Ex.アバユリとイヴァリスト
「あぁ……疲れた」
ギルドの神である天見アバユリは先程までの新人の神達の教育に疲れていた。
イヴァリストが魔王の減少を危惧して実行された異世界転生。そこにあった1100ptの天使と、1200ptの神様。あれはちゃんと選べるのだ。その人間の記憶を差し出せば。
そして今までアバユリが教育してたのが、調べすぎた結果、天使と神様になって記憶を差し出した結果、記憶を失った天使と神様が16名ほど誕生した。それをやったのが日向ラファエルなのだが、アバユリにその新人の神様の教育を押し付けられた。
「まぁ……彼らは何かのバックアップに使えば良いか」
と、アバユリはそう言ってそろそろ自室で作業に戻ろうとして、1人の美女を見つけた。セーターを着ているがそのセーターを押しのけんばかりのダイナマイトなボディライン。藍色の髪を向かって左は脇の下辺りまで、右は肩よりも低いくらいまで伸ばしたくらいの髪。エメラルド色の瞳をした綺麗さを追求したかのような顔。大人びた顔立ちの彼女は、顔を赤らめながら体育座りしていた。
「あぅ……」
「んっ……? どうしてここに居るんだ? イヴァリスト?」
と、アバユリはイヴァリストに話しかける。彼女は顔を赤らめながらアバユリの顔を見つめる。頬を赤らめるイヴァリストに、アバユリは一瞬ドキリとするがきっとこれは自分に対する愛の視線では無いなと思っていた。
「え、えっとね……。アバユリ君、ちょっとこんなの貰っちゃって」
と、そう言ってイヴァリストはアバユリにそれを見せる。
「ん……? それ、使い魔を決める際に余ったポイントか?」
「ううん。転生者の1人、石動龍斗君がくれたの。私ね、絡まれてたでしょ?」
「あぁ……うん」
実はあの絡まれ方は偶然ではない。たまたま転生者の様子を見に来ていた日向が、こっそりと不良達に襲うよう言っていたのが原因だ。その日向は後でアバユリが殴っていたが。
「その時にね。要らないから、ってくれたの。大事なポイントを。
私、それが凄く嬉しくてね。もう、どうしようかなって思っちゃうくらい驚いたの」
(おいおい……。この展開はもしや……)
アバユリがこの展開はもしや月裏ラキナエルと同じように、イヴァリストも転生者に惚れ込んでしまったのか、と危惧していると、イヴァリストは顔を赤らめながらこう答えた。
「……私、彼の大事な物を奪っちゃって……。罪悪感で胸がいっぱいだよ」
「あぁ、そっち……。そっちになっちゃたのか」
と、アバユリはふー、と言った後、
「じゃあ、その罪悪感をなんとかする為に、彼にメール出すか? 一応、転生者全員には神様とメールが出来る携帯機をあげたし、メール、出せるだろ?」
「えっ!? で、でもそんなのなんか悪いかなーって」
「良いの。人間、メール貰えた方が嬉しいのの方が多いに決まってるんだからさ」
と、アバユリはイヴァリストの肩をぽんぽんと叩きながら、彼女の胸に現れ始めた恋の芽を優しい目で見つめていた。