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2.裏の仕事

 メリッサの茶色い髪が黄金に、瞳が緑からアメジストに、姿形が徐々に変化していく。

「ではメリッサ、あとはヨロシクね。アリッサ行くわよ」

「「かしこまりました」」

 魔法でピオニア様に変身したメリッサを部屋に残し、魔法陣から浮かび上がった扉に入っていくピオニア様と私。

そう、我々は魔王様を崇拝する秘密結社のメンバーなのだ。

「アリッサ。いつもの様に姿を消していて」

「かしこまりました」

 魔法で自身の姿を消す。そしてピオニア様の後ろに控えるのだ。


 秘密結社のメンバーは、それぞれ一つ魔法が使えるようになる。私、アリッサは「姿を消す」魔法。メリッサは「他人に変身する」魔法である。ちなみにピオニア様は「炎を操る」魔法である。一緒に戦闘に出た際は、お一人で活躍されていた。


「あら『シャクヤク』。ごきげんよう」

「ごきげんよう。『サクラ』」

「今日はお一人?」

 そう話しかけてきたのは『シャクヤク』ことピオニア様と同じ女幹部である『サクラ』様。この方の正体は、なんと、第二王子の婚約者である公爵令嬢マリアベル・ラクタール様であると知った時の驚きは忘れようがない。

「私はいつも『カスミ』と一緒よ」

 『カスミ』は私、アリッサの秘密結社での名前である。ちなみにメリッサは『オウレン』だ。

「姿の見えないカスミね。本当に居るんだか」

「ふふふ」

 話している内に議場に着く。シャクヤク様とサクラ様は離れた席に着かれた。そして、既に座っているのが、三人目の女幹部『アヤメ』様。ココ伯爵家の次女アイリス様だ。


「揃ったか」

 そう言って、一段上の席に現れたのは『総帥』。この秘密結社で唯一、魔王様からの指示を受ける事実上のトップである。その正体は・・・唯一、分からない。というより、知らされていないといった方が正しい。恐らくだが、シャクヤク様はご存知のようだ。


 総帥、そして三人の女幹部が揃ったところで会議が始まった。

「『聖剣使い』が隣国に現れたのは知っての通りである。魔王様の憂いを払うためにも、聖剣使いを始末するのが、現状、第一の案件だ」

「総帥。その役目、このサクラにお任せください。我が風魔法で切り刻んで差し上げますわ」

「サクラじゃ無理・・・私の影魔法で始末する」

 サクラ様、アヤメ様が名乗りを上げる。

「・・・シャクヤク。貴様はどうだ」

「私は、お二人の活躍を拝見しとうございますわ」

「・・・分かった。サクラ。まず。お前に任せる」

「あり難き幸せ」


 こうして結社の会議は終了した。今日はピオニア様の後ろに護衛として立っていただけだが、これが私の裏の仕事である。

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