誕生日
翌日三波 りんかは別に何事もないように笑って来た。三波 りんかは佐藤 美玖にばれないように私にいってきた。昨日のことは内緒にしておいてくれ、と。別に言ったところで私に得などないわけで淡々と承知した。そして坦々と日常が過ぎ去っていく。相変わらず藤井 綺羅は[ツイッター]の話をしている。隣の鈴木 祐樹は何か語って先生にしかられている。私は家に帰ったらゲームをする。何も変わらない。そう。何も。
私は誕生日が来た。今日。母親の様子をみても何も変わらない。私の視線に気づいた母がやっと気づいた。
「そういえば今日はれいなの誕生日だったわね。」
そして姉も付け加える。
「あ。そういえば。プレゼント買わないといけない。やばっ。今日買いにいこう、と」
二人とも忘れていたのだ。ため息をつきながら学校へ向かう。佐藤 美玖と三波 りんかは嬉しいことに第一声が「誕生日おめでとう」だった。学校にいくと藤井 綺羅たちが「おはよう。玲奈ちゃん。お誕生日おめでとう」そう、いってくれたのだ。なんとも嬉しい一声だ。その言葉を聞いた鈴木 祐樹はにやにやしながら「お前誕生日だったん?おめでとう。」などといってきた。はいはい、とてきとうに返事をしておくと今度は、先生がまたにやにやしながら「おう、おめでとう」と心にもないことを言ってくる。ありがとうございます、と抑揚のない声でいう。一瞬不快な顔をしたが私は無視をする。私のほうが余計に不快だ。学校ではいいのに家では誕生日を忘れられる。