4.歓迎準備
「聖剣使いめ!!私の風魔法が効かないなんて!!」
そう言っていきり立っているのはサクラ様。そんなサクラ様を宥めるのは、お付きの『ウメ』と『モモ』だ。
「サクラ様・・・風を切る剣など想定外も良い所ですわ」
「本当に。憎たらしい聖剣使い」
こんばんは。裏の会議に出席中のカスミです。先日、サクラ様に任された聖剣使い抹殺の任務は失敗に終わりました。
「サクラ・・・無様」
「アヤメ!!何ですって!!」
「無様は無様。総帥・・・やはり私が始末する」
「総帥!!私にもう一度チャンスを!!」
「・・・アヤメ、聖剣使いは、この国に来る。必ず始末しろ」
「かしこまりました」
今度はアヤメ様の出番のようですね。
そう、聖剣使いにして聖騎士。ピオニア様の婚約者であるアレキサンダー・ライト様がピオニア様を訪ねて、この国に来訪するのだ。
「準備がまた忙しいわね。ああ、シャルルに会いたい・・・。とりあえず、支度に取り掛かって」
「「はい。ピオニア様」」
私とメリッサはそれぞれの仕事に取り掛かった。
「よお。アリッサ」
「セネル。お疲れ様」
声をかけてきたのは騎士のセネルだ。私と同じ子爵家の次男坊で婚活相手として有力な相手なのだが、それ以上に
「セネル。また騎士団での話聞かせてよ」
「もちろん」
口が軽く、騎士団の情報が手に入る恰好の相手なのだ。
「最近、悪魔の被害が多くてな。だから一度、聖騎士のライト様に来てもらうことになったんだ」
「あら、ピオニア様の為じゃなかったのね」
「ヤバい・・・ピオニア様には言うなよ」
「言わないわよ。がっかりされるもの」
・・・がっかりしないこと確実だけどね。
「訓練が楽しみだよ。またな」
知りたい情報は手に入ったし、ピオニア様にお知らせしなきゃ。それにしても、情報源と思うと、恋はしずらいわよね・・・思わず、ため息をはきそうになった。
「そう、我が婚約者殿は悪魔対策でいらっしゃるのね」
「はい。ピオニア様」
「まあ、物騒ですこと」
「全くです。ピオニア様」
「でも、会いに来てくださることは確か。盛大におもてなししてね」
「「かしこまりました」」
侍女としての仕事もしっかりしましょう。
聖騎士であるライト様は国賓だ。謁見の間にて歓迎されていることだろう。その間に、ピオニア様との個人的なお茶会の用意を整える。
「メリッサ、お菓子の準備は?」
「アリッサ、完璧よ」
お茶会の準備は整った。あとはお迎えするだけだ。




