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11.聖騎士との戦い

「時期が来たわ」

ピオニア様がそうおっしゃられたのは、あのお茶会から2週間ほど経った日の事だった。

「時期と言いますと?」

「私が何のためにアレクと頻繁に手紙のやり取りをしていると思って?」

仲睦まじさを演出するためだと思っておりました。

「カスミ、オウレン。二人にも協力してもらうから」

「「かしこまりました。シャクヤク様」」


 時期とは、聖騎士であるアレキサンダー様お一人の任務の際、更に、聖なる力が弱くなるタイミングが合致する時のことだった。シャクヤク様は暦を研究し、そのタイミングをずっと待っていたらしい。

「今日が聖騎士最後の日ですわね」

「そう言いたいところだけど・・・二人とも私の話をよく聞いて」

シャクヤク様の対聖騎士戦の構想について、しっかりと叩き込まれた。


 所変わって隣国のとある山の中、私たち三人は聖騎士と対峙していた。

「悪魔とはいえ、女の身。3対1でも文句ありますまい」

「・・・悪魔め」

アレキサンダー様は任務帰りの為か、少し疲弊しているように見えた。チャンスだ。


「それでは、参ります」

シャクヤク様が炎の魔法を発動させる。

「聖剣よ!!」

やはり、シャクヤク様の読み通り、聖剣は炎を断ち切れるようだ。

「お見事、ではこれは如何?」

シャクヤク様が剣技に移行する。併せて私とオウレンも剣を振るう。

「くっ」

「流石に聖騎士と言えど、3対1では不利でしょう」

 

 シャクヤク様曰く、アレキサンダー様は聖剣の力にずっと頼ってきた方だった。剣技は一流と言えど、最強ではない。シャクヤク様は元より、私とオウレンも剣技はなかなかの腕だった。その上、シャクヤク様は炎の魔法も交えて攻撃されている。


「しまった!!」

聖剣がアレキサンダー様の手元から弾き飛ばされた。

「カスミ。オウレン。」

「「はい」」

シャクヤク様が炎の壁を作り出す。その隙に、聖剣を回収し、魔法陣から扉を呼び出す。

「聖剣。頂いていきますわね」

私たち三人を飲み込んで扉は閉まった。


「「シャクヤク様」」

「二人とも、よくやりましたわ」

「おめでとうございます。シャクヤク様」

「これで、魔王様にシャクヤク様の願いを叶えていただけますのね」

「ええ。二人とも。本当にありがとう」

聖剣を大事そうに、しかし忌々しそうに抱えたシャクヤク様。任務の成功により、魔王様から褒美があるはずだ。

「とにかく、総帥のもとへ」

「「かしこまりました。シャクヤク様」」

我が主人に誉を!!!


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