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Road to Lord -魔王の道-  作者: アッキ@瓶の蓋。
第1章 魔王候補
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魔王さん降臨

『おー、よしよし。お前はこの魔界を統治して、平和な世の中にするんだぞ』

『魔族が人間に殺された? それは魔族が人間界ともっと有効的なやりとりを結ばなかったからだ!』

『この世界を、この魔界を魔王の名において統治する!』

『勇者、世界は変えられるよ。俺とお前が手を取り合えば……』

『勇者、待て! それは違うんだ! ちゃんと俺の話を!』



『な、何なんだよ、これ……。僕、魔王になってる……。僕は勇者じゃなかったのかよ……』

『僕が間違っていたのかよ……。……だったら俺があいつの願いを叶えよう。平和な世界を、人間と魔族が平和に暮らしていく世界を作るんだ』

『な、なんだよ! 僕は元勇者だぞ! 世界はもっとより良い世界にするために、魔王となった今でもその信念は―――――――』

 魔界、そこは魔族と魔物が住みし闇の場所。そこにある今は主なき巨大な城、魔王城。そこのエントランスにて、多くの魔族が集まっていた。そして魔族は光の中から現れた5人の彼らに感涙しつつ、頭を下げた。



「―――――――おぉ、我らが魔王様達。神より選ばれし魔王様達。どうか、我らをお救い下さいませ」



 眼を開けると、そこに居たのは平伏している魔族の連中だった。どうして魔族かと分かったかと言うと、彼らが明らかに人間離れした容姿を持っていたからだ。

 角を生やした者や、翼を持つ者。頭の数が多い者、四肢の数が少ない者。赤い赤銅色の身体を持つ者から、透き通るような真っ白な身体を持つ者。身体が大きい者、小さい者。人間体の形状を保っていないものも居たが、全てがばらばらなのにも関わらず、彼らは全員平伏していた。そう、僕達魔王へ。









「……はぁー」



 と、僕、石動龍斗(いするぎりゅうと)は自分用にあてがわれた部屋で溜め息を吐いていた。今の僕は、【魔王候補】。つまり、魔王になるかもしれないが今の所は魔王ではないと言う事だ。

 何故、こうなったのか? それは魔王が5人も居たからだ。



 魔族の話によると魔族の政治は、魔王による【絶対王権政治】。魔王が「侵略」と言えば侵略し、「友好」と言えば友好関係を結ぶ。言わば、独裁主義だ。

 前の代の魔王は人間と友好関係を結ぼうとしていたが、勇者が殺してしまい、勇者は魔王となって魔王の望みである人間との友好関係を結ぼうとして人間達から手ひどい裏切りにあって殺されてしまった。故に今は魔王が居ないらしい。だからこそ、魔族達は自分達をまとめるカリスマ性の持ち主である魔王を、神に求めたのだと言う。そして呼び出されたのが僕達だ。しかし、彼らはこの魔王城の主たる、新しい魔王を求めた。そう、この城に相応しい、ただ1人の魔王を。



「それなのに、5人も現れたら困るよなー」



 1人しか募集枠が無いはずなのに、5人も来てしまった。しかし、いきなり決めるのは難しい。そこで急遽選挙を行う事になった。【魔王総選挙】である。



 ルールは至ってシンプル。1か月以内に魔王である事を多くの魔族達に思い知らせ、1か月後の投票日に一番高い票を取った魔王候補が魔王となる。後の4人はその後で考えると言う、とっても分かりやすい選挙だ。



 出馬枠は5人。

 僕、石動龍斗。夜里弓葉(やざとゆみは)夕張聖(ゆうばりひじり)。この3人はとりあえずほとんど当選する可能性が低い。弓葉と聖は早々に「私達に魔王は向いていません」と自ら演説し、僕に至っては種族が人間であるために魔族の王たる魔王に相応しくないと言う事で初めから外された。

 今、当選する可能性が高いのは、残りの2人。



東堂健二(とうどうけんじ)生徒会長と、番勝田(ばんしょうた)か……」



 生徒会長、東堂健二(とうどうけんじ)。高校3年生にして、種族はゴースト。

 スキルはどちらかと言うと召喚系に偏ったスキル配分になっており、甘いマスクといつの間にか心の中に入り込んでいる文字通りの透き通った感性で、女性魔族に多大なる人気がある。また、統率力もあり、それでの支持も期待できる。



 最後に僕らに触って一緒に転生した暴走族、番勝田(ばんしょうた)。中学3年生にして、種族は獅子の獣人。

 スキルはどちらかと言うと自らを強化するスキル配分。その圧倒的な強さと巨大なる体躯、さらに暴走族だった経験からか何故か一部の魔族と既にダチと言うか配下にしているらしい。その比類なき圧倒的な強さのためか、何人かの元魔王の側近達が強さと言う概念で惚れ込んでいるらしい。



 生徒会長と暴走族、本来だったら選挙で競うような間柄じゃあないんだけれどもこの魔界での魔王総選挙においては、競うような間柄になってしまったらしい。



 それにスキルだけではなく、2人は使い魔も凄い。



 東堂健二の使い魔は……なんと驚きのピクシー10体。なんでも、甘いマスクに惹かれたのか、それともスキルで取っていた低級魔族の一部を惚れさせる【魔族花の香り】と言うスキルでピクシー10体を自分の物にしたらしい。本来ならば30ptかかる物を、わずか20ptで手に入れたのは流石としか言いようがない。どうやらあの時の「使い魔選びの際に役に立つスキル」とはこう言ったスキルの事を言っていたみたいだ。

 そして番勝田の使い魔はドラゴン。しかも5mはあろうかと言う大きな身体を持つドラゴンだ。堅そうな赤銅色の身体と、強そうな牙や爪。屈強そうな足腰にその身体を飛翔させるのに必要な翼。強そうな瞳が、圧倒的な強者である事を教えていた。



 『計略の東堂健二』、『力の番勝田』。

 もし僕が彼らのポスターを作るとしたら、そう言ったキャッチコピーを付けそうだ。ちなみに僕の使い魔であるドッペルゲンガーのサファイアはと言うと、



「龍斗様、取って来ましたよ。回復薬であるポーションの材料となるヤスラギ草の花」



 と、彼女はそう言って僕にヤスラギ草の花が大量に入った籠を見せて来る。僕は彼女におつかいを頼んでいた。そう、ヤスラギ草の花を。ヤスラギ草とは、人間界でも魔界にも比較的大量に咲く植物の一種でRPGに良くある回復薬ポーションの材料になるものであり、単価はかなり安い代物だ。



「じゃあ次は、オリハルコンメタルと使い古した剣を探して来てくれるか?」



「お任せください! すぐ取って来ます」



 そう言って、籠いっぱいに入った大量のヤスラギ草の花を床に落としたかと思うとすぐさま言われた物を取りに向かっていた。



 そうそう。僕の話だった。



 僕は今、部屋に閉じこもって、自分がどれくらいの精度で作れるのかやどれくらいの速度で出来るのかと言った錬金術の調査を行っています。



 何故、こんな事をしているのか。それは僕がほとんどのスキルを調教系や錬金術系などの戦闘ではないスキルに偏らせてしまったからだ。魔法や力関係のスキルをほとんど持たない僕は、魔王城の人達との戦闘能力アップの訓練を受ける事が出来ない。ちなみに他の4人は戦闘系のスキルを持っているので只今訓練を行っています。だから1人、錬金術系のスキルを上げるしかないのだ。幸いな事に【錬金術Lv.3】のおかげで必要な材料は分かるので後はそれを手に入れるだけ、その手に入れる作業をサファイアにお願いしているのだ。

 なにせ僕は錬金術を出来る限り使えるようにしておかないといけない。何故なら今のままだと確実に東堂健二か番勝田のどちらかが魔王となり、僕は魔王城を追い出されるに決まっているからだ。だから魔王城を追い出されても生きて行けるだけの力を得なくてはならない。

 調教関係のスキルや罠関係のスキル、それからアイテム採集もある程度出来るようにならないと。

 今日は錬金術だが、明日からは他のスキルの練習もしよう。追い出される事が分かっている以上は1か月、みっちり頑張らないと。



「さて、ポーションを作るか。まずこれをすりつぶして……」



 ―――――――異世界に来た初日。僕は魔王城の自室にて、ひたすら錬金術をしまくったのであった。

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