「聖剣よ!!!」

聖剣から光が放たれ、影の濃い場所を貫く。

「キャ――――――――――――――――」

悲鳴と共に影が去って行った。恐らく、アヤメ様が逃げたのだろう。

(これが聖剣の力・・・)

思わずマジマジと見てしまう。なんという力だろう。幹部であるアヤメ様が相手にならなかった。

「ピオニア・・・大丈夫か」

「私は大丈夫ですアレク様。アリッサ、メリッサ大丈夫?」

「「はい、ピオニア様」」


「如何されましたか!!」

 今頃になって衛兵が駆けつけてきた。私とメリッサはピオニア様を安全な場所へ移動させると言って部屋を後にした。


「あれが聖剣・・・」

「「ピオニア様・・・」」

「すごい力ね。流石、我が婚約者殿」

窓の外を眺めるピオニア様の顔に不敵な笑みが浮かんだ。


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