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Road to Lord -魔王の道-  作者: アッキ@瓶の蓋。
第4話 悪魔と魔の鎧
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洗脳と鍛冶屋

 サファイアはうつろな瞳で振り下ろした大剣をゆっくりと上げて行き、そのまま振り上げていた。その大剣の軌道は確実にこちらに向かって行った。


「な、なに、これ……? サファイア?」


「とりあえずは、正気でない事は確かですね」


 僕とヒルデガルドさんは、大剣を振り上げているサファイアを見ていた。明らかにうつろな瞳をしているし、洗脳されているようである。どうやら洗脳されているのはサファイアだけではないようで、鎧を持っている男性が長剣を持っており、ハンマーと剣を持った鍛冶職人の男性もこちらに向かって来ている。他にも剣を持った年齢を問わず男女問わず、こちらに向かって来ている。


「この場に居る人で洗脳されていないのは、僕とヒルデガルドさんの2人だけなのか?」


「あぅ……皆さん、どうしたんですか……?」


「私達だけではないみたいですよ。あそこで聖さんが戸惑っているみたいですし」


 と、ヒルデガルドさんが言うように、あそこで皆の様子に戸惑っている聖さんの姿があった。他にも弓の糸を張ったまま固まっている女性や、この場で戸惑っている店主の姿や作りかけの槍で同僚を止めようとする鍛冶職人の姿があった。


 洗脳されている人達と洗脳されていない人達の共通点。それは()。剣を持って眺めていた人物達は皆操られており、事実僕もさっき剣を見ていると吸い込まれそうな気持になった。恐らく剣を使って、人の精神を操るタイプの者、それも勇者がここには居るのだろう。それも僕達が探していた、この【サイクロプス協会】の勇者が。なにせ、操られている全員の剣先がこちらに向いているのだ。

 誰でも良いのならば近くにいる相手に攻撃させる方が合理的だし、第一この場で魔王候補だった僕が襲われている状況から見て、敵は魔王を感じられる勇者という事になるのだろう。最も、勇者全員がそう言う、魔王であるかを感じられるかと言われればそうではないのだろう。リンテイ村を襲ったキリュウと言う勇者は、こちらを見てこなかったし。


「(ヒルデガルドさん、それに聖さん。相手は剣を使って洗脳しています。恐らくは、剣を手放せば洗脳は解けると思う。だから、傷付けないように剣だけを落とせ)」


「(分かったわ。イヴァちゃん、ナイスな人を見つけたわね)」

「(ご、ご主人様! 了解です!)」


 2人に小声でそう支持をすると、魔法使いである2人は魔法を詠唱して相手の剣を熱す。熱せられた剣は、持っている所有者に激しい熱気を感じさせて、あまりの熱さに耐えきれなくなった人達は次々に剣を落として、正気を取り戻していく。洗脳、とは言っても、潜在意識的に熱いと思った者は手放すようになっているみたいだ。

 最も、その方法が通じるのは人間だけだ。


(サファイア……!?)


 僕は僕に向かって、剣を振り下げてくるサファイアを見ながらそのまま後ろに下がる。僕がいた場所に、大剣で大きな穴が開く。


 剣は熱せられていて熱くなっているはずだが、ドッペルゲンガーである彼女には効かないみたいである。

 サファイアは剣を戻しながら、話し始める。いや、正確にはサファイアを操っている人物が、サファイアの体を借りて話し始めた。


「我が名は、『太陽の勇者』になろうとした(・・・・・・)ヒトメ様の従僕、フォース。洗脳の力を持ちし私が、主に代わって天罰を下す」


「勇者になろうとした……?」


 どういう意味だろう? 勇者になろうとしたって? それに僕はヒトメという人物を知っている(・・・・・)。会った事も見た事も、ましてや今聞いたばかりの人物なのに何故か知っている。これはどう言う事だ。


「今こそ、魔王を倒して……主を勇者へと……」


「雷よ、あれ!」


 洗脳されたサファイアが剣を振り切る前に、ヒルデガルドさんが雷の魔法で剣の刃の部分を壊した。すると、サファイアは柄を放して、そのまま意図が切れた人形のようにして、倒れる。そして僕の方に倒れてきたサファイアをキャッチする僕。


 フォース。力という名前のこいつは、一体何者なのだろうか?

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