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Road to Lord -魔王の道-  作者: アッキ@瓶の蓋。
第4話 悪魔と魔の鎧
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【破片;その2-2】職人の記憶

 ヒトメは鍛冶師として、非常に優秀な鍛冶師であると同時に、様々な鍛冶の部門に精通していた。それは勇者がどのような武器を使っても良いようにである。元々、ヒトメは自分の名を轟かせるために鍛冶屋を始めたのである。勿論、自分が倒して名を轟かせると言う目的もあったが、彼にしてみれば大事なのは魔王を倒した武器が自分が作った武器である事だけなのだから。そのために彼は沢山の武器の鍛冶に手を出した。


 刀剣。

 銃火器。

 爆弾。

 弓矢。

 拳武器。

 杖。


 『太陽の勇者』にも『月の勇者』にも、どちらにも使えって貰えるような完璧な武器を作る。それが鍛冶師としての、ヒトメの意地であり、志であった。

 けれども武器と言う物は、1人で作れる武器だけではない。1人で作れる武器もあるけれども、刀鍛冶では2,3人で作成手順では武器を作ったりするのが普通であるし。


 それ故にヒトメは弟子を多く募った。武器を作りたいと言う想いを持った若者達を無条件で受け入れて、弟子として武器を作る手伝いをさせた。ある程度の力を持ったと判断したら、【サイクロプス協会】の支店を任せたりと、小分けにしていったのだけれども。

 そうやって、どんどんと自分の作った【サイクロプス協会】を大きくしていき、勇者が【サイクロプス協会】の武器を手に入れる機会を増やすと言う事が目的だったのだが。


 勿論、その判断は好評につき、ヒトメが想っていた以上の職人が弟子入りを申込み、ヒトメが想っていた以上に【サイクロプス協会】は色々な街へと広がって行った。そして、勇者達も【サイクロプス協会】の武器を利用する者が多くなっていった。


 全ては順調に進んでいた。


 そんな状況でも、ヒトメは勇者として、いやその時にはもう勇者が使った武器を作った職人として、名を轟かせようと武器を作り続けた。ある一定のラインを超えると、もっと上の武器を1人で作るのは大変だと気付いたヒトメは補佐用に3体の自律思考の機械人形を作った。彼にはネーミングセンスは無く、作られた順に『1番(ファースト)』、『2番(セカンド)』、『3番(サード)』と名付けられたその3体の自律人形は、作ってくれたヒトメのために武器作りを、影に、日向に、サポートした。


 ―――――しかし、魔王を倒した勇者はそんなヒトメの努力とは関係ない所に居た。天賦の才能と持ち前のカリスマ性で、彼は魔王を倒して、真の勇者となった。そんな勇者のカリスマ性の元に集まった仲間達は【サイクロプス協会】の上質な武器を持っていたが、止めを刺した勇者が持っていたのは冒険の始まりから勇者が持っていた愛用していた、ただの銅の剣であった。


 『魔王に止めを刺したのは、ただの銅の剣』。


 世間はその事に大いに注目し、仲間達が持っていた【サイクロプス協会】の武器はちょっとだけ触れられるくらいだった。


 ヒトメには今までの努力が報われなかった事、魔王を倒したのは鍛冶師として見れば本当に底辺であるただの銅の剣である事、そして今までの苦労の日々が重くのしかかった。


 ―――――――ヒトメは死に、【サイクロプス協会】と、3体の自律人形が彼の財産として残された。


 3体の自律人形は、ヒトメが面倒な客の接客を任せるために、出来る限り容姿は整っていた方が良いと想って作っていたため、その3体の自律人形はコレクターが付くくらいの価値が生まれた。


 ――――――勿論、そんな3体の自律人形を見て、彼の芸術性に似た作品を作って、高値で売りたがる悪徳な職人達が出るのも不思議な事では無かった。


 そして■■は産まれたのだから。

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